王太子様、到着
「レナード殿下」
「義姉さん? あっ、ごめん。行こうか。じゃあね」
そう言うとレナードは足早にその場を去った。
「あの、大丈夫ですか?」
「え?」
「何かあったんじゃないかって心配で」
「っそれは……」
レナードは言葉を詰まらせた。そして、少しの間を置いて深呼吸した。
「参ったな。義姉さんって自分のことには鈍いのに、変なことには気付くんだから」
「変なことって」
「だってそうでしょ。兄さんの気持ちも何も分かってないのに」
「え?」
一体、何の話しをされてるの?
「はぁ。まさか、こんなところで会うとは思わなかったよ」
「あのお2人はどなたなのです?」
「……前の留学先の学校の同級生だよ」
「前?」
「元々、僕は隣国にある学園に通ってたんだ」
「隣国の」
「僕は……僕は兄さんのことも騙してたんだ」
「え? それってどういう」
リリカが疑問を問い掛けたそのとき、
「あれ、2人ともどうしたの?」
明るい声が聞こえた。
「神様……」
「今から帰るとこだったんだけど、何かあったの?」
「えっと……」
「いえ、なんでもありません。申し訳ありませんが、寄るところがありますので義姉さんのことお願い出来ますか?」
「うん、いいよ」
「ではまた」
そう言うとレナードはどこかに行ってしまった。
「レナード殿下……」
大丈夫かしら。
リリカはレイナと男神とともに屋敷へと歩みを進めた。
一方その頃、アルマーニ王国を出発したレイリックたちはというと
「もうすぐ到着だな」
「ああ」
カタリナ王国にまもなく到着するところまで来ていた。レイリックたちはキース王国に寄ることなくカタリナ王国に向かったのだ。どちらにリリカがいるのか判断が付いていなかった中、レナードから連絡があった。今はレナードの屋敷に滞在しているという。
船着き場に到着し、船から降り、リリカを捜しながら街を歩く。すると、
「!! 見つけたよ」
「じゃあ話し掛けて……レイ?」
「隣の男は誰かな?」
リリカの横に立っていた男神を見て、呟くように尋ねる。
「え? 仲良さげだな」
やべっ、つい本音を……。
「へぇ。僕という存在がいるのにねぇ……」
「まっ、まあそれは」
もう婚約解消されたものだと思ってるんじゃないか。
と喉まで出かかったが、なんとか言葉を呑み込んだ。
「おっ、どっか行ったみたいだぞ」
銀髪の男がどこかに向かう様子を見て、レイリックに声を掛けるが、
「ん? あれ? レイ? どこに」
目を離した隙にレイリックは隣から忽然と姿を消していた。辺りを見回すと、すでにリリカの背後に立っていた。
「いつの間にあんなところに……」
そして、レイリックはリリカの手首を掴んだ。
「やっと見つけたよ、リリカ嬢」
「へっ!? ど、どうして……」
「2人でじっくりと話しをしようか」




