船の一室にて
レイリックは先程レナードからの連絡を受け取った。
まあ、妥当なところかな。レナードのことだから、死罪はないとは思ってたし。ナタール国王も即決したみたいだね。いくら2人が国に重宝されている家柄出身だったとしても。今回の件で彼らを擁護してしまえば、彼らの行動が国の意思だと見なされ、即戦争にもなり得る。それは避けたかったんだろう。残すは香水を彼らに渡した者の調査か。追わせているし、すぐに見付かればいいけど。
まあ、それはそうとして……
「どうして眠れるのさ……」
ベッドですやすやと眠っているリリカを見て言う。しばらく寝顔を堪能していたレイリックだったが、ふとそんな疑問が頭の中を駆け巡ったのだ。
実際はレイリックが常に側にいるこの状況で気を張っていたためベッドに入った途端、緊張からの疲れであっという間に眠ってしまったのだ。
そして今はもう朝だ。レイリックは一睡も出来ていなかった。
意識されてない!? いやいや、そんなわけないでしょ。両想いになれたんだから。僕だって眠ってる婚約者を襲うつもりはないけど、だからといってこの状況は……。
レイリックは一晩中悶々と過ごしていた。
「ん……。ここは……」
「おはよう、リリカ」
「……あ、そうでした。おはようございます」
船の一室で2人きりで泊まっていたことを思い出したリリカは寝ぼけながらも挨拶する。
「寝起きのリリカも可愛いなぁ」
「へぁ!?」
リリカはレイリックの言葉に驚いて、ガバッと飛び起きた。
一気に目が覚めたわ。朝からこれは心臓に悪すぎる。
心臓がバクバクいう音が聞こえてくる。
「だけど、ちょっと無防備すぎじゃないかな」
「え?」
「こんなに安心して眠るなんてさ。いや、安心してくれるのは嬉しいんだけど」
どっちなの?
とリリカは頭に?を浮かべている。
「分かってなさそうだね……。僕だって男なんだよ?」
「ええ、そうですね」
何を仰りたいのかしら?
「そうじゃなくて、そんな無防備に寝られて、僕が君を襲おうとしたらどうするのさ」
「襲う? レイがそのようなことをされる理由がないかと思いますが」
「? ねぇ、もしかしてだけど襲うって攻撃するって意味だと思ってる?」
「ええ、それ以外に何が?」
いくら過保護な公爵に育てられたとはいえここまでとは。
…………これは、先が長そうだ。
と遠い目をしたレイリックだった。
この後、数日間寝不足が続いたレイリックを見兼ねたロベルトが部屋を貸して寝かせてあげたとか。




