王太子様との再会
レナードの屋敷に移動したリリカとレイリックは今、向かい合ってソファに腰を掛けている。レイナはレイリックに命じられ、部屋の外で待機している。
「……」
こんな遠いところまで来られるなんて。
「……どうして僕がここに来たのかと言いたげだね」
「っそれは……」
「聖女から話しを聞いた。誤解しているようだけど、僕は聖女と婚約する気はないよ」
「えっ!?」
まさか私との婚約が解消出来なかったの?
「また何か勘違いしていそうだね。婚約解消する気なんてないから」
「えっ、どうして……」
「そもそも僕は聖女が好きなわけではないからね」
「ですが聖女様のことが大切って。あのネックレスも、それに私が見たあれは……」
「ん? 見たって何を」
「腕を組んでいたじゃないですかっ。私、見たんですからっ」
リリカはあのときの光景を思い出し、ぎゅっと拳を握り締め、言葉をなんとか振り絞った。
「っあのときか」
まさか見られていたとは。
ポロッ
先程から必死に堪えていたリリカだったが、ついに涙が溢れ出した。
「えっ、ちょっ、リリカ嬢!?」
レイリックは焦って声を掛け、リリカの隣に慌てて移動した。
「……もう放っておいてくださいっ」
「ごめん。怒ってるの?」
リリカはフルフルと首を横に振った。
「全部誤解だ。ああするしかなくて……。聖女に無理矢理やられただけなんだ」
強い口調ではっきりと告げられ、その言葉が嘘ではないことが伝わって来た。
「……本当に?」
リリカは顔を上げて、尋ねた。
レイリックはリリカの涙を拭い
「ああ、本当だよ」
と答える。
こんなことになるならロベルトの言う通り、しっかりと伝えておくべきだったな。
リリカはその言葉を聞いて、辛かった気持ちが一瞬のうちに晴れていった。
聖女様はああ仰ってたけど、違ったのね。うん? ってことは私、勝手に誤解して大変なことしちゃったんじゃ……。
そう気付き、血の気が引く思いがした。
「申し訳ありませんでしたっ」
「えっ?」
「ご迷惑をおかけしてしまって。やっぱり婚約は解消ですよね……」
解消されて当然よね……。
「どうしてそうなるのさ。さっきも言ったでしょ。婚約は解消しないって」
「えっ、どうして……」
リリカがそう尋ねると、レイリックは深呼吸した。
「……リリカ嬢、よく聞いて」
「はい」
「僕が愛しているのはこの世でたった1人、リリカ嬢、君だけだよ」
「……へ? いい今なんて」
「好きだよ」
「っ!!」
聞き間違いじゃなかったの!?
「リリカ嬢になら何度だって言ってあげるよ」
「っ〜〜」
真剣な眼差しでそう告げられ、冗談などではなく本気だという想いが伝わって来て、顔が火照っていくのを感じた。
私もちゃんと伝えないと。
「わわ私も好きですわっ」
リリカは動揺しながらも、なんとか想いを伝えた。
は、恥ずかしいっ。こんなこと言ったことないものっ。
レイリックはリリカの想いを聞き、硬直している。
ちょっと、なんとか言ってよっ!!
「あっ、あの、レイリック様?」
「……まさかそう想ってくれてたなんて。つまりは両想いってことだね」
「そ、そうなりますね」
次の瞬間、リリカはレイリックにぎゅっと抱き締められ、
「嬉しいよっ。もう逃さないから、覚悟しておいてね」
そう耳元で囁かれた。
「えっ、えええっ!?」
覚悟って一体何をっ?!




