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崑蟲王~外れスキル『昆虫テイマー』のオレはチートスキルでスローライフを満喫する……はずが、なぜか闇社会の実力者になっていた~  作者: テツみン


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第二話 ハチミツの儲けを取り返す……はずが、なぜか組織ごと乗っ取っていた②

 さて、改めてココでこれまでの経緯を話そう。


 五歳の時、魔獣テイマーであり、騎士団員だった父親のユーリ・ファーブルが行方不明となった。そのあと、オレは母ちゃんの故郷である、ここトルト村で暮らすことになる。

 六歳の時、森で迷子になり、コンロンの大樹海に住む『崑蟲王(おじいさん)』と出会った。彼は様々なことを教えてくれた。


 そして崑蟲王の死にぎわ、オレは彼の《《能力》》を授かる。十万年も生きた彼なので、それはもうチート級の能力ばかりだった。


 中でも一番気に入ったのは――


「カンテイ――」

 自分の手を見ながら、そうつぶやく。すると、目の前にウインドウが現れた。


 名 前:アンリ・ファーブル

 年 齢:十五歳

 種 族:人間(転生者)

 ジョブ:昆虫テイマー

 レベル:12

 H P:1024/1024

 M P:512/512

 攻撃力:78  防御力:34

 素早さ:48  精神力:252

 スキル:  念力、思念伝達、幻影、鑑定、授受、空間操作、昆虫テイム

 魔 法:  火属性魔法(Lv3)、風属性魔法(Lv4)、水属性魔法(Lv5)、土属性魔法(Lv5)

 アビリティ:剛力、堅剛

 加 護:  女神の加護、崑蟲王の加護


 そう、異世界モノではおなじみの『鑑定』スキルである。おじいさんはオレのことを、『転生者』とか『女神の加護』とか言っていたので、「もしや――」と思ったのだが、まさにそれだった。


 他にもチート級の能力を授かったのだが、それについては折々話すことにしよう。


「えっ? アンリ? 何か言った?」

「ううん、何も」と誤魔化す。


 ――十三歳になったところで、予定通り神さまから『昆虫テイマー』の職と、昆虫テイムのスキルをいただいた。昆虫をテイムすることによる具体的な効果はいくつかある。


 まずひとつが『昆虫の行動を制御する――』というモノだ。つまり、昆虫を自由自在に動かすことができる。


 二つ目に『五感の共有』。虫が見ているモノ、聞いているモノ、匂いなんかも感じ取れる。一度テイムすれば、どんなに離れていてもリアルタイムで共有できるようだ。


 また、『記憶の共有』なんてのもある。虫は案外、記憶力がイイ。どこに何があったかを映像として覚えている。それを共有するのである。

 なので、こんなこともできる。テイムした虫をある場所に送り込んで、あとでその記憶を見る――なんてことだ。

 この能力のおかげで、オレは行ったことのない場所もいろいろ知ることができた。


 驚いたのは、テイムできる数に制限がないこと。オレがテイムを解除しないかぎり、何匹でもテイム可能で、彼らに仕事をさせたり、情報を得たりできる。


『昆虫テイム』とスキル名はついているが、昆虫以外の節足動物もテイムできた。崑蟲族もだ。どうやら、その区分は曖昧らしい。神様もイイ加減なものだ。


 そんなこんなで、もらった能力をいろいろ試したりしながら、なかなか充実した日々を送ってきた。

 そしてオレは数日前、十五歳となった。今や立派な農夫である。


 昆虫テイマーなのに、農夫なのか?

 ――だって?

 おいおい、農業と虫は切っても切れない関係なんだって知らないわけはあるまい?

 えっ? 知らない? なら、それも説明しよう。


 先ほどみたいに、農作に適した良い土を作るためには、虫のチカラは欠かせない。もちろん、イイことだけではない。農作には害虫対策も必須である。

 有益な虫たちには働いてもらう。有害な虫たちは、畑から離れ、森などに住んでもらう。そういったことを『昆虫テイム』のスキルで管理するのだ。


 どうだ? 昆虫テイマーは農業に最も適した職業だと理解してくれただろう?


 事実、昆虫テイムのスキルを授かった二年前から、ウチの畑は二倍の収穫量になった。品質も良いと、買い付けの商人たちにも評判は上々だ。

 今では他の畑の害虫駆除もやっている。もちろん、タダというわけではない。それなりのお小遣いをもらってのことだ。


「そうそう、家ダニやゴキブリも見かけなくなったって、みんな喜んでいたよ」

 セリーネの言うとおり、村中の家に住むダニやゴキブリたちにも出て行ってもらった。これらの虫は感染症を媒介するので、村の衛生環境向上につながる。


 こんなふうに、オレのスキルは村で重宝がられていた。


 もちろん、最初から『昆虫テイム』の有能性を理解してくれていたわけではない。以前は「あの子()()外れスキルで、かわいそうに――」なんて、村の人からヒソヒソとウワサされていたモノだ。

 なにせ、その年はちょっと別の理由があって、オレだけ外れスキルだと思われてしまったのである。

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