表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
崑蟲王~外れスキル『昆虫テイマー』のオレはチートスキルでスローライフを満喫する……はずが、なぜか闇社会の実力者になっていた~  作者: テツみン


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

57/83

第三話 クズ勇者にボコボコにされた……はずが、なぜかボコボコにしていた㉑

 翌朝、オレが目覚めたと聞いて、セリーネが見舞いに来てくれた。

 最初は『二日くらい寝ていようか――』と思っていたのだが、()()()()をするのもつらいと気づき、そういうことにした。


「アンリ、ごめんね。私のせいで、こんなことになって――」

「セリーネはちっとも悪くないよ。悪いのは全部、あのクズ勇者さ」

 オレがそう言っても、彼女はまだ責任を感じているようだ。


「それより、食事を作ってくれてありがとう。とてもイイ匂いだ」

「ミルクの麦粥(むぎかゆ)なら、食べられるかなと思って、作ってみたんだけど、食べられる?」


 あれだけ大きな負傷をして、食欲がないだろうと心配してくれたようだ。

 実のところ、昨日からまったく食べていない。まあ、意識が戻らない――という設定だったからな……だから、とてもオナカが空いている。もっと、オナカにたまるモノがほしいところだが、ケガ人らしく、看病食で我慢するしかない。


「うん、大丈夫。食べるよ……イタッ!」

 起き上がろうとしたとき、オレは痛がる演技をしてみせる。

 すると、セリーネが「ムリしないで」と、オレをもう一度寝かせた。


「私が食べさせてあげるから」

 そう言って、セリーネは椅子とテーブルをベッドの横まで運んでくると、麦粥を手に取り、スプーンですくうと、何回かフーフーと覚まして、オレの口まで運んでくれる。

 オレはそれを口に頬張った。


「おいしい?」

「うん、スゴくおいしいよ」

 すると、セリーネはとてもうれしそうに笑った。


 ――えっ? 仮病でイイ思いしてんじゃねえぞ――だって?

 まあ、イイじゃないか。ダメージはなくても、けっこう痛かったんだぞ。このくらいの役得は許してもらいたい。


「それで、クズ勇者たちはどうしている?」

「それが、昨日、村を出て行ったの」


 黒ローブに仮面を被った人物が現れ、ロゼルをボコボコにした話をオレにしてくれた。

「そうなんだ」

「うん、こんなこと言っちゃいけないんだろうけど、なんかとても清々したわ」


 普段、めったに人の悪口を言わないセリーネがそんなことを言う。よっぽど、あのクズ勇者のことが頭にきていたんだろうな。


「そうか……オレも見たかったよ」と白々しく言ってみた。

「それにしてもあの人、誰だったのかなあ――」

 せめて、名前くらい教えてほしかった――そう彼女は残念がっている。


「きっと、正義の味方――だったんじゃない?」

「なにそれ、正義の味方って?」とセリーネはコロコロと笑う。


「いや、勇者が正義の味方か――それをボコボコにしたヤツだから、悪の味方?」

「ええ? それじゃ、私たちって悪なの?」

「まあ……そういうことになるね」オレが応えると、「やだぁ」とまた笑っていた。


 すると、部屋の扉が開く。

「あら? セリーネさんに食べさせてもらっていたの? まるで、仲のイイ夫婦みたいね?」

 そんなことを言いながら、母ちゃんが入ってきた。


「オ、オバさん、何を言っているんですか!」とセリーネの顔が真っ赤になる。

 母ちゃん、グッジョブだ。


「わ、私、食器を洗いにいきますので――」

 食べ終わった空の食器を持って、セリーネはスタスタと部屋を出て行った。


「それじゃ、今度は私が服を着替えさせてあげるね」とオレの下着を持って、母ちゃんが布団をめくる。

「イ、イイよ。自分で着替えるから!」

 オレは慌てて、着替えを奪おうとカラダを起こした。


「あら? ひとりで食べられないほど、カラダが痛いんじゃなかったの?」

 そう母ちゃんに笑われてしまう。


 あちゃぁ――母ちゃんには仮病がバレていたようだ。

 オレは苦笑いする。


 それにしても、オレたちは()ネ――

 ホント、冗談で済めばイイんだけど……

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ