表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
崑蟲王~外れスキル『昆虫テイマー』のオレはチートスキルでスローライフを満喫する……はずが、なぜか闇社会の実力者になっていた~  作者: テツみン


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

17/83

第二話 ハチミツの儲けを取り返す……はずが、なぜか組織ごと乗っ取っていた③

「なんだ、ムシ臭いと思ったら、ムシ野郎が来ているのかよ」


 そんな声が聞こえた。見るとボブ、サム、ジャックのモブ三人組だった。悪口のレベルが五歳児から変わっていない。


「ちょっと、アンタたち! まだ、そんなことを言っているの! アンタたちの家だって、アンリのおかげでいろいろ助かっているんでしょ!?」


 やっぱり――というか、お約束のようにセリーネが三人にからんでしまう。オレは誰も気づかれないようにため息をついた。


「はっ! ムシを手なずけるくらいでそんなに威張るな! そんなことをしてもらわなくても、ムシくらい簡単に始末できるさ! この剣でな!」


 ボブとジャックは腰に差していた剣を抜いて、自慢げに見せる。サムも魔法杖を見せびらかしていた。

 この三人、十三歳の時に剣士と魔導士のスキルを授かったのだ。トルト村から戦闘系のスキルを授かった若者が現れたのは二十五年ぶりだったというのに、同時に三人ということで、トルト村は大騒ぎだった。


 この国、ウィルハース王国において、剣士や魔導士は花形の職業である。兵士や冒険者として活躍できるからだ。功績を残せば、平民出身でも裕福な暮らしができるようになるし、貴族へ引き上げてもらえることさえ夢ではない。


 だから、三人が戦闘職を授かったことで、村の人たちはとてもよろこんだ。村の出身者が名声をあげれば、村の知名度だって上がるのである。


「ウソ言わないで! 剣で虫を斬るなんて、できるわけないでしょ?」

「はっ! やってやるさ! おい、ムシ野郎。ココにムシを連れて来い! オレが斬ってやる!」


 ボブがそんなことを言うので、オレは呆れてしまう。


「うん、わかった、わかった。さすが剣士だ。そんなことをしなくても、充分強いってわかるよ」

 そうほめてやることにした。


「はあ? オマエ、オレのことをバカにしているだろ?」

 なぜか気に障ったようで、オレに剣を向けてくる。


 あれ、ちょっと言い方がマズかった? オレは頭を掻く。


「そ、そんなことはないぞ。だからな。その剣をおさめてくれ」

 そうボブに頼むのだが、「このヤロウ、ふざけやがって」と、なおさら怒っている。


 うーん、人間との会話はむずかしいなあ……


「えーと――どう言えば、わかってくれるかなぁ」

 オレは苦笑いしながら、相手に言う。


「うるさい! これでもくらえ!」

 そう言って、ボブはいきなり剣をオレに向かって振り下ろしてきた。


 ――ん? この間合いだと、ギリギリで当たらないな。そう、気づく――と、いうのも、この辺りに飛んでいる昆虫たちの視界をオレは共有しているからだ。昆虫は複眼により動体視力が、人間のそれよりはるかにイイ。だから、剣の動きが余裕で認識できた。


 それにしても、ボブのヤツ、ギリギリ当たらないように剣を振る――なんて芸当ができるのかぁ。『剣士のスキル』というのも()()じゃないな。

 ――なんて、冷静に考えてしまう。


 ボブが振り切ると、セリーネが「きゃあ!」と悲鳴をあげた。


「ちょっと! 何をしているのよ! いきなり、人に向けて剣を振るなんて!」

 セリーネが怒るのも当然だ。


「そうだぞ。いくら当たらないように振ったとしても、良くないことだぞ」と、オレも一応、注意する。


 すると、ボブは驚いた顔で――

「な、なんでオマエはビビってないんだよ!」


 ああ、なるほど。やっとわかった。コイツ、オレに怖がってほしかったんだ。そうだよな。剣士のスキルを手に入れたって、自慢したいんだ。

 手っ取り早く、自分より弱そうなヤツを捕まえて、スキルを()()()()()()()()()()のだろう。


 まあ、そういう時期もあるよな。

 そうとわかれば――


「い、いや、あまりにも速くて、怖がる余裕もなかったんだよ」

 いまさらだが、「もうやめてくれ」と頭を下げる。


「ふん、つまらないやつ。おい、行こうぜ」

 おもしろくない――そんな顔をして、三人は離れて行った。おれは、ヤレヤレとため息をつく。


「アンリ、大丈夫? ケガしていない?」

 セリーネが心配そうに顔を近づけるので、「大丈夫だよ」と応える。


「もしケガをしても、セリーネが薬でなおしてくれるだろ?」

 オレはそんなことを言ってやる。


 そう、セリーネは薬剤士のスキルを神から授かった。男子相手に取っ組み合いをする彼女だから、きっと格闘系のスキルを授かるのだろう――なんて想像していたで、おとなしい職種だったことにちょっと驚いたモノだ。


 ただ、彼女は小さい頃から草木を育てるのが好きだった。彼女の庭先にはさまざまな植物が植わっている。それが影響していたのかもしれない。薬のほとんどは植物からできている。この世界の薬剤師は、薬草を育てることも仕事なので、今から思えば納得である。


 この薬剤師というスキルもレアらしく、それを知った王立学校の教授がわざわざトルト村までやってきて、セリーネをスカウトしていたのだ。


「も、もう! そんなことを言って、誤魔化さないで! とにかく、三人をからかうようなことはしないでよね!」

 そう言われる。


 別に、からかったつもりはないんだけどなあ――

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ