意識せず経験則
練習です。
人生観は渇ききって、いつの間にかつまらない形でしか人を見れなくなった。
「定型ってあるじゃんか」
そんな話題を切り出したのは、そういうことからだった。
「まぁ、あるかもな」
「今まで色んな人と会って来たけど、ほぼパターンで観察できるんだ」
俺の目を見据え、眉をしかめた。
「あ、あのさ、何その話?」
「いや、単純に、そういうこともあるって話。高校上がってから、それが顕著になった」
相手は机に身を乗り出し、話に興味ありげだった。
「それは何?もう一目見てこれはどういう人間だとか、そういうのわかっちゃうの?」
「まぁ、少し話せば」
「じゃあ、俺はどんな風に映ってるのさ」
相手は目を逸らさない。渇ききった人生観にゆっくりと水を差すかのように、相手は何かを伝えようとしている。
「・・・クラスで言うなら悪乗りするタイプ。でもって女を絶やさない」
ぱかっと口を開けて脱力する。
「なんだそら、大当たりじゃん」
俺はさして気にしていなかった。いつも通り、見たまま感じたままを口に出したのだ。
「じゃあじゃあ、これはわかった?」
相手は俺の耳に顔を近づける。
そして小さな小さな声で、こういった。
「それ、結構痛々しいよ」
「・・・?」
「趣味は人間観察、ってやつ?まぁお前はオート完備なんだろうけど・・・わかんないんならいいぜ。また明日な!」
席を立ち、去っていく相手の後姿は、初めての何かを感じさせた。
試験用の。