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リストラ

第二話です。 短いですが、どうぞ。

「……また遅刻とは……、全く、お前は肝が座っているというか……」

「す、すいません……」

ここは株式会社「HELLOMUSIC」のビルの一室。 

その一室には「会議室」というプレートがぶら下がっており、

その部屋の中で「HELLOMUSIC」の社員である1人の若い男と、男の上司が向かい合って椅子に座っていた。

「HELLOMUSIC」は主にギター等の楽譜や雑誌を作っている会社で、

その規模は音楽業界の中でもなかなかの物を誇る。

その中でも、「HELLOMUSIC」の看板雑誌である「ギターボーイ」という雑誌はギター雑誌の中でも

なかなかの売り上げを誇っており、もう10年近く発行されている人気雑誌だ。

そんな会社に、この男はもう勤めて3年目になった。

男の名前は「音田 大吉」(おとだ だいきち」。 今年で25歳になる社会人だ。

見た目は黒髪で痩せ型、背は高く180センチほどある。

ーーー名前は「大吉」だげど、あまり運は良くないんだよなぁ、と大吉はぼやく。

たとえば、歩いていて何も無いところでこける、乳製品を飲食すると必ず腹を下す、

ゲームのセーブデータがいきなり消える、営業に行くと突然ドタキャンを食らう、

就職に20件連続で落ちる、パソコンに保存していた仕事の資料のデータがいきなり消えるなど、

しょうもない事からなかなかにきつい事までかなり経験豊富だ。

ちなみに、この会社に入った時、大吉は就職にスベリまくっていた。

そして、藁にもすがる想いでここに面接を受けたところ、彼のあまりにも哀れな状態を聞いた上司が

やむなく入社させたという体たらくだった。 その入社の理由はいまや伝説になっている。

そして、彼の前に座っているのが大吉の上司、「磯山 哲治」(いそやま てつじ)。

見た目は白髪交じりの黒髪にがっちりとした体系で、御年45歳になるが

老化の進行状況は頭部以外には見られない。

彼こそが、「ギターボーイ」を立ち上げた張本人である。

彼のアイデアと行動力は常に「HELLOMUSIC」を牽引してきた。 

「彼が居なければ「HELLOMUSIC」の今日の発展は無かっただろう」。

そう言われる程のキャリアと経験を持つベテラン記者、それが磯山という男である。

そして、現在二人は重要な話し合いをしていた。

お題は、「大吉の度重なる遅刻」だった。


話し合いは険悪なムードで始まった。

「なぜ遅刻をする?」

「……僕、朝弱いんです……」

「早く寝ればいいだろう、お前ちゃんと睡眠とってるか?」

「ちょっと残業があって……最近あまり寝てないです……」

「……頑張って目覚ましでもセットすればなんとかなるだろう?」

「それが……」

「なんだ?」

「目覚まし……聞こえなくって……」

大吉の間の抜けた答えに、磯山はため息をつく。

「お前なぁ……仕事に対してやる気はあるのか?」

「あ、あります! やる気は凄くあります!」

「そうか……、では次遅刻した時は……、いいな?」

「はいっ!」

元気良く応えた大吉に、ひとまず磯山はチャンスを与える事にした。

そして、「絶対取り返すぞ」と呟き仕事に向かった大吉を見て、昔の自分を思い出す。

(ああ、そうだったな。 俺も昔はそうやってがむしゃらに仕事をしていたな……)

そう思いつつ、「何……、まだまだ若いもんには負けんよ」と呟き、彼も自分の仕事についた。

が、しかし次の日……



「……またか?」

「……申し訳御座いませんでしたあああああっ!!」

次の日、そのには再び遅刻を仕出かした大吉と、あきれきる磯山の姿があった。


「……お前は学習という物を知らんのか?」

「……まことに申し訳御座いません……」

「……はぁ、もういい」

「え?」

困惑した表情の大吉に、言いにくそうに磯山はある決定事項を告げた。








「大吉。 ……お前は、今日を持って、クビだ」



ーーーこの一言が、大吉の奇跡の人生の始まりであった。




これからもじっくりと進めて行こうと思いますので、

よろしくお願いします。

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