第三話 クズ勇者にボコボコにされた……はずが、なぜかボコボコにしていた⑩
オレがケーニッヒの死を利用して何か企てている――そうローズは言う。
いやいや、意味がわからないんだけど?
「そうか! そういうことなんですね!」と、突然、メイファが声をあげる。
えっ? 何?
彼女はこう説明を始めた――
ケーニッヒの死を隠蔽したまま約束の二日後、ケーニッヒの協力者だと言って、バルボアに会いに行く。
バルボアがケーニッヒの死を知らなければ、そのまま協力者のフリをして、カネを受け取ればイイ。それで金貨千枚が手に入る。
もし、バルボアがケーニッヒを殺したのならば、それをゆすりのネタにできる。
「――と、いうことです。バグロード様、いかがでしょう?」
なるほど――そういうことか……つまり、ケーニッヒがもらうはずのカネを横取りすることだな?
「うむ、私の考えとだいたい同じだ。メイファも良く気づいた」
と、彼女を誉めて誤魔化す。
「ありがとうございます。それで、だいたい――と申しますと、なにか不足があるのですね?」
――えっ?
やべえ、あまり考えず「だいたい」なんて言ってしまった。そんな、不足なんて……
だが、全員が期待した目でこちらを見ている。うわっ、な、なんか言わないと――
「そ、そうだな……そう、ケーニッヒを殺す理由がある人物はバルボアだけとは限らないのではないか?」
苦し紛れに、そんなことを言ってしまった。いるのかよ、そんな人物?
「なるほど、そういうことですか――」とローズはうなづく。そういうことって、どういうこと?
「今度はなんだよ?」とリリアがローズに向かってたずねる。リリア、グッジョブだ!
「つまり、仲間割れの可能性――ですね?」
ケーニッヒの協力者という人物が、手に入れたカネを全部自分のモノにしようと殺害した――ということだ。
たしかに、そういうことも考えられる。
そうなると、その『協力者』という者も、二日後、バルボアと接触してくるだろう。金貨千枚を手に入れるために――だとしたら、こちらとかち合ってしまうかもしれない。それはマズい。
「……いえ、あえて接触するのです。そして、ケーニッヒが言っていた、『決定的な証拠』を聞き出せるかもしれません」
そう応えたのはメイファだった。
おおっ! それはイイ。もしかしたら、父ちゃんのことも知っている可能性だってある!
「イイ策だ。見直したぞ、メイファ。オマエたちに任せて大丈夫だろう」
上から目線で言ってみる。
「恐れ多いお言葉。助言にみせて、発案したことを配下に譲るとは! さすが、バグロード様! 寛容な方の下で働けて、このメイファ、恐悦至極に存じます!」
なんでそうなるのかわからないが、ツッコムことはやめることにする。
「それと、ひとつお伝いしたいことが――」
ローズがそう言うので、「なんだ?」とたずねる。
「実は例の勇者パーティが……」
――えっ?
「な、な、な、なんだってぇぇぇぇっ!」




