第一話 アマゾンで楽しい昆虫採集……のはずが、なぜか異世界に転生していた⑦
『おい、小僧?』
その声で目が覚める。いつの間にか寝てしまったようだ。
ずいぶんと長居してしまった。どのくらい時間が経ってしまったのだろう――母ちゃん、心配しているかなぁ――
『さて、それじゃ森の外まで送ってあげよう』
どうやら、そんなこともできるらしい。まあ、送ってもらわないと、とても村まで帰れそうにないけどね。
『今日は小僧のおかげで、ひさしぶりに楽しかったぞ』
なんか、そんなふうに言われるとオレもうれしい。なにより、自分も楽しかった!
「――ねえ、またココに来てイイ?」
自然に、そんな言葉が出てきた。
『んん……そうじゃな。それじゃ、森に入ったところで、崑蟲王に会いたい――そう、声にしなさい。さすれば、使いの者を寄越そう』
おお! それは助かる!
「うん、わかった! おじいさん、またね!」
『ああ、またじゃ。女神の加護を持つ人間の子よ』
次の瞬間、景色ががらりと変わった。
「なんだ? ここって、ジュラの森の入口?」
空間跳躍? それとも夢落ち? うーん、なんかなんでもありだな?
そういえば、別れ際、おじいさんがヘンなことを言っていたような気がしたが……
「こらぁ! アンリぃ!」
そんな声が聞こえ、オレは振り向く。セリーネだ。
「また、お祈りをサボったでしょ!?」
――お祈りをサボった?
「えーと。今日って、何日? 今、何時?」
思わず、そんなことを聞いてしまう。
「何を言っているの? あれから、まだ二時間くらいしか経っていないでしょ?」
あれから……というのは、さっきセリーネと別れてから二時間ということか?
んー、どうやらあの場所は時間の流れも、地上とは違っているらしい――
「ねえ! 話、聞いている?」
「ん? ああ、ありがとう」と一応、お礼を言う。
「な、何よ。ありがとうって?」
「オレのことを心配して、ココまで迎えに来てくれたんだろ?」
すると、セリーネは顔を真っ赤にして、目を逸らす。
「べ、別に心配していたわけじゃないもん」
うんうん。いつの時代でも、ツンデレというはイイものだ。
「それじゃ、村に帰ろ? 母ちゃんにも謝らないといけないし――」
約束を破ってしまったモノな。六歳児でも、ちゃんとケジメはつけないと――




