1話 泣き虫、存知上げています。
やっぱり恋ってツライ。
桜庭命
男子からは『通称泣き虫』女子からは『通称メーちゃん』と呼ばれています。
なぜ泣き虫やメーちゃんかといいますと最初の言葉が原因の一つなんですが・・・
そう、誰だってするでしょう?『恋』
私は今、恋で悩んでいます。
そして、メソメソしているわけです。
というか、何かと毎日メソメソと泣いている私です。
だから、『泣き虫、めーちゃん』らしいです。
身長146センチの高校1年生。普通科。茶道部。
身長が低いだけで何もとりえがない私、・・それは最悪なほど『平凡』なんです。
影は薄いし、可愛くはないし・・・うっうっ悲しくなってきたぁ。
それに比べて私の恋する相手は、
身長186センチの高校1年生。普通科。成績トップ。バスケット部。
朝日向椿人気者。
憧れの憧れ・・・
だから、遠い存在。
でも、同じクラスの前の席に彼はいる。
・・近距離にいる。
でも、でも!きっと私のことなんて見向きもしない!
人気者の彼と平凡な私。どうみても釣り合わない。
釣り合わないけど無理って思うけど・・・
すきって思いがあるみたい。
ときめく自分がいるみたい。
みたいではなく・・・・・・・・・・・いっいます。
仲のいい友達を紹介します。
私の友達でありながらお姉さんのような存在。
鮎川琴実。
長身でありながらさらさらストレート。普通科。茶道部。
そして、私の相談相手です。通称ことっちと呼んでいます。
ことっちはメイクなどおしゃれが大好きなんです。
そして、もう一つが・・・
「めっさかわええ~~」
少し変わった口調の『女の子好き。』いや、可愛い物好きとでも言っておきましょう。
だから、今「かわいい」といいつつ
「ことっち・・髪がぐちゃぐちゃになっちゃうよ。」
頭をぐるぐるとかき回されています。
毎日こんな感じです。
PM8:30
この少し早い朝なのにこのテンション。
「メーメーないてみてぇ。すっごく萌えて元気100倍になるからっ!」
「私は元気100倍を奪われて死んでるよ・・・」
そんな他愛もない話をしていると彼は少し遅れてやってくる。
「おはよー」
部活の朝練習に出ていた、つ・・・いやいや、朝日向くんはいつも・・
「眩しいなぁ」
「どこがええかわかんねぇずぅ。メーの方が1億倍眩しくてかわええずぅ!」
「ははっ」
と苦笑い。
かわいくはないよ・・・
もしかわいいというなら彼がこっちを向いてくれるはずだもの。
また、マイナスに考える。
ま。人それぞれか。
泣きたくなってきたなぁ。
そんななかすぐホームルームが始まり、そして授業に移る。
彼の背中はいつも黒板を隠してメモをとるのが難しい。
はずなんだけどいつも姿勢が悪い。
「おい!椿!姿勢を直さんか!!」
一つ先生の怒鳴り。
「すんませぇん。ちょっと腰がいたくてですね・・」
「嘘付け、この馬鹿たれが」
「頭はいいはずなんですが」
一つみんなの笑い。
私もくすりと笑う。
でも、悪いおかげで黒板が見えるからラッキーだ。
気をつかっている・・・わけがないんだろうケド。
そうだったらうれしい。
また、笑う。
そんな妄想で私は奪われた元気を回復していくのだ。
<キンコーン♪カンコーン♪>
昼休みになりました。
おなじみこの音で私は弁当を持ちおなじみの屋上で2人で食べる。
いや、食べていた。
もちろんまだ3人しか紹介していないから誰と食べているかはお察しのとおり。
・・・朝日向椿くんである。
感のいい人はすぐ誰と食べているかなんてわかる。
この世界では少しひねくれて考えるから・・・っと主人公がこんなこといってどうするのか?
そう、『食べていた』のである。2人で。
というのも同じ空間での方が正しいと思います・・。はい・・。
先に屋上で弁当を食べていたのは彼。
だから、わざと来ただろう。
と言われてもしょうがない。
悪く考えて偶然。
良く考えて必然。・・・運命?
まぁ、意識するのはいい方で
彼的には私にとって悪い方なのは違いない。
違っていたらごめんなさい。
でも、浮かれないようにする。案外、私のモットーになっています。
「私のこと・・・知ってるかな?」
同じクラスではあるけれどなにやら不安になってきた。
影が薄い私にとって・・頭に名前を登録するのもメンどいのカナ?
また、泣きそうになってきた。
「“泣き虫”・・存知上げていますよ。」
・・・彼は思っていた以上にまじめなキャラなのかな?
同級生だけど敬語を使われて、少し気が滅入ってしまう。
「なんで、敬語なの?」
「敬語。私はそんなこと考えないで話していますよだから知りません。女の子にはいつもこんな感じですがなにか?」
「・・私はもっと明るいキャラかと。」
「見た目で判断しないで下さい。だから、女の人は困るんです。私のどのルックスが好きで毎日キャーキャーいうのか分かりません。私は女が嫌いでたまらない。下品でならない。男の汗のほうが綺麗で仕方ないですよほんと。なんで、あんなに肌をけがしたり、化けたり・・・・」
朝日向椿。訂正します。
もっと、早く言うべきでした。もっと早く気づくべきだったな・・
彼は 朝日向柊
双子の弟の方でクラスは違うけれど頭も身長もやはり運動も抜群で瓜二つ。
区別をするなら性格。
さばさばした冷血キャラがこの柊くん。
明るいキャラがつ・・朝日向くん(椿)。
柊くんはもしやあっちけい?って思うような人は安心してください。
柊くんはようするブラコン・・・あれ?あっちけい??
「たく、人の話を聞いているんですか!?意味の分からない人だ。・・・しかし椿のやつ遅いな。」
柊くんがまっていたのはお兄さん。
急に胸が高鳴る・・
<ガチャ>
だって好きな人が今現れてしまったから。
「椿。コイツしってる?」
「・・・あー知ってるよ。
--------桜庭命ちゃんでしょ?
彼だけは私を名前で呼んでくれた。
さすが、私の好きな人。
彼、『朝日向椿』
一つ前の席。
1億キロ先が急に1万キロ先になった。
まだまだ遠い・・そして、
私だけが思う恋愛関係。