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2話 椿くん、アリガと・・ゥ。

君との恋の距離なんかわからないけど。

君と話せてうれしいことはわかる。


そう、片思い中・・・




「どこみてんだずぅ!」


「・・・・・・・・・えっ」


少し反応が遅かったのはあのときのことが頭から離れなかったから。


『---桜庭命・・』


少し低い声と私に向ける笑顔が・・もう、たまらなく私をゆでだこ状態にさせてくれる!

そうこうしているうちに5時間目が終わり帰る準備となる。

ことっちとさよならをして、今日は部活がないのでぎりぎりまで4階にある図書室を使って勉強することにした。

というのも、4階からちょうど良くみえる体育館に彼「朝日向椿くん」がバスケをしているからなのだけれど。

いつもジミチニ目線を陰で送ってはいるけど発展せず今に到る。

気づいてくれないかな?


「・・・・はぁ~」


ため息と涙が出てきてたまらない。

見つめているだけではつまらないので彼とのときめきの瞬間を振り返ることにした。


---あれは入学当初のこと。---

これまた出会いが図書室だった。

高校の勉強内容がドンと増え復習していた。


「なんだこれっ!?ん~ディス・・イズ ア・・

 なんて読むかな?ゾウソウ??ケイソ??  ∽って何??」


中学の簡単なものにも頭をフル回転させ英語辞典、国語辞典あらゆるものを図書室から探し出すことにした。

なんで合格なんか出来たかと言うと補欠合格でというのもある。

それと、運かもしれない。

実力では唯一できる社会と古文と理科の植物や天気に救われたからかもしれない。

それでも低いだろうみたいな。・・ははっ

悲しくなってきたな。


だいたい集めて、他にもないかと探していると棚の一番上に


“背を伸ばすために”


という、薄い本があった。


「・・・・」


内心すごく興味がわいた。

呼んでもし、ちびが大きくなったらスタイルだけは良いみたいな妄想が広がった。

変だがやっぱり気になって台をもってきた。


「よいしょ・・・誰もいないよね?」


そう確認し手を伸ばす。

そのころも146センチで変わらない。

・・・棚は全体で250センチ弱。本の位置は245センチくらい。

台は約50センチ。146+50=196 ということは届かない。

あと49センチ届かない。

なんて微妙な数字で遠いなことか・・。

少し背伸びをして5センチアップ!

手も入れてさらに30センチアップ!

あわせて241センチ。


あと・・・4センチ足りない・・・

そして、だいたいの予想のセンチだったので5センチくらいの誤差が出た。


ジャンプをする?

運動神経が悪いけど?

する??


でも、怪我をしてでもやる価値があった。

身長が上がるかもしれない希望があった。


「むむむ~!私をなめるなぁーーーーー!」


そんなちっぽけなプライドが手をほんの一部に触れさせてくれた。


「やったぁぁぁぁきゃあああ!」


喜びが悲鳴に変わった。

よろめく身体に落ちてくる数冊の本。

事は一瞬にはじまり終わる。


<ドサッ>


「いたたた・・・」


本が頭に当たって痛い。床にしりをぶつけて痛い。

涙が出る。


「うっうっうっ」


「おい。大丈夫か!」


走って駆け寄るメガネの男性。


「あぁ、本が当たったのかオデコ赤いな・・・他に痛いとこないか?」


彼の冷たい手がさすってくれる。


「はい・・・お尻が痛いですが、大丈夫です。ごめんなさい。」


「なんで、謝るの?」


「だって迷惑かけてしまいましたし・・・」


「そうか。俺は迷惑なんて思ってないから。」


なんて優しいんだろう。胸がギュって熱くなった。

こんな人初めてだ・・。


「朝日向・・・さんですよね?」


私は彼を知っていた。

クラスの人気者だし前の席でいつもいる。


「・・・えっ?知ってるの?」


「はい。だって人気者だから。すごい人だなって・・」


「そうか・・・じゃあ俺うれしいから言うわ。ありがとう。ほめてくれて。」


彼は温かい心を持っている。

これって手が冷たいからなのかな?

よく手が冷たい人は心が温かいからみたいなこというしなっ。

そんなことはないかな・・・

朝日向椿くん。

良い人。


「これ?探し物??」


彼がさしたのは私のスカートに落ちている本。


“運命の人”


恋愛の本だった。


「ちっ違います!私は“背を伸ばすために”っていうこの本で」

「これ?」


取ろうとした手が重なり合う。


“運命の人”


そんな言葉が浮かんでくる。

心臓が高鳴る。


『朝日向椿くんに引かれていく自分がいた』


「ふっそうなんだ。君、小さくてかわいいもんね。」


高鳴る言葉ばかりいってくる。


「ほっ本!落ちたの返さなきゃ」


周りに散らばった数冊かの本をかき集め棚に慌てて返そうとした。

すると、後ろから感じる気配と吐息、そして、持っていた本をとる大きな手。


「また、落ちたら危ないから。」


<ドキッ>


「・・・・・ごめんなさい・・」

「ん。」





と言う感じで恋がスタートした。


「良い感じだったなぁ~。」


「また、百面相しているんですか泣き虫さん。」


急に脳内に入って来たのはメガネの男の人・・・?


「朝日向くん・・・?」


「柊です。」


「つ・・ばきくんにそっくりだね。メガネとか・・・」


「??前までは同じメガネでしたが椿は部活に入ってからコンタクトです。」


そうか入学してすぐの思い出だった。

でも、本当に似ている。


・・ん?まて、あの時って本当に朝日向椿くんだったんだろうか?

あっでも・・


『えっ?知ってるの』


っていったもんね・・・そうだよね?



体育館を見るとまだ部活をやっている。


「椿は本当に優秀だ。」


自慢する双子の弟。


「柊くんもじゃん。」


「柊くんって呼ばないで下さい。くんはいりません。」


「ごっごめんなさいっっ!」


「はぁ~まったくあなたは泣くか謝るかしかないんですか?」


なぜか説教されることになった。









その時間はわりと長く・・・20分。

「いいですか?謝ればいいということはありませんよ・・だから・・」


「なにしてんの?」


「あ、椿。」


「!」


いつのまにか朝日向椿くんがいた。

少しドキッとした。


「なに?勉強?どれ?」


「わっちょっっ」


じろじろノートを見てくる。

人気者、朝日向椿くん。


「ふっ桜庭、かわいいね。貸してみて?」


「かわっ!?」


自然とシャーペンを取られていた。

すらすらと教える横顔をただただ見つめていた。



「聞いていませんよ椿。」


「えっ?」


「・・・」


彼がペンを止めた。


「あっ・・・ごめんなさい・・」


「ううん。いいよ。・・・そうだ!今度から俺教えてあげようか?」


「えっ!」


突然の言葉。


「わからないままにしてたんじゃ駄目だよ?柊と交換しながらするよ!」


「私は嫌です。」


「いいじゃん。教える勉強になって将来の役にたつよ?しかも、この子だし。ね?」


「・・・はぁ~椿がいうならしょうがありません。」


「んじゃ決定。よろしく桜庭。」


「・・・・・・・・・・・・・椿くん、アリガと・・ゥ。」



なぜか運命はぐっと仲を縮めてくれた。

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