第四話 王国軍が攻めてきた……はずが、なぜかヘンなやつらもついてきた④
それは昨晩のこと――
大司教、ヨハネディクトは大聖堂にある女神アスタリア像の前で、何やらあやしい人物と会っていた。
その人物は灰色のローブを着て、突然現れると、ヨハネディクトの前で跪く。
「よかったのですか? あのようなクズに、聖教国の至宝である神剣を託して――」
「武器は斬るモノであり、飾るモノではない。なあに、血の気の多い男のほうが御しやすいというモノだ。きっと、吾々の思惑どおりに動いてくれる」
灰色のローブの男の前で、ヨハネディクトは「フ、フ、フ――」と含み笑いを見せる。
「――たしかに。しかし、それだけ、『仮面の男』は警戒するべき……と、お考えなのですね?」
「――ヤツは吾々の崇高な目的を阻害するために送り込まれた『刺客』だと、私は考えている。そうでなければ、あのような能力――とても説明がつかない」
「ということは、やはり、魔族側だとお考えで?」
「あるいは――神族……」
すると、ローブの男は顔をあげる。
「神族!? では、あのお方が動かれたと!?」
司教だけが着用するミトラという帽子が左右に振られた。
「まだわからない。しかし、可能性は否定できない。いずれにせよ恐ろしい敵であることは間違いない」
「――わかりました。では、王国軍には気づかれないように、手の者をその村に送り込むことにします」
「頼んだぞ。今度こそ仕留めるのだ。でなければ、吾々が望んだ世界はまた百年先になってしまう」
ヨハネディクトは「わかっておるな?」と念を押す。
「承知いたしております。して、王都での計画は?」
「――予定通り行う。幸いにも、王国軍が北部へ出兵し、王都警備の意識が薄らいでいるからな」
「なるほど、そこまでお考えでしたか。さすがでございます」
ヨハネディクトはうっすらと笑みを浮かべると――
「世辞を言う暇があるなら、さっさと行くがよい」
「はっ――使徒、セイモン様のために」
「使徒、セイモン様のために」
その言葉を残し、灰色のローブを着た男は姿を消した――




