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崑蟲王~外れスキル『昆虫テイマー』のオレはチートスキルでスローライフを満喫する……はずが、なぜか闇社会の実力者になっていた~  作者: テツみン


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第三話 クズ勇者にボコボコにされた……はずが、なぜかボコボコにしていた⑬

 クズ勇者、ロイドが「村人なんかが騎士団に入れるわけないだろ」とバカにするので、オレは思わず「そんなことはない!」と口を出してしまった。さすがに、あそこまで言われたらハラが立つ。


「はあ? なんだってぇ?」

「村人出身だって、騎士団に入れた者はいた! オマエはウソを吐いている!」


 オレの父ちゃんは村人出身だったが、努力して魔獣テイムのスキルを磨き、グリフォンを使役したことで騎士団に入れたんだ。


「――おい、誰だオマエ?」

 ロイドが凄みをきかせるので、ボブたちがビビッている。


「オレはアンリ・ファーブルだ」

「――あ、そう」


 ロイドがそう声にした瞬間、剣を抜き、オレに向かってきた!


 ヤツからオレまで五メートル以上の距離があった。それを瞬き一回ほどで目の前まで移動したのだ。

 そして、オレの顔からわずか数センチという位置で剣先を止めた。


「きゃっ!」

「うわっ!」


 セリーネやボブたちがそれを見て、悲鳴に近い声をあげる。


 今のは武技か?

 いや、ただ飛び込んだだけだ。それでも、上級冒険者の武技より速かったかもしれない。

 なるほど、さすが『勇者』さまだ。


「ちょ、ちょっとロイド! 一般人に剣を向けちゃダメでしょ!」

 そう言ったのは、女魔導士だった。たしか、ニグレア……とかいったかな?


 だが、ロイドはそれを無視して、オレに話しかける。


「オマエ、戦闘職か?」


 今の踏み込みでオレが動じなかったから、タダ者じゃないと思われてしまったかもしれない。しまった。ビビった演技でもすればヨカッタ――まあ、いまさら遅い。


「いや、オレは昆虫テイマーだ」


 そう応えると、ロイドは驚いた顔を見せる――かと思ったら、突然、笑い出した。


「昆虫テイマーだってぇ? なんだよそれ? 聞いたこともないぞ」


 ヤツだけでなく、勇者パーティの三人も笑い出した。


「いやあ、ワルイワルイ。だけど、昆虫テイマー? 田舎って《《つまらない》》職があるんだな?」


 そう言って、ロイドはオレの肩をたたく。そして、顔を近づけると――


「いいか? 今度、生意気なことを言ったら殺すからな」

 そう(ささや)き、オレから離れた。


「ねえキミ、村長の孫だよね? 名前、なんて言うの?」

 今度はセリーネにちょっかいを出し始める。


「セリーネ――」と怯えながら応えると――

「ふーん。セリーネちゃんかぁ。カワイイね」とロイドは言う。しかし、視線はセリーネの胸元ばかりだ。コイツ……


「そんじゃ疲れたし、家に入ろうぜ」

 ロイドの声に、勇者パーティの三人もあとを追った。


「ああ、そうそう。セリーネちゃん、あとで食事を持ってきてもらえるかなぁ? じゃあ、よろしく」

 そう言い残して、四人はセリーネの家だった建屋に入っていった。


 コノヤロウ……セリーネを使用人と勘違いしていないか?


「アンリ、大丈夫だから」

「――えっ?」

「私、大丈夫だから。もう勇者パーティと関わらないで」


 どうやら、オレがロイドのことを睨んでいたので、セリーネが気を使わせてしまったようだ。


「セリーネ、あまりムリするなよ。なにかされたら、オレが助けるから」


 そう伝えるのだが、彼女は「だから、平気だって」と笑顔を見せた。それから、「食事を作らなければならないから」と、今日から自分の家となる空き家へ走っていった。


「アンリ……そのう、ゴメン」


 そう言ってきたのはボブ、サム、ジャックの三人だった。自分たちをかばったせいで、オレがロイドに目をつけられてしまったことを気にしているようだ。


「まあ、あんなヤツの言っていることなんて信じなくてイイからな」とオレは、彼らを逆に励ましてやった。


 それにしても、面倒なことになったなあ……

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