表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
崑蟲王~外れスキル『昆虫テイマー』のオレはチートスキルでスローライフを満喫する……はずが、なぜか闇社会の実力者になっていた~  作者: テツみン


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

4/83

第一話 アマゾンで楽しい昆虫採集……のはずが、なぜか異世界に転生していた④

 オレの父ちゃん、ユーリ・ファーブルが『裏切り者』呼ばわりされた、フーベル地方奪還作戦失敗から一年。フーベル地方を占領した魔族は不気味なほど静かで、あれ以来、進軍してこない。

 王国も大きな打撃を受けた騎士団と軍の立て直しを優先して、再反撃は行わないままだった。


 そして、オレは――母ちゃんの故郷、トルト村に引っ越したのである。


 別に、父ちゃんのせいで王都に居づらくなったからではない。もともと奪還作戦後、父ちゃんは騎士団を辞めて、このトルト村へ帰ることを決めていたそうだ。それが息子のためだと、母ちゃんと話していたらしい。


 実のところ、オレもこの村の生活に大変満足している――というのも、ここは緑豊かで、たくさんの虫と出会えるからだ。王都には、人の生活に順応した虫しかいなかったので、正直、つまらなかったんだよなあ――


 この村にやってきてからは、オレは時間さえあれば、隣接するジュラの森に向かうのが日課だったのである。


 ということで、今日もオレは森深くに足を踏み入れていた。えっ? さっき、セリーネと「入り口まで」と約束していなかったか――だって? まさか、そんな約束なんて最初から守るつもりはない。まあ、だからいつも怒られているんだけど――



「ん? こんな道、あったかな?」

 この辺りのケモノ道はだいたい把握していたはず。新しく、動物が作ったのだろうか?

 オレは記憶にない道に初めて入った。さて、何がいるかな?


 しばらく歩いたのだが、同じような木々と草むらの中を進むだけで、あまり面白くない。まあ、逆に一本道だから、迷うこともないだろう――


 それでも、十分ほど歩き続けたところで、さすがにこれ以上進んでも仕方ないと引き返すことにした。そろそろ、村に戻らないとお祈りの時間に間に合わない。また、セリーネに怒られてしまうからな……それもイイけど。


 ……いや、別に特殊な性癖を持っているわけではないから。多分……



 引き返してから十分ほどが経過――

 あれ? 知っている場所に出てこないぞ?


 これって――

「……迷子になってしまった」


 オレは頭を掻く。いったいどこで間違えたんだろう。分かれ道なんて気づかなかったのだが……うーん、やっぱり六歳の背丈では視界が限られてキビシイなあ。

 とにかく、こういう時には冷静でいることが大切だ。前の人生では、アマゾンの密林で何度、迷子になったことか――こういうときこそ、落ち着いて手掛かりを探すのだ。

もちろん、GPSもなければ羅針盤もない。しかし、手掛かりは他にもたくさんある。太陽の位置、植物の向き――これだけでも東西南北は把握できる。あとは自分がどの方角から森に入ってきたか――それさえわかっていれば、かなりの確率で人里まで戻れるモノだ。


 そういうことで方角の確認。トルト村は森の南側。つまり、オレは南から森に入った。なので、南に向かえばイイ。


 太陽の位置は――

 ん? 陽が射してない? 雲が出てきたのか?


 ならば仕方ない。植物を確認する。よく切り株の年輪を見ろと言われるが、別にその必要はない。植物というのは自然に太陽に向かって茂るものだ。なので、そちらが南になる。


 ということで草木を確認する――わからない。

 そもそも、ジュラの森にこんな木々が生えていただろうか?

 うーん……こりゃ、本格的にヤバいぞ。


 こうなると、手は一つ。より高い方向へ向かうのである。低い場所は、谷や崖など、危険が伴う場所が多い。少しでも高台に行くことで生存率が上がるのだ。


 自分が歩いてきたケモノ道をじっくり確認し、上りの方角へ進み始めた。


 一時間ほど歩く――

 んー……相変わらず鬱蒼(うっそう)とした森の中から抜け出せない。さすがに疲れてきた。頭は二十代の知識があっても、体力は六歳の子供だ。

 少し休もうか――そう思った時、近くでゴソゴソと草木が揺れた。


 オレは咄嗟(とっさ)に隠れる。見えたのはオオカミだった。おナカを空かしているのか、口からよだれを垂らしている。


 オオカミは鼻がイイ。隠れていてもすぐに見つかる。オレは木によじ登った。オオカミは木に登れないからだ。

 しかし、ココでも六歳児のカラダであることが災いする。あともう少しで上の枝に手が届くというところで、足がすべって地面まで落下してしまった。


「イテッ!」

 そんなことを言っている場合ではない。オオカミが「グルル――」と唸りながら近づいてきた。しかも、いつの間にか三匹に増えている。

 オオカミは決して大型の(けもの)ではない。成人した人間より小さいので、人間を食料と考え、襲うようなことはないらしい。ただし、子供は違う。オレのカラダは明らかにオオカミより小さかった。


 どうやら、ヤツらはオレのことをエサだと判断したようだ――


「おいおい――言っておくけど、人間は雑食だから、食べても美味しくないらしいぞ」

 オレはオオカミに向かって、そう忠告した。もちろん、オオカミが人間の言葉を理解するわけもない。


 相手より小さい――というのは、圧倒的に不利な状況である。ただし、唯一のメリットがあるとしたら――


 オレは木の根元にある小さな穴に入り込んだ!

 オレがやっと入れるくらいの大きさだから、オオカミは入れない!


「ガウ! ガウ!」と大きな口を穴に突っ込んできたが、間一髪、オレの脚はそれから逃れる。そのまま、相手の鼻を狙って蹴った!


「キャイン!」

 オオカミはなさけない悲鳴をあげて、穴から離れる。もちろん、外で待ち伏せしているだろうから、この穴にしばらくいるしかない……


「あれ? この穴、けっこう広いぞ」

 入り口はオレがやっと入れるくらいだったが、中はなんとか四つん這いで動けるくらいの高さがある。そして、奥へとつながっていた。

 こうなったら、奥まで行ってみよう――そう考え、そのまま進む。


 そのうち、入り口の光が届かなくなり、中が全く見えなくなる。でも、穴は続いているようだ。そのうち目がなれ、うっすらと状況がわかるようになった。十メートルほど進んだところで、行き止まりが見えた。


「どうやら、ココまでか……」

 そう思いながら、一番奥に到着したところ、手をついたはずの地面がない。

「――えっ?」

 下方へ転がり落ちる!


 しまった! 行き止まりじゃなくて、下に穴が続いていたんだ!


 それに気づいても、もう遅かった。転がる勢いは止まらず、どんどん下へ――


「わっ! わっ! わっ!」

 どのくらい落ちたのだろう――今度は突然、宙を舞った!


「うわぁぁぁぁっ!」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ