第四話 王国軍が攻めてきた……はずが、なぜかヘンなやつらもついてきた⑱
「そういうことか!」
「そのとおりです、バグロード様――」とローズがうなずく。つまり――
「人間を魔道具化し、商品として売り出すつもりだった……」
「人間を魔人化し、兵器として使うつもりだったのです」
オレとローズの声が途中からハモらなくなった……ちなみに、前がオレの声で、後がローズの声だ……
「バグロード様、なんとおっしゃいました?」
「ローズと同じことを言ったのだ」とオレは誤魔化した。
ヤベエ……赤っ恥をさらすところだった。
「なるほど……それじゃ、古代聖教と結託したガイルが攫ってきた女、子供に魔石を埋め込んだのか?」
しかし、それではかなりの大手術になりそうな気がするのだが、しかも、三十人も――?
「そこですが、アクバルは古代聖教の隠れ家の地下で、魔石を砕いて粉末状にしていた痕跡を発見したそうです」
粉末……?
「ま、まさか……」
「はい、そのまさかだと思われます」
オレはそこで自分の考えを言おうと思ったのだが、ぐっとこらえる。また、赤っ恥をさらすわけにいかない。
「ローズ、言ってみよ。そのまさかを――」と、ローズに言わせるように仕向ける。
「では、僭越ながら……おそらくガイルは、粉末にした魔石を食物に加え、攫われた女、子供に食べさせていたのでしょう。そして、それには魔人化の魔術が付与されていたのだと思われます」
「なんだ、オレが考えていたことと同じじゃないか――」
「――えっ?」
あ……マズい、思わず口に出てしまった。オレは咳ばらいをひとつして、「つまり、魔石に加わった魔力により、彼女らは魔人化した……そういうことだな?」と問いかける。
「そのとおりでございます、バグロード様」
ローズが頭を下げると、聞いていたリリアやメイファ、それと組織のメンバーが「おおう」と歓声があがる。
たしかに、そうなれば見張り役だった二人も魔人化した理由はわかる。きっとヤツらも同じ食事を食べていたのだ。
そうとなれば、対処方法もハッキリした。
オレは簡易アイテムボックスからキラービー族からもらってきたプロポリスを取り出す。
「これを魔人化した者たちに無理やりでも飲み込ませるのだ」
「これは、まさかキラービー族のプロポリス!? プロポリスの魔力除去効果を利用するのですね!」
ローズ、説明ありがとう。オレは「うむ――」とうなずいた。
「御見それいたしました。バグロード様は最初からこの事態を予測していたのですね? それで、プロポリスをあらかじめ準備していた。やはり、バグロード様は吾々の考えを一歩、二歩――いや、何十歩も先まで見ていらっしゃる」
ローズがほめると。「おお、さすがバグロード様だ」と組織のメンバーがなんだかよろこんでいる。
いや、実はトルト村で古代聖教の教徒が自爆しないために準備したプロポリスなんだけどね。多めにもらってきて助かった。
「うむ……ガイルが行った仕業だとしても、この件、吾々が責任持って鎮静化せねばならない」
「「「「御意!」」」」
こうして、オレたちは街中へ散っていた。
ところでコイツら――どっから、そんな言葉を覚えたんだ?




