第四話 王国軍が攻めてきた……はずが、なぜかヘンなやつらもついてきた⑭
しびれを切らせたロイドは村人を全員殺そうとする。それを止めたのは父親のバルボアだった。
だが、殺すことを止めたのではなく、ひとりずつ殺して、仮面の男をおびき出そうという魂胆だった。
なんという卑劣なヤツらなんだ! これが王国の将軍と勇者のやることかぁ?
「オヤジ、イイこと言うじゃないか! よし、それでいこう!」
すると、ロイドは外に出て、村人を呼び出す。
「おい! 村長! アンリとかいう昆虫テイマーのガキを連れて来い! あと、そうだな――セリーネちゃんもだ」
村長が「どうするつもりですか?」とたずねる。
「見せしめのために、殺す」とロイドは応えた。
「そ、そんな……」
村長はガタガタと震え、その場に座り込む。
「な、何を言ってやがる! まだ、日の入りまで時間があるだろ!」
村人の誰かがそう叫ぶと――
「今、言ったヤツも出て来い! 一緒に殺す!」
その声に、全員凍り付いた。
「どうした! 早く出て来い! なんなら、全員殺してもイイんだぞ?」
そう脅しても、誰も動かない。
ロイドは頭を掻きながら、「ったく、弱いくせに、生意気言っているんじゃないよ。田舎者が――」とつぶやく。次の瞬間――
「う、うわぁっ!」
テントの前にいたロイドが、五十メートルほどの距離をあっという間に移動し、村人の男性の前に現れた!
「テメエが言ったって、わかっているんだよ!」
右足で村人を蹴り上げる。
「ブファ!」
村人が十メートルほど吹っ飛び、地べたに転がると動かなくなった。
「きゃあ!」と女性たちの悲鳴が聞こえる。
「それじゃ、次は誰が死のうか?」
ロイドは気持ち悪い笑い声をあげた。
「うわぁぁぁぁっ!」
そう叫んで飛び込んでいったのはサムだった。両手剣を振り上げる。だが、それを振り下ろす前に、彼は後方へ吹っ飛んだ。ロイドが飛び込んで、サムに掌打を加えたのだ。
「遅せえ、遅せえよ。はあ? 剣士のスキル? そんなをもらって喜んでいるからザコだって言うんだよ。剣士が戦闘職というなら、勇者は神職。所詮、格が違うんだよ」
そう言いながら、前へ歩き出したところ、ロイドの行く手を遮るように、セリーネが両手を広げて立ちふさがった。
「も、もう、村人には手を出さないで」
震える声でそう相手に言う。
「おうおう、威勢がイイね、セリーネちゃん。てか、どうなの? 女の子のうしろに隠れているって? カッコ悪すぎるだろ?」
ロイドはそう挑発するが、もはや、相手にしようとする村人は出てこない。
すでに殺人鬼となっているロイドを止めようとする者は、村人はおろか、軍の兵士にもいなかった。
「仕方ないね。それじゃ、セリーネちゃんから――」
ロイドはゆっくりと彼女に近づく。その威圧に彼女が一歩下がったところ、ドンと背中に何かが当たった。
振り向くと、黒いローブに怪しい仮面を被った人物が――
「セリーネ、遅くなってごめんね。あとはやるから――」




