4話 椿先生の生徒です・・。
近くにいるけど、
恋する思いは遠すぎる。
だから、つい焦ってしまう。
それでもやっぱり、
・・・・・ 両思いがイイ・・・・・
二時間目の数学Ⅱ。
「桜庭さん、ここを書いてください」
「はっはい!」
かけれらてびっくりしたがその内容は昨日彼が教えてくれた問題と似ている。
これくらいなら解けるだろう目線の先生は恐い。
「・・ねぇ、大丈夫?」
そう、声を掛けるのはことっち。
彼女はすごく心配な顔をしている。
彼は、興味なさそうに外を見ている。
はぁ、気にかけてくれたらうれしいけどな・・
少し泣けてくる。
黒板に行くと・・・
あれ?
解ける。
ノートをじっくり見ていたせいかすらすらと解ける自分がいた。
<カチャ・・>
「・・せっ正解です。良く出来ましたね。桜庭さん。」
「は・・・はい!?」
簡単だった。
そっかぁ~こうとけばいいんだぁ。
今頃になって感動する。
彼。朝日向椿先生のおかげ・・・
ふと彼を見ると、なにやらにやけて外を見ている。
やっぱり私に気をかけてくれるはずないよね。
昨日のは世迷い言だったにちがいない。
「・・よかったじゃん・・」
小声で笑ってほめてくれる彼。
「・・うん!」
うれしくてしょうがなかった。
彼が笑ってくれた。
私にだけ笑ってくれた。
だから・・・・つい私も笑ってしまう。
授業の終わり、
「ねぇ!メー!どうしてあんたがとけたの~!?」
ことっち、そして皆がこっちを見る。
ハッ恥ずかしい。
「・・どうしてって・・・」
「俺、椿先生が教えたんだぜ。」
「えっ!ほんと~~~」
女子たちが声を張り上げる。
机から身を乗り出す椿くん。
「まじなん?」
ことっちが聞いてくる。
答えるのが迷ったが・・・
「うん。」
変に時間が長く感じた。
恐いほどに女子が黙り込んだ。
放課後。
また図書室へ行く。
今日から椿くんと柊くんが交代で教えてくれる。
「おっまたせ~」
今日は椿先生。
どきどきする。
「おっお願いします。」
そういいイスに座る。
「今日はもう一回、数学の復習な。」
「はい!」
威勢良く返事をしちゃう。
彼はくすりと笑い。
早速授業に入った・・。
「はぁ~お疲れ。だいたいわかった?」
「はい。すごくわかりやすかったです。ありがとう、椿・・・くん。」
「ん。」
椿くんは疲れたのか大きなあくびをひとつする。
かわいい・・・
私はくすりとわらう。
「いつも、お前は笑顔だな。」
「えっ」
いつも、泣いてばかりなのに・・
「そんなことないけど」
「いや、いいと思うよ。笑顔、幸せになっていく証拠だよ。」
顔が火照る。
椿くんがいるからだよ。そう心の中でつぶやく。
「ねぇーーー!」
割り込んできたのは同じクラスの女子たち。
「あんたたちどういう関係」
「えっ?」
突然の言葉。
青ざめる感じがした。
「どういう関係って俺たち、」
やばいっ!
なんか変なこと言われたら・・・
「つっ椿先生の生徒です・・。私頭悪いから、教えてもらっているだけなんです。」
「・・」
女子たちが静まり返ったと思ったら爆笑し始めた。
「はぁ~よかったぁ~。てっきり付き合ってんのかと思った。」
「椿がメーなんか相手するわけないよねぇ~」
「ほんと。んじゃ。」
傷つく言葉・・・。
彼女たちが去っていくと共に私の笑みも連れ去られてしまった。
「・・・」
なきたくなってきた。
「ははっ。おもしろいこというんだ桜庭は。」
だって現実はかわらない。
------私は・・・椿先生の生徒でしかないのだろう。
それ以上は変わらない。いや、良い方向には行かないだろう。
悔しくて心の涙が止まらない。
ごめんなさい。
ごめんなさい。
「椿くん。」
「ん?どうした?」
「今だけ・・、いやもう泣かないから、椿くんの前で二度と泣かないからいまだけ・・・」
「泣いていい?」
『あなたへの恋と共にこの涙をながしたい。』
そしたら辛くない。
でも、きっと笑顔の自分も恋するどきどきも・・これからなくなってしまう。
現実逃避。
泣き虫な私が・・・。
これしか出来ない。
涙がでそう。
「駄目。先生の命令。」
「・・・・・・・・・・ぅん。」