『ペンシルヴァニア・ウール『東大へ』』『星になりそこねる蛸』
掲載日:2026/04/04
『ペンシルヴァニア・ウール『東大へ』』
「明日は入学式! 晴れるかな?」
「天気予報は雨だよ」
頁の擦れた参考書を縛る手がとまる
そうして過越しの晩餐の夜はきた
「大した料理はないけどお祝いよ!」
「パンとサーカスかぁ……」
街路では予算削減の風が唸っている
手にナイフを取りながら心に描いたのは
眼の前にある肉の取り分けかただった
『星になりそこねる蛸』
通いなれた帰り道を辿っていると
トーテムポールのうえに蛸がいた
赤黒い足が盛んにのたうっている
天は満点の星空!
だけど蛸座は見えない




