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6話 あんたは甘いよ・・。

きみには見せたくない『涙』・・

だって離れていってしまいそうで恐くなる

そしたら二度と戻れない

友達には戻れない

だからといって同じ関係でいられないのがこの想い

歩いていかないと落ちてしまう


・・・それは綱渡りの恋




「おはにょー!メー!!」


「おはよ。」


相変わらずことっちは明るいな。


「ねぇ、椿くんとはどうなの?」


「何が?」


「だって、最近なかいいんでしょ?よかったじゃん!時が経てば付き合えるかもねぇ~」


付き合う。

そんな言葉に違和感を感じた。

付き合うなんて考えてない。

いまのままでいいと思っていた。

そんなことを思っていると察したのか、


「はぁ・・・あんた、甘いよ・・。ちょー甘すぎ!好きなら付き合うんじゃないの!?」


「付き合うまでは考えてなかったな・・。」


「じゃぁ、なにになりたいの?」


そうだ、

よくよく考えてみると困ったものだ。


「両想いになりたい。」


「それって、付き合うんじゃないの?」


「付き合うのは・・無理だよ!だって、私何も出来ないもんっ。」


ことっちの開いた口がふさがらない。

幻滅したのか先にことっちは行ってしまった。


「いまの関係でも・・いいのにな。」


心地よい風が吹き付けた。






気持ち悪い。

そう感じたのは1時間目のこと。

朝から食欲はなかったがここまでとは思ってなかった。

変に脂汗は出るし、青ざめる感じもする。


「メー。どうしたん?」


そっと聞いてくるのはことっち。

口ぱくで


『なんか・・やばい。』


と彼女に伝える。

ことっちは焦ったように周りを見る。


「せんせ~い。メーが気分悪いようなので保健室に連れて行ってもいいですか?」


「えぇ、わかりました。桜庭さんお大事に・・。」


私はそれにうなずいた。

立つ力もない・・。

長身の彼女は軽々と私を持ち上げ保健室に連れて行った。




「ん・・」


目を開けると広がるのは薬品の落ち着くにおい。

そして、隣にいる、


「柊くん?」


「・・・なんでしょう・・。」


私と同じように脂汗をかき青ざめていた。

彼もまたベットで弱りきっていた。

でも、何かがかけている。

あっ!

メガネをかけていなかった。

ボタンをはずしたワイシャツ。

いっ色っぽい!?


「やはり、あなたもでしたか・・・」



そう、昨日のことである。

一緒に帰ったとき、私に向かって水が降って来た。


「えっ?」


「なにぼっとしているんですか!」


と柊くんが守ろうとしたのだが逆に2人ともかぶってしまった。

その水がやけに汚かった。

菌がきっと身体に入ったのだろう。





「そっか・・昨日のか・・。」


私は柊くんに聞いてみた。


「そうに違いないでしょう。ゲホッ」


柊くん辛そう・・

顔が赤くなっていってる。

でも、私も同じだった。

苦しい。辛い。


「どう・・しよ。なんか・・熱い・・・はぁ・・っ」


頭がくらくらする。

気持ち悪い。


「おい・・大丈夫か?泣き虫・・・」


聞き間違えただろうか。

柊くんの口調が変わったような?


「聞いてない・・な。」


「なんか口調変わったような・・。」


「あっ?・・・・・・敬語は長くて疲れる・・・んだ。」


素という奴だろうか。

本性は腹黒タイプ?

って場合じゃない。

保健の先生に早く診察してほしい!




数分後に私たちはお医者様から治療を受けた。




<ガラッ>


入ってきたのは・・


「椿・・」


「2人とも大丈夫?」


お見舞いに来た椿くん。

近づくのはやっぱり弟の柊くん。

私には見向きもしなくて少し傷ついた。


椿くんたちはたんたんと2人で話し合っている。

その光景がまた辛くて、窓のほうへ体勢を変えた。

まだ、外は青くて朝なんだと知らせてくれる。


『あんた、甘いよ・・。』


そんなことっちの言葉を思い出す。

見舞いに来てくれないから、まだ、朝の状況が続いているんだろう。

呆れられた。

辛くて涙が静かに滴る。


「ことっち・・」


「そうだ、鮎川さん。すごく心配してたよ。なんか、朝のときなんか言っちゃったらしくこれないとか落ち込んでたけど・・。」


その事実を知ってまた胸がギュってなる。


「もし、なにかあったんなら許してあげたら?」


「・・・許すも何も・・私は怒ってないょ・・」


「そっか。」


椿くんは優しくうなづく。

彼は好きだけど、付き合うとはまた違うな。

両想いになりたい・・だけ。


「あの・・・両想いと付き合うって同じですか?」


突然の質問に兄弟は戸惑った。


「なにいってんだ。」


柊くんが言う。


「お前はだまってな。言葉が悪いんだから・・。そうだね。ん~、もし、相手のことを想っているなら相手にわかるように行動した方がいいんじゃないかな。そのほうが幸せになれるんじゃない?」


「両思いだけで満足しないだろ。普通。」


「こらっ!」


お兄さんが弟さんの口を塞ぐ。


「まぁ、柊の言葉も一理あるね。きっと好きならそれだけじゃ終わりたくないよ。きっと。」



その言葉に胸がきゅってなった。

まだまだ、私の想いが薄いのかもしれない。

だから、あんな言葉を言ったのかも。


「そうですね・・。」


「桜庭。好きな人・・いんの?」


「・・・。はぃ。へへへ。」


「かっこいいんだろうな。桜庭が好きな奴なんだから。」


「ぅん。だって椿くんだもん。へへへ。」


無言の空気が漂う。

なぜか私はぽかぽかと幸せな気分になってつい寝てしまった。






2日後。


「あれ?柊くん、もう大丈夫なの??」


「?何のことですか?」


「何って熱。」


「あぁ~あれ記憶吹き飛んでいて・・・」


「私もだよ。ははっ。」


そんな盛り上がりに隣の彼だけは、少し違う空気を漂わせている。

そして、走ってくるのは・・。


「メー!」


「ことっちっ!」


「この間は変なこといってゴメン!」


「ううん。いいよ!」


友情関係は解決したのだった。





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