表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
崑蟲王~外れスキル『昆虫テイマー』のオレはチートスキルでスローライフを満喫する……はずが、なぜか闇社会の実力者になっていた~  作者: テツみン


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

53/83

第三話 クズ勇者にボコボコにされた……はずが、なぜかボコボコにしていた⑰

 その日の夜――


 オレは勇者パーティの寝床に、ノミやシラミを送った。それも、彼が熟睡した真夜中に――

 朝、彼らが起きた時の慌てようといったら、それはもう面白かった。


「か、かゆい! おい、ミリア! 早く治癒魔法でなおせ!」

 ロゼルがあちこちを掻きながら、そう騒ぎ立てる。

 しかし、聖女ミリアはパジャマ姿のまま手鏡を持って、プルプルと震えていた。


「ミリア! 何をしている! さっさとやれ!」

「……ゆるせない」

 ミリアはそうつぶやく。ロゼルの指示は聞こえているはずだが、何もしようとしない。


「わ……私の顔が、こんなに腫れている……私の顔が……ゆるせない」

「はあ? 何を言っている? イイから治癒しろ!」

「アナタのせいですよ! ロゼル! アナタが近道をしようなんて言って、こんな田舎に連れてくるから!」


 それまで、感情らしい感情を表に出していなかった聖女が、猛獣のような形相で、ロゼルに食ってかかった。


「だから、何を言って……」

「国に帰ったら、このことを問題提起します! そして、聖教国から正式に王国へ抗議し、謝罪を求めることにします! イイですね!」


 ミリアがヒステリックに騒ぎ立てるので、他のメンバーはさすがに引いていた。

 おいおい、ノミとシラミくらいで国家間の問題にしなくても……まあ、その原因を作ったのはオレだけどさ……


「ああ! だから王都に帰ろうと言ったのに! もう、ヤダ! アタシ、今日帰るからね!」

 女魔導士のニグレアがネグリジェの上から掻きながら、そう不満をぶちまけていた。


「く、くそ……なんで昨日の夜にかぎって、こんなに虫が来るんだよ……虫?」

 すると、何かに気づいたらしく、ロゼルは寝間着のまま、外に出て行った。


「おい! 昆虫テイマーはどこだ! 昆虫テイマーを出せ!」

 朝早くから、そんなことを大声で騒ぎ立てるので、村のみんなが外に出てくる。


「どうしたのですか? 勇者さま?」

「昆虫テイマーだよ! アンリとかいう。アイツをココに連れて来い! 早くだ!」

 そう、村長へ命令する。


 あちゃー。もうバレたか。案外、早かったな。どうやら、()()でも()()ではないようだ。

 これはもう、出て行かないと事態がおさまりそうにないな。しかたない――


「勇者さま? オレを呼びましたか?」

 そう愛想笑いをしながら、ヤツの前に歩み寄る。すると、いきなりヤツはオレのハラに蹴りを加えた!


「ぶふぁあっ!」

 と、オレは悲鳴をあげて、腹を押さえながら、その場に倒れる。


「きゃあっ!」と女性の声が聞こえた。

 しかし、ロゼルはそんなのお構いなしに、うずくまっているオレのカラダを蹴りまくる。


「オマエの仕業だとわかっているんだよ! ふざけやがって!」

「な……何のことだが……わからない……の、だけど……」

「はあ? オマエしかいないんだよ! くだらないことしやがって! 死ね!」


 執拗にオレを蹴るロゼルに、村人も声が出なくなるほど怯えていた。


「おい、本当に死んでしまうぞ。そのくらいにしろ」

 ロゼルの肩を叩いたのは、二メートル近い大男のハリスという剣士だった。初めて、声を聞いた気がする。

「うるせえ! 殺して何が悪い! オマエは黙ってろ!」


 だが、ハリスはロゼルの腕を掴んでオレから引き離してくれた。

「いくら他国でも、無抵抗の民に暴力を加え殺すところを聖騎士として見逃すわけにはいかない。これ以上、彼に暴力を振るうのなら、今度こそ本当に王国へ抗議しなければならない」


「くっ……」と悔しさを見せながらも、ロゼルは引き下がる。どうやら、勇者という立場がある以上、ヘタに国家間の問題にされたくないようだ。ロゼルもそれくらいはわきまえているらしい。


「アンリ!」

 騒ぎを聞きつけたセリーネがオレに抱き着いた。まだ、パジャマ姿なのでムネの感触がしっかり伝わる。


「おい! アンリを家まで運んでやれ!」

 そんなが聞こえると、男たちに抱えられ、オレは家に運ばれるのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ