第四話 王国軍が攻めてきた……はずが、なぜかヘンなやつらもついてきた⑤
「――という話を聞いたのだ。アクバル、なにか知っていることはないか?」
オレはアクバルを呼び出し、今の話を説明した。
しかしなんだ。オレを魔族だの、神族だの勝手に決めつけないでほしいよなぁ……オレはただトルト村でのんびり過ごしたいだけなのに……どうして、こうもちょっかいを出してくるヤツが多いのかなぁ……
「……使徒、セイモン……という人物は知らないですが、灰色のローブというのに、いささか、心当たりが――」
おお、さすが闇社会で生きてきただけある。いろいろと情報が入ってくるようだ。
「――それで、それは?」
「おそらく、古代聖教の信者ではないかと――」
古代聖教――?
アクバルの話では、「千年前に滅んだ古代人が信仰していた宗教――」という意味で古代聖教と呼ばれ、現代で最も信者が多いアスタリア聖教の前身らしい。
女神アスタリアを信仰する――という意味ではアスタリア聖教と同じである。だが、近年、その『古代聖教』がカルト化しているのだという。
「数年前から、隣国のガルチ聖教国の学生が『古代聖教』と呼ばれるカルト集団へ次々と入信し、騒ぎとなっておりました。その信者が、灰色のローブを好んで着用しているのだと聞いております」
なんでも、信仰を高めることで、自らの持つ潜在能力を極限まで引き出し、新たなスキルを手に入れる――そういった考えが広まっているらしい。
「神から与えられたスキルは一つではない。本当はもっと多くの、有能なスキルを神は与えてくださっている。そのすべてを引き出すためには、人は『修行』するべきである――と」
修行――ね。
こういった考えは、王族貴族を頂点とした身分制や世襲制に阻まれ、抑圧された社会に不満を抱く若者に受け入れられた。『修行』により、強力なスキルを手に入れることによって、身分に囚われない新たな世界を自らの手で作り出そうという若者は、いつの時代でも現れるものだ。
「しかし、入信した若者の中に、不審な死や、騒ぎを起こす者が現れ、聖教国が混乱しました。そこで聖教国政府は古代聖教を邪教認定し、取り締まるようになります」
だが、こういった集団は取り締まれば取り締まるほど、闇深くへ潜り込んで、実態が見えなくなってしまうモノだ。おそらく、古代聖教も闇組織化して、各地へ散らばり、その一部がこの王国へやって来たのだろう。
「――しかし、腑に落ちないことがあります」
そうアクバルが言うので、「なにがだ?」と問いただす。
「ヨハネディクト大司教は、聖教国にいた四年前まで、その古代聖教の摘発をとても熱心であられた人物だと聞いております」
そのような人物が、実は古代聖教に身を置いていたなんて……そう思ったようだ。
「なに、反乱分子を排除する側が、実は真の悪だった――なんて話はよくあることだ」
まあ、オレの世界で出回った物語の中でのことだけどな……
「さようですか。さすがバグロード様。高い見識をお持ちなのですね」
そうほめられて、こそばゆくなってしまう。
「それで、この件の調査は任せて良いか?」
「――バグロード様、ひとつ質問をしてもよろしいでしょうか?」
アクバルがそういうので、「なんだ?」と聞いてみる。
「バグロード様は実のところ、魔族なのですか? それとも、神族なのですか?」
――えっ?




