第四話 王国軍が攻めてきた……はずが、なぜかヘンなやつらもついてきた㉔
オレは今、ヨハネディクトという大司教――そして、闇組織にも関係を持っている人物と会話していた。
なぜ、女、子供を魔人化したのか?
そうたずねたのだが、ヤツは「なぜ、女、子供だといけないのか?」と逆に質問された。
何を言っているんだ? コイツは?
「女、子供はかわいそうだから――だからか? 男なら魔人化してもイイというのか?」
「いや、そういうわけでは――」
「そもそも、女、子供は守らなければならない――男は自分で自分の身を守らなければならない――という風潮はどこから生まれたんだ?」
「そ、それは風潮とかではなく、体力のある男性が家族を守るというのが――」
「だから、どうして、男は自分の身を犠牲にしてまで、女、子供を守る義務があるというんだ?」
なんか、話がかみ合わない……
「私は昔から疑問に思っていたのだよ。女、子供に限らず、男の命だって尊い。なら、男だからというだけで、自己犠牲を強要するのはオカシイと思わないか?」
「だから、それは強要ではなく、自分の意志で家族を守ろうと――」
「本当にそうか?」
「――えっ?」
だから、いったい何を――
「男はこうあるべきだ――そう教えられたからではないのか?」
「――たとえ、そうであっても……」
「私は、憎んでいるのだ、女、子供を――『自分たちは守られて当然だ』という選民意識がゆるせない」
人は対等に努力すべき。誰かにすがろうとするのはおぞましい考えだ。宗教も同じ。神にすがるだけで自分が救われるなんて、妄想でしかない。
だから、自分は宗教を根本から変えたい――ヤツはそんなことを言う。
「努力によってのみ、人は救われる。努力しない人間に生きる価値などない――とね」
「――それが、『古代聖教』の考えということか?」
古代聖教という言葉に、ヨハネディクトは口角を少しだけ動かしたが、それ以上の反応はない。当然、それについて肯定も否定もしない。その代わりに出てきた言葉は――
「それで、どうするつもりだ? 私を殺すのか?」
「殺す? まさか! オレは正義の騎士でないぞ」
「――では、なぜココにきた?」
「もちろん、これから良い関係を続けるため――だよ」
オレは少しおどけた言い方をした。




