出発
「レイナ、準備は出来た?」
「はい、お嬢様」
「では出発しましょう」
「はい」
数日前、、、
「お嬢様っ!! 大丈夫ですか!?」
リリカはシェリルと話した後、部屋に戻るなり、倒れ込んだ。
「……レイナ、私決めたわ」
「何をでしょうか?」
「私、ここを出ていくことにしたの……」
「えっ? 一体どうして……」
「どうやらレイリック様は聖女様のことがお好きみたいなの。だから私は邪魔なんじゃないかって」
「そんなことっ」
あの殿下が他の方を好きだなんてあり得ないのに。
「……それにね。ここにいても辛いだけだから」
もし聖女が妃になるのなら、嫌でも顔を合わせなくてはならなくなる。
「お嬢様……。分かりました。でしたら私もお連れください」
「レイナも? でも何があるかも分からないのよ」
「覚悟の上です。お嬢様お一人には出来ません」
「ありがとう、レイナ」
「あっ、そうだわ。最後に置き手紙ぐらい残しておかないと、捜索されても困るし」
今までありがとうございました。捜さないでください。
とだけ書いた手紙を机に置いた。
まるで家出するときの手紙みたいね。
手紙の上にはいつも身に付けていたネックレスを置いた。
これもいつまでも私が持っているわけにはいかないものね。
そうして、誰にも見つからないように変装し、夜遅くにこっそりと王宮を出発した。最後に王宮を見上げ、(さようなら)と心の中で呟いた。
「お嬢様、どちらに向かわれるのですか?」
「決まっているじゃない。東方の国に行くのよ」
「なるほど、茶葉の生産国ですね」
「ええ。一部は持って来れたのよね?」
「はい。到着するまでは持つかと思いますが」
「そう。とりあえず船着き場に向かいましょう」
深夜出発の最終船にどうにか飛び乗ることが出来た。隣り合う部屋が空いていたため、リリカとレイナはそこで寝泊まりすることになった。
危なかったわ。これに乗れなかったら次は明け方だったから。
だがこの船は東方諸国まで連れて行ってくれるわけではない。乗り換えが必要となる。到着は5日後だ。
長い旅になりそうね。
リリカは部屋に入るなりベッドにうつ伏せになった。
「ふぅ、切り替えないと。もう忘れましょう」
1人そう呟いた。




