解決
「これが御神木……」
そこにはこの世のものとは思えない不思議な空気を纏った木がそびえ立っていた。
「じゃあリリカ、シェリル、お願い」
「ええ」
「仕方ないわね」
そう言って、神木にリリカは神力を、シェリルは聖魔法を当てる。すると神木は白い光を帯びて輝き始めた。そこに男神が触れると、男神もまた白い光を帯び、神木と男神が一体化しているかのようなものを感じる。
「うん、ありがとう。これで帰れるよ」
「ねぇ。約束、守ってもらうわよ」
シェリルが男神に向けて、そう発する。
「うん?」
「願い、叶えてくれるんでしょ?」
「ああ、もちろんだよ。約束だからね。何を望む?」
「そうね……。もし元の世界に帰りたい、って言っても叶えてくれるのかしら?」
「うん、もちろん、叶えてあげられるよ」
元の世界……。帰ろうなんて考えたことすらなかったわ。無理だって思って考えないようにしてたのもあるけど、この世界ってなんだかんだ楽しいのよね。娯楽は少ないけれど。
「……いいえ、止めておくわ。帰っても碌なことないもの」
聖女様? 前世で何かあったのかしら。
だとしたら帰りたくないと思うのも当然だろう。聖女である以上、国からは丁重に扱われ、公務さえきちんと行えば、あとは自由な生活を送ることが出来る。
「だからそうねぇ。良縁でもお願いしておこうかしら」
前世では縁には恵まれなかったし。
「私も素敵な男性と出会いたいわ」
「いいよ〜」
軽っ。
「本当に叶えてくれるのよね?」
シェリルは男神のあまりの軽さに信じられず、思わず尋ねた。
「うん。期待して待っててよ」
自信満々といった感じで男神は告げる。
「で、リリカはどうする?」
「えっと……貴方って植物の神様よね?」
「うん、そうだね」
「だったら、私の育ててる茶葉がたくさん収穫出来るようにお願いするわ」
「了解。任せてよ」
これで一生、茶葉には困らないわね。
そう思い、リリカは心の中で喜んだ。
リリカらしい願い事だね。
とレイリックは笑顔で見ていた。
「おっと、時間だ。じゃあね〜」
そう言うと男神は手を振りながら、光の中に消えていった。
その後、シェリルはウェルディ聖王国へと帰還することになった。
「じゃあ、私は帰るわ」
「ええ。またお会いしましょう、聖女様」
「またって……ホント、お人好しよね」
「そうでしょうか?」
「そうよ。あと、聖女じゃなくてシェリルよ」
「!! はい、シェリル様」
「敬称なんて要らないわよ、今更。あと敬語も要らないから」
「っそうね、シェリル。なら私のこともリリカって呼んでちょうだい」
「っ分かったわよ……リリカ」
どうしてまた仲良くなるかな?
傍から見ていたレイリックは疑問に思った。
ホントつくづくお人好しだよ、僕の可愛い婚約者は。まあそんなところも好きだけど。
「シェリル、今度は遊びに来て。歓迎するわ」
「っ仕方ないわね。いつか遊びに行ってあげるわよ。……楽しみにしてるわ」
とボソッと最後に小声で呟いた。
そして別れを告げると、シェリルは王宮を去って行った。




