誕生祭当日
「見つけたよ、リリカ」
「えっ、レイ!? どうしてここに?」
リリカは慌てて先程屋台で購入したものを隠す。
デジャブを感じる。前にもこんなことがあった気が……。
「リリカが行くなら僕も行くから言ってくれたら良かったのに」
明らかにしゅんと落ち込んでいるように見える。
「っ申し訳ありません……」
「今度は僕を誘って。いいね?」
有無を言わさぬ声音で言われ、「はい」と言わざるを得なかった。
「ところで、君は後ろに何を隠したのかな?」
「えっ!? なな何のことでしょうか」
目を泳がせて後退りする。
「ホント嘘が下手だね」
「うっ……。こ……これ、です」
誤魔化すことを諦めて先程購入したものを差し出した。
「!?これは……えっと、僕の写真、と人形、だね……」
「そうですわ。だって……だって可愛かったんですもの!! 欲しがる人の気持ちがよく分かりますわ」
リリカは勢いで告げる。するとレイリックは照れているのか、頬がみるみるうちに赤く染まっていく。
「っ……それをどうするの?」
「もちろん部屋に飾りますわっ」
「……」
「この子と一緒に寝ようかしら」
人形を見て、思わず呟いた。
こんなに可愛い子だから、ベッドに置くのもいいわね。
と考えていたリリカだったのだが、「へぇ……」という低い声が目の前から聞こえ、顔を上げる。
「……嫉妬してしまいそうだな」
「え?」
「その人形ばかり可愛がるなんてさ」
「へ?」
驚きのあまり素っ頓狂な声を上げる。
「僕も可愛がってよ」
いきなり耳元で囁かれる。
「ひゃうっ」
つい変な声でちゃった。でも、格好よすぎでしょ……。こんなの平気な人絶対いないわよ。
「ふふふっ。赤くなって、本当に可愛いなぁ」
「っ〜〜。さ、さぁ、行きましょう」
耐えられなくなり、早足で進む。
その後、誕生祭のフィナーレに花火があると聞き、2人で並んで見ることになった。
「レイ、お誕生日おめでとうございます」
「ありがとう。いつもは誕生日なんて特に意識してなかったけど、リリカに祝われるのは嬉しいね。ああ、そうだ。プレゼントありがとう。綺麗な飾りだったよ」
「!!良かったです。……ってどうしてそれを!?」
こっそり置いたはずよね!?
「どうしてってそりゃあ、見たら分かるよ」
「え?」
「メッセージカードの字でね」
「ええっ!? そんなに分かりやすかったですか!?」
「さぁ、どうかな。少なくとも僕はすぐに気が付いたよ」
さ、さすがレイね。隠しごとなんて何も出来ないわ。でも嬉しい……。
こっそりと置いておきながら、心のどこかでは気づいてほしいと願っていたのだ。
「来年は渡しに来てね。いつでも待ってるから」
「っ!!」
レイと未来の話をしたのは初めてで、それがなぜか無性に嬉しくて、どきどきと胸が高鳴った。




