王太子様と第2王子
「こうして、落ち着いて話すのは久しぶりかな」
レイリックはレナードに静かに告げる。
「そう、だね……」
レナードは言葉に詰まりながらも言う。
「……お茶淹れるよ」
「えっ?」
レイリックは立ち上がり、お茶の準備をし、コップに注ぐ。
「兄さんってお茶も淹れられたの?」
流暢な手つきでお茶を淹れる兄を見て、つい言葉を溢した。
「まあね。リリカ嬢にいつか淹れてあげようと思ってこっそり練習したんだよ」
レナードはレイリックに促され、一口含んだ。
「美味しい……」
「それなら良かった」
「その、ありがとう……。助けに来てくれて」
「弟を助けるのは兄の役目だからね」
「そういうもの?」
「ああ、そういうものだよ。だからいつでも頼ってほしいと思ってるよ。全く頼ってもらえないのも寂しいものだからね。敢えて詮索はしないけど」
「……」
別に頼り甲斐がない、なんて思ってはいない。むしろ、誰よりも頼り甲斐のある良い兄だ。だけど……だからこそ、兄さんの隣に立つにはしっかりとした弟でないといけなくて。
レナードの瞳からぽろっと涙が溢れ落ちた。
レイリックはレナードの頭をゆっくりと撫でる。
「っなに? 子供扱い?」
レナードは涙を拭いながらも言う。
「うん、今はね」
そう言い、レナードの隣に座ると、背に手を回し、ゆっくりと撫でた。
「……僕は兄さんや周りが思うほど優秀でもない。ずっとそれっぽく振る舞ってただけで、凡人なんだ……」
それを聞いてレイリックは溜め息を付いた。
「たとえそうでも、レナードが僕の弟であることに変わりはないでしょ。特別な才能なんてなくてもいいんだよ。それだけが全てじゃないんだから。そう振る舞ってそう思わせられるのなら、今のままでもいいんじゃないかな。それも1種の才能だし」
「っ!!」
しばらくすると、レナードは落ち着きを取り戻した。
「この前、会ったときも元気なさそうだったから心配してたんだけどね」
「えっ、気付いてっ……」
「気付いてはいたよ。だけど出来るだけいつも通りを心掛けてた。僕はそういうことあんまり触れるのも触れられるのも得意じゃないからね。どう接していいかも分からなかったし」
「兄さんって意外と口下手?」
「うるさい……」
ぷいっとそっぽを向く。
「ふっ、ありがとう、兄さん」
ようやく笑顔になったレナードを見て、レイリックはほっと胸を撫で下ろした。




