第三話 クズ勇者にボコボコにされた……はずが、なぜかボコボコにしていた⑭
それから数日が過ぎた。
勇者パーティのヤツらは何かするわけでもなく、ただ、家の中でダラダラと過ごしている。
そのくせ、食事だけは一人前に食べていた。もちろん、食事代など払わない。
夜になると、ロイドと女魔導士のニグレアは情事を楽しむ。それも毎日である。
そもそも、そのベッドはセリーネのモノだぞ。そこでそんなことをしているのがハラが立つ。
どうやらこのふたり、前々からそういう関係だったみたいで、他のメンバー、聖女のミリアと聖教国の騎士、ハリスは、そんなふたりの関係について、まったく気に留めていないようだった。
だが、ウワサというのはすぐに伝わるモノ。こんな小さな村では一日もかからず、村人全員が知ることになる。そんなこんなで、勇者パーティに対する不満は日々募っていった。
そして、決定的な出来事が起きてしまう。
それは、天気のイイ昼下がりだった。
養蜂所でミツバチの世話をしていたところ、大きな爆発音が聞こえた。みんなで、慌てて向かう。そこは麦畑だったのだが、なんとロイドとハリスが剣を振り回しいるではないか!
「勇者さま! それにハリスさま! 何をしているんですか!? おやめください!」
村長がそう声を張り上げる。
「ああ、しばらくカラダを動かしていなかったからな。ちょっと、模擬戦でもしようとなってさ。ほら、今日は暖かいだろ?」
たしかにこの数日、急に冷え込んでいたのだが、今日はひさしぶり暖かい陽気だった。
「模擬戦って――そこは、種蒔きを終えたばかりだというのに、メチャクチャになってしまったではないですか!」
小麦はトルト村一番の収入源である。その麦畑を荒らされてしまったら、来年の収入がなくなってしまうのだ。
「ああ、ここ畑だったんだ。何も生えてなかったから、空き地だと思ったよ。ワリイ、ワリイ」とロイドは笑って応える。
「ワルイって、いったいどうするんですか! これでは、来年の収穫ができませんよ!」と、さすがに村長も今度ばかりは引き下がらない。
だが、ロイドは「だから、ワリイと言っているだろ!」と悪びれる様子もないどころか、逆切れしてくる。
「種くらい、もう一度蒔けばイイだろ!」
「何を言っているんです! これだけ荒れてしまったら、耕すところからやらないといけないのですよ! もうすぐ、雪が降るころだというのに、もう間に合いませんよ!」
「ああ! わかったよ! 弁償すればイイんだろ! オヤジに頼んでおくよ!」
「だから、そういう話じゃ……」
「もうその話は終わり! やる気が失せたぜ。セリーネちゃん、なんかおやつでも作って持ってきてくれ」
ロイドはそう言って、家の方向へ歩き出す。
さすがにそんな図々しい相手に、トルト村の人たちはハラを立て、何か言いたそうにしていたのだが――
「みんな、落ち着きましょう。私は平気だから」とセリーネは村のみんなを宥めるのだった。
そんな様子を見て、オレは頭を掻いた。
いよいよ、マズくなってきたなあ……




