第四話 王国軍が攻めてきた……はずが、なぜかヘンなやつらもついてきた㉑
荘厳な大広間に赤い絨毯が敷かれ、奥まで続いている。両脇にはリリアやアクバルたちが頭を垂れながら、並んでいた。その数、三十人とちょっと……
「バグロード様、奥へお進みください」
メイファに促されて、オレは赤い絨毯の上を歩く。そして、二段ほど上がった壇上に乗った。
そこには、いろいろと装飾された巨大な椅子が置かれ、その横にローズが立っていた。
「どうぞ、玉座にお座りください。バグロード様」とローズは頭を下げる。
玉座って……
「は、はあ……」
言われた通りに座ると、会場にいる全員がその場で、跪いた。
ローズもオレの前へと進み、跪く。
「ココにリリア・ガスリー、および、使用人二名。旧黒薔薇、総勢二十八名。そして、崑蟲族を代表し、私、ローズ――皆、バグロード様に忠誠を誓います」
……………………なんなんだ、これ?
闇社会の支配者が、配下の者を集めて自己満足に浸っている、あの光景なんですけど……
「え、えーと……」
「バグロード様のおっしゃりたいことはわかっております」
――えっ?
「近いうちに、この部屋いっぱいに配下の者を集めます。今しばらくの猶予を私たちにお与えください」
いや、そんなことを言いたいわけではなかったのだけど……
すると、最前列にいたローズだげが立ち上がり、オレの横に立つと、いきなり、こう言い始めた。
「もう理解していると思うが、バグロード様の望みはこの世界を闇社会から支配することであります!」
――そうだったの?
「皆の者、バグロード様のためにわが身を差し出し、存分に励みなさい! 異議ある者はいますか?」
「「「「異議なし!」」」」
……なんだろう?
この、ラスボスみたいな扱いは……
「バグロード様、どうか彼らへお言葉を賜りください」
そうローズから無茶振りされた……
ま、イイか。おもしろそうだし――
こっちのことは彼女たちに任せて、オレは村で悠々自適に過ごせばイイしな。
オレは、「うむ……」と一度うなずき――
「諸君、まずはこうして集まってくれたことに礼を言う。これから、吾々が行おうとしていることに、様々な困難が立ちふさがっていることだろう。だが、諸君ならそれを打ち破り、必ずや成就すると疑っておらぬ。そして、待ち受けるのは、優越と快楽だ!」
なんか、それらしいことを適当に言ってみた。
正直、自分でも意味がわからないのだけど、みんなが「おおぅ!」と感動しているみたいなので、イイことにしよう。
「それでバグロード様、ひとつお願いが――」とローズが言うので、オレは「なんだ?」とたずねる。
「この組織に新たな名を決めていただきたいのですが――」
新たな組織名ねぇ……
たしかに、『黒薔薇』って、口にするたびに気恥ずかしかったんだよなあ……
そうだな……黒薔薇だがら、ブラックローズ……って、それも安直すぎるか……うーん、黒……よし、決めた。
「シュヴァルツ――今より、吾々は『シュヴァルツ』である!」
「おお!」
「シュヴァルツに栄光あれ!」
「バグロード様に栄光あれ!」
「この世界に優越と快楽を!」
こうして、オレは闇社会の支配者として着実に歩みを進めるのだった――
「ところで、闇社会の定義って……なに?」




