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第15話/復活

 1年が経ったある日

 舞と悠は、結婚生活も落ち着き、日常と音楽活動を両立させていた。

 ある朝、悠がカフェでパソコンを開き、ニュースサイトをチェックしていると、ふと画面の一部に目が留まった。


「…え?」

 舞も隣で画面を覗き込む。そこには大きな見出しが表示されていた。


『BLJ、活動再開決定――全国ツアーと新作リリース』


 舞は思わず手を握る。

「信じられない…本当にBLJが戻ってくるんだ」


 悠も目を輝かせ、画面をスクロールする。

「メンバー全員揃っての全国ツアーだって。しかも新曲も準備中らしい」

 二人は思わず息を合わせて笑った。結婚しても変わらない、この熱量の共有。


 ⸻




 田村はオンラインチャットで仲間たちと情報を共有する。

「皆、ニュース見たか!?BLJが再始動だ!」

 京子もスマートフォンを手に取り、笑顔で返す。

「信じられない…でも、これは楽しみすぎる」


 三浦亮太はSNSで速報を流し、全国のファンを瞬く間に巻き込む。

「全国ツアーだって!準備はできてるか、みんな!」

 佐野健太は記事を書きながら、ライブの撮影やレポートの計画をすぐに立てる。

「これでまた、秩序ある熱狂を記録できる…!」


 舞と悠も、結婚生活で得た落ち着きと協力の精神を胸に、BLJ再始動の準備を考え始める。

「全国ツアーなら、八人全員で観に行けるかもね」

「うん、今度は結婚後の二人として、推し活動を楽しもう」


 ⸻




 全国のファンコミュニティは、SNSで一斉に盛り上がる。

「BLJが戻ってくるなんて…夢みたい!」

「前回のツアーよりもっと盛り上がりそうだね」

「新曲も楽しみすぎる!」


 田村たちは、フェス地蔵事件や秩序ある応援文化の経験を生かし、全国ツアーをより安全で楽しめるものにするため、早くも計画を立て始める。

「熱意をぶつけるだけじゃなく、秩序も守って、最高のライブにしよう」


 舞と悠も、結婚という節目を経た自分たちの成長を胸に、BLJ再始動の瞬間を心待ちにする。

「音楽も、友情も、秩序も、すべてが揃った今だからこそ楽しめる」

「そうだね…二人で、そして全国のファンと一緒に」


 ⸻




 こうして、BLJの活動再開の知らせは、舞と悠、八人のファン、そして全国のファンに、新しい希望と期待をもたらした。

 結婚生活、ファン活動、秩序ある熱狂――すべてが交錯した日常の中で、再始動はまるで新たな幕開けの合図のように輝いていた。


 八人と二人は、再び全国ツアーの地で肩を並べる日を思い描きながら、心の奥で静かに誓う。

「次は、もっと熱く、もっと楽しく、そして秩序を守って楽しもう」


 BLJ再始動――それは、友情と音楽、秩序と熱意が交わる、新たな物語の始まりであった。


 東京ドームの夜空に、照明の光が放たれ、開演を告げるアナウンスが響き渡った。会場は観客で埋め尽くされ、ステージ前方からスタンド席まで、見渡す限りの人々が熱気と期待でざわめいていた。舞と悠は、結婚後初めての大規模ライブということもあり、少し緊張した面持ちで入り口をくぐる。チケットを手にした瞬間、二人の心は高鳴り、まるでこの日のためにずっと準備をしてきたかのような感覚に包まれる。


「やっぱり、東京ドームはすごいね…」舞が小さく呟く。

 悠は頷きながら、手を握り返す。「うん、でもここでまたBLJの演奏を生で聴けるのは最高だ。結婚しても、こうして二人で来られるなんてな」


 八人のファンもそれぞれの席に到着し、会場のあらゆる場所で再会を喜び合っていた。田村は前方の席周辺を見渡し、秩序を守るための最終チェックを行いながら、「今日は熱意とマナー、両方を楽しもう」と心の中でつぶやく。京子は舞の隣に座り、久しぶりの再会に微笑みを交わす。「舞、最高のライブにしようね」


 三浦亮太はライブ撮影の準備に余念がない。大規模ドームならではの光と影、観客席全体を見渡せる構図を思い描きながら、カメラを構える手に力が入る。佐野健太は録音機材とメモ帳を前に、演出や曲順、歓声のタイミングを分析しつつ、ライブレポートの構想を練る。


 ステージの照明が落ち、巨大スクリーンにBLJメンバーのシルエットが映し出される。観客席からは一斉に歓声が上がり、場内の空気が一気に張りつめる。舞と悠は互いの手を握り、息を呑む。胸の奥に、BLJの音楽と過去の思い出、結婚生活の穏やかさが一体となって響く瞬間だった。


「やっぱり生は違うね…」舞の声は小さくも力強く、悠は頷きながら答える。「音の振動が、全身にまで届く…これこそ、BLJだ」


 田村は前方で、秩序を保ちながら拍手と歓声を送る。彼の視線の先には、若いファンたちが一体となり、楽しむ姿が広がっていた。京子は舞の隣で自然に声を出し、笑顔を絶やさず、周囲のファンとも小さな会話を交わす。三浦亮太はシャッターを切り続け、光と音の一体感を映像に収める。佐野健太は細部までメモを取りながら、ライブの臨場感を文字に刻む。


 BLJメンバーが新曲を披露すると、東京ドーム全体が一体となる。音楽と歓声が渦巻き、観客席は手拍子で波打つ。舞と悠は顔を見合わせ、自然と笑顔になる。舞の目には涙が光る。「やっぱり、音楽は人を繋ぐんだね」

 悠も頷き、手を強く握り返す。「うん、僕たちも、全国のファンも、同じ瞬間を共有している」


 ライブ中盤では、BLJのヒット曲が続き、会場全体が歓声と歌声で埋め尽くされる。八人のファンはそれぞれの位置で声を上げ、若い世代と手拍子を合わせ、秩序を守りつつも熱狂に包まれる。田村は「熱意はそのままに、他の人への配慮も忘れずに」と心でつぶやき、京子は新しいファンたちに声の出し方や応援マナーを自然に伝える。


 そしてクライマックス、BLJのメンバーが結婚祝いのサプライズ演出として舞と悠の名前を呼び、スクリーンに二人の写真とともにメッセージが映し出される。会場は一瞬の静寂の後、歓声と拍手で揺れる。舞と悠は驚きと感動で抱き合い、涙が頬を伝う。舞が小さく笑いながら囁く。「結婚しても、こうして祝ってもらえるなんて…幸せだね」

 悠も頷き、観客席に向かって微笑む。「ありがとう、みんな。これからも一緒に歩んでいこう」


 ライブ終了後、観客が徐々に退場する中、八人はステージを見上げ、互いに笑顔を交わす。田村は肩の力を抜き、京子と共に「次も、秩序と熱意を守りつつ楽しもう」と話す。舞と悠も手をつなぎ、胸の中で静かに誓う。「音楽も人生も友情も、これからも一緒に楽しもう」


 東京ドームの夜は、歓声と光、秩序ある熱狂が混ざり合い、BLJの再始動を象徴する一日として、二人と八人、そして全国のファンの記憶に深く刻まれたのだった。


 東京ドームの初日が終わった翌週、BLJは名古屋、大阪、福岡、札幌など全国各地を巡るツアーに出発した。舞と悠、そして八人のファンもそれぞれの地で、ツアーに参加しながら熱狂と秩序を守る役割を担った。


 名古屋公演では、三浦亮太と佐野健太が先に会場入りし、観客席や前方エリアの秩序を確認。長時間の場所取りや過剰な応援は避けつつ、ファン同士が自然に手拍子や歓声で盛り上がる環境を作った。亮太はステージの光と観客席の一体感を撮影し、健太は細部までレポートを書き込み、後日オンラインで全国のファンと共有した。


 大阪公演では、田村が若いファンと交流しながらマナー啓蒙活動を行った。

「熱意は大事。でも他の人の楽しみも尊重しよう」

 田村の言葉に、多くの若手ファンが頷き、歓声のタイミングや手拍子のルールを自然に守るようになった。京子も横で微笑み、熱意と秩序が両立した応援文化が浸透していることに安堵する。


 福岡では、舞と悠が八人のファンと肩を並べ、ライブを楽しむ。結婚してから初めてのツアー参加となった二人は、観客席で手を握り合いながら、音楽と一体化する感覚に浸る。周囲のファンたちも、二人の穏やかで自然な応援姿を見て、秩序ある盛り上がりを学ぶ。


 札幌公演では、舞が若手ファンと直接会話を交わし、ライブ前のマナーや歓声の出し方、前方エリアでの譲り合いの重要性を伝える。悠はステージを見上げながら、「全国のファンが一緒に楽しめる環境を守るって、思った以上に大事なことだね」と舞に囁く。舞は笑顔で頷き、二人の絆とファンとの信頼関係が深まっていることを実感する。


 ツアーが進むにつれ、各地の観客も自然と秩序ある応援に従い、熱狂は増す一方で安全で快適なライブ環境が保たれるようになった。SNSでは、公演ごとにファン同士が写真や感想を共有し、「秩序ある熱狂」が一つの文化として広まっていく。田村たちはその中心で、全国のファンに模範を示しながら、活動の輪をさらに拡大していった。


 八人のファンもツアー中、各地で再会を重ね、互いの感想や応援の工夫を語り合う。京子は、舞と悠を中心にしたファンの輪の広がりを見て、「これこそ、BLJ文化の成熟だ」と感慨深く呟く。三浦亮太は撮影を通して、秩序と熱狂が一体となる瞬間を映像として残し、後世に伝える意義を感じる。


 ツアー終盤、札幌でのライブが終了した後、舞と悠、八人のファンは控室前に集まり、歓声の余韻と感動を語り合った。田村は微笑みながら、「熱意は失わず、秩序を守る。この両立が全国のファンに伝わったんだ」と語る。舞は二人の結婚生活を経て得た落ち着きを胸に、「私たちも、ファンも、音楽も、すべてが一つになれたね」と静かに頷く。


 全国ツアーを通じて、BLJは単なる再始動を超え、ファンと共に作り上げる秩序ある熱狂文化の象徴となった。舞と悠、八人のファン、そして全国の応援者たちは、音楽と友情、秩序と熱意が交差する日常を確かに体験し、未来に向けた新たな物語を胸に刻むのだった。



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