第四話 王国軍が攻めてきた……はずが、なぜかヘンなやつらもついてきた㉓
『幻像』のスキルで姿を消し、ヨハネディクトの話を盗み聞きしていたオレだが、突然、ヤツに声をかけられる。どうやら、最初からオレの存在に気づていたらしい。
くそ、どこまでもいけ好かないヤロウだ。
「それで、私に何の用だ? 救世主とやら――いや、バグロードと呼べばイイか?」
「――なんだ、そこまで知っていたのか。なら、話が早い。オマエはガイルという男を利用し、『精神支配』で黒薔薇商店の組織を乗っ取った。いったい、どういう目的があったんだ?」
そうすると、ヨハネディクトは「クスッ――」と笑う。
「精神支配? そんな大層な術ではない」
精神支配ではない?
「言霊って知っているか?」
「ことだま?」
言葉には魂を持っている。だから、その言葉を発することで、それが現実になってしまうという考え方だ。
「ヤツには『交渉力』というスキルを持っていた。それは言葉巧みに相手を騙す――平たく言えば、ヤツは『言霊使い』だったのだ」
ただし、ガイル自身の能力値が低く、そんなスキルもあまり役に立たなかった。
「ヤツはやたらと野心が高かったのでね――商人職では飽き足らず、支配欲が強かった。だから、ヤツを『魔人化』して、ヤツの魔力を増幅させてみた」
「魔人化? ガイルも魔人だったのか?」
ヨハネディクトはまた小馬鹿にしたような笑みを浮かべるのだが、それについて答えなかった。代わりに――
「バカとハサミは使いよう……まさにそうだ。本当ならもう少し、やりたいことがあったのだがな。キサマのせいで、目論見が崩れてしまった――まあイイ。それはいずれ別の方法で達成することにしよう」
――やりたいこと?
「――女、子供を誘拐して、『魔人化』したことがやりたいことだったのか?」
「そうだな……余興としては、まあ充分面白かったよ」
余興としては? どういう意味だ?
いや、それはイイ。今、聞きたいのは――
「どうして、女、子供ばかりを狙って『魔人化』したんだ?」
「はて? なぜ、そんなことをたずねる?」
そんなこと……って、おい――




