8話 こいつのどこ見てんだお前ら・・。
君はみていた
知らずの間に私たちは
どれだけの距離を縮めていたのだろう・・
今、言うよ・・・
待ち望んでいたこの日に---
文化際当日。
私たちは、困ったことになっていた。
「・・・」
唖然とする私たち5人。料理担当。
ピンチです。
何者かに食材を盗まれていました!
特に必要なホイップクリームがない。
「どうすんだよ、メー。あと、3時間しかないぃぃっ!」
「どうしよぅ。ことっち。」
「買いに行くしかないでしょ!?」
「でも、お金が・・」
渡されていたお金はとっくに昨日、全ては今日のために使ったのだった。
クラスの皆も心配して集まっている。
「うち、センセーに言ってくるだぁ!!」
「私もいくよ!」
ことっちと2人の女の子が走っていく。
すると、一つのグループが話を変える。
「ねぇ、てゆうかさぁ。突然消えるわけないんだからさ・・誰かが盗んだに決まってんじゃん。」
「だれだよー。ホイップクリームなんか料理担当しかわかんねぇだろ。」
少しチャライ彼女たちに私は怖くて涙腺が緩んだ。
どうみても私を睨んでいる気がする。
「あ・・あの・・」
すごく見つめてくるので気になって話しかけようとする。
「あ?メーなのぉ!?」
「えっっ」
「そうだよねぇ、だって一番下手そーだもん。」
「だよなー」
隣にいた料理担当の女の子も泣きそうになっている。
矛先は私に向けられた。
聞こえるのは最悪とやっぱりとなんでとたくさんの欠けた信頼性。
私じゃないのに・・って思うのに、恐くて恐くて涙しか出なかった。
ことっちがいたらきっと否定してくれたのに、頼みの綱さえいまの私にはない。
料理担当の子はいるけど・・・
どうすればいいのだろう。
そんな時、入ってきてくれたのは、
「何してんの?」
女たちが言葉を止める。
朝日向椿くんだ。
彼は人気者。そして私は・・・
「椿~きいてよぉ。メーのやつったら食材無くしたんだよー!?」
「・・」
悪人なのか?
女たちはまた、悪口を繰り返す。
椿くんに・・そんなこといわないで・・
叫んでも叫んでも足も声も出ない。
椿くんは聞きながら私を見つめる。
そして、腰を落として、問いかけてくる。
「お前がしたんじゃないよな?」
「・うぅ・・ぅっっん。違うっっ・・もん・・。わたしっしてないよ・・」
「そっか。」
くしゃくしゃと頭を撫でてくれる。
そして、彼はゆっくりと立ち上がる。
「はぁ・・・こいつのどこ見てんだお前ら!」
怒鳴りの声が響く・・。
空気が張り詰める。
「皆見てたと思うけど、こいつは一番料理何出そうかとか、一生懸命作ってただろ!!はっ。疑うとか一番最悪だと俺は思うぜ、それが大切な奴ならな。」
「っばきくん・・。」
いつの間にか涙が止まっていた。
彼はちゃんと私のこと見ててくれていたんだ・・。
【うれしい】
いっぱいいっぱい彼の優しさが胸をじんわりと暖めてくれる。
<ガラッ>
「メー!先生が腐るからって冷蔵庫にいれてたんだってぇ~。」
「ほっほんと!?」
無事にホイップクルーム生還!!
「よかったな。命!」
「うん。ありがとう椿くん。」
女子たちの声が喜びに変わる。
「えっいや~メーは料理上手い事しってるしぃ~。」
いつの間にか仲良くなっている?
おかしい・・けど、まぁいっか!
終わりよければ良しみたいなこと言うしなぁ~。
そして、私たちは文化祭い間に合ったのだった。
お昼の休憩に入った。
私たちの仮装カフェは人気をよんだ。
王子様の椿くんは写真を撮られまくっていた。
私は椿くんの子供役と言う設定だったが、本当に子ではなかったが妹と間違えられて・・大変だった。
「はぁー!お疲れリンコー!!メーのスイーツ人気だったずねぇ~。」
「みんながんばって作ったもん!」
ことっちがお茶を差し出してくれて、イスに座る。
「ねぇ、思ったけどさ、椿からさ桜庭って呼ばれてたじゃん?」
「うん。」
「さっき『命』って呼んでなかった?」
「うん。・・・・・えっ!」
今気づいた。
そういえば『命』ってよばれてたかも・・
思い出すたびに顔が赤くなってくる。
「じゃあ、今日の後夜祭、告るんでしょ!?」
「・・・。」
そっか・・今日だった。
後夜祭、北極星に願うんだ・・・そして、彼が7時に来てくれれば・・。
「付き合えるってことっーじゃなくて・・んー一生愛し合えるってことだよ!メー!!」
「あっ愛っっっ!」
ことっちがギュって抱きしめてくる。
通り過ぎた椿くんの背中を見つめる。
椿くんは私のことどう思っているのかな?
・・
・・・
・・・・
----後夜祭。
私は、屋上に来ていた。
あの噂をするために・・。