第四話 王国軍が攻めてきた……はずが、なぜかヘンなやつらもついてきた③
王国軍が急遽、出兵するということで王都はちょっとした騒ぎとなっていた。その規模は約百人。実のところ、かなりの小規模な出兵だが、それ以外の部分で話題となっていたのだ。
バルボア将軍が直々にその軍を指揮するのである。そして、その息子で、勇者でもあるロイドも帯同していた。
向かう先は魔族が占拠している北東部のフーベル地方ではなく、王国最北部の村だということも、騒ぎを大きくした。
ロイドたち勇者パーティがその村に滞在していたとき、魔族からの妨害を受けた。そのとき、魔族が村人を洗脳し、『ひとの盾』として矢面に立たしたため、やむを得ず撤退した――というのが、ロイドたち勇者パーティの言い分である。
その報を受けた国王フェルマイヤは、即日のうちに出兵を許可。翌日、早くも王都を離れることとなった。
「勇者パーティが王都に戻ってきて、まだ三日だろ? ずいぶんと早いな」
「なんでも、他の村にも魔族の手が及ぶ前に、ことを鎮めたいためだとか」
「今度こそ、自分の手で村人を救いたいと、勇者様も帯同を志願したらしい」
「さすが、勇者様だな! お疲れだというのに、民のためにがんばってくださる!」
そんな声が王都でささやかれていた。
「どんな状況でも美談にしてしまうのは、勇者の真骨頂――というところか……」
オレはそうつぶやく。
「それでバグロード様、私も何かお手伝いできることがあれば、どうぞ命令してください」
王都の状況を教えてくれたローズが、そう言うので――
「――いや、ローズは引き続き、組織の再編に注力してもらいたい」
ガイルから奪った『黒薔薇商店』――彼女にそれを押し付け……もとい、任せてある。今はいろいろとゴタゴタしているだろうから、余計な心配はかけたくない。
それに、彼女はどうやら、経営の才があるようだし――
「わかりました……では、そうさせていただきます」と、彼女は応えるのだが、なんか歯切れが悪い。
「なんだ? 何か言いたいことがあるのか?」
オレがたずねると、「実は――」と彼女はある考えを話してくれた。
「私の妹たちをこちらに呼んで、新たに作った部門の指揮を任せたいと思っているのですが、了承いただけますでしょうか?」
へえ、ローズに妹がいたんだ。たちというくらいだから、ひとりじゃないんだろうな。
「なるほど、ローズの姉妹であるなら、能力に疑う余地はないな」
「はあ……確かに能力は保証しますが……ちょっと、クセの強い者ばかりでして……」
うーん、ローズにクセが強いと言わしめるとは、いったい、どんだけなんだ?
……まあ、彼女に任せると言った手前、できるだけ口出ししたくない。
「――わかった。ローズの好きなようにすればよい。責任はオレが取る」
……なんて言っちゃったけど、責任ってどうやって取るんだ?
まあ、サラリーマンの慣用句――ということで。
「ありがとうございます! それではそうさせていただきます! さすがバグロード様です! もう、私の考えを理解してくださったのですね!」
――ん? どういう意味だ? まあ、いっか。
「ところでリリア……」
あ、リリアはダメだ、しばらく、表に出ないようにしなければ――
「どうしました? リリアを呼べばイイですか?」
「いや、リリアではなく……そうだな、黒薔薇商店のメンバーをまとめていたヤツがいただろう? あの背の高い――」
いかん、名前をど忘れしてしまった――
「アクバルでしょうか?」
「そう、ソイツを呼んでもらえないか?」




