第四話 王国軍が攻めてきた……はずが、なぜかヘンなやつらもついてきた㉕
「良い関係を続けるためにココに来た――」
オレがそう伝えると、ヨハネディクトは少し驚いた表情を見せる。
「――キサマこそ、何を言い出す? よもや、吾々に協力する――なんて言わないだろうな?」
「言わない、言わない。むしろ、その逆だ。オマエにオレたちの協力をしてもらう」
「――――――――」
オレはこうヤツに説明した。
「王国の民から慕われている大司教様が、実は邪教認定されている『古代聖教』の信徒だったなんて、話題性充分なネタじゃないか? しかも、女、子供を魔人化するなんて卑劣な行為をするなんてね。もし、それを公表したらどうなるだろう……そう考えるだけでもワクワクしないか?」
「なるほど、私をゆするのか?」
「オレも、こういう世界で生きていくためには、いろいろと味方を手に入れる必要があると知ったんでね」
トルト村に軍を送るような暴挙なんて、今後はもうないとは言いきれない。田舎で悠々自適な生活をするにも権力者の『後ろ盾』が必要なことは、ラノベだけに限ったことではないのだ。
まあ、スローライフ系はだいたい権力者と友好的な関係なんだけど、なにも、そうである必要はない。
ココは闇社会らしく、『相手の弱みを握る』という方法でいこうではないか!
「――なるほど、おもしろい。そうやって、吾々も取り込み、闇社会からこの世界を支配するつもりなのだな?」
――ん?
いや、そういうつもりはないんだが……
「だが、キサマの思い通りになる気はない」
思い通りなる気はない?
「おいおい、そっちに拒否権はないのだけど?」
すると、ヨハネディクトはクスクスと笑った。
「何がおかしい?」
「なあに、キサマは自分の優位性を疑っていないようだが、それこそ、この世界では何の役にも立たない。キサマの優位は一瞬で消え去り、逆に大きな足かせが付きまとうようになるのだ」
だから、何が言いたいんだ?
「ココに来たことは失敗だったな。キサマは『大司教の殺人犯』として、大陸全土から追われる立場になる。もはや、キサマの居場所はどこにもない」
「――えっ?」
ヨハネディクトは懐からナイフを取り出した。
何をするつもりなのか見守っていると、いきなり自分のムネを刺したのだ!
――えっ?
「うわぁぁぁぁっ!」とヨハネディクトの悲鳴が礼拝堂に響く。
「ば! な、何をしている!」
オレは慌てて、ヤツのところまで駆け寄る。だが、ヨハネディクトはすでに絶命していた。
この事態に呆然としているところ、礼拝堂に人が入ってきた。さきほどの司祭だ。
「大司教様! 今の声は……」
ま、マズい!
「大司教様! キサマ! 大司教様に何をした!?」
オレは慌てて逃げ出した。しかし、オレの姿はハッキリ見られていたはずだ。
大失態だ。ヨハネディクトが言っていたことはこれだったのか!
まさか、自分の命を断って、オレを陥れようとするとは――




