また王太子様が待ち構えていました
隠し通路を抜け図書室に戻ると、そこにはレイリックが待ち構えていた。
「やあ、遅かったね」
「レイリック様!?」
「に、兄さん!? どうしてここに!?」
「そりゃあ、あれだけこそこそ動いていたらね。分かるよ。ちょうど迎えに行こうと思っていたところだったんだよ」
結局、バレてたんじゃない。
「さてとレナード、執務室でじっくりと話し合おうか」
レイリックは笑顔でそう告げるが、目は全く笑っていない。
「わ、私も行きます」
3人は重い空気を纏ったまま執務室へと向かった。
「それであんなところで一体何をしていたのかな?」
執務室に入ってすぐにそう問い掛けられた。
「す、少し話しをしてただけだよ」
「あんなところで?」
レナードはレイリックにじりじりと距離を詰め寄られている。
「……」
「話しならどこでも出来るよね。わざわざあそこで話す必要はないんじゃないかな」
「それはその……」
「ま、待ってくださいっ!! レナード殿下を責めないでください。レナード殿下はレイリック様が心配だからあんなことされただけですわ」
「あんなこと?」
「あっ……」
リリカはレナードに助け舟を出すつもりが墓穴を掘ってしまった。
「大丈夫だ。自分で説明するよ」
レナードはリリカに向かってそう言うとレイリックに説明を始めた。
「へぇ~、そんなことを、ねぇ」
執務室の空気は冷え切っている。
「で、ですが私はこの通り無事ですし、何もされていませんから。これはレナード殿下がレイリック様のことを思っての行動なのですもの。言わば愛ですわね」
ゴフッ
レイリックの後ろでロベルトが吹き出している。
「いっ、いや愛って……」
「愛……」
「はい。素敵な兄弟愛ですわ」
その言葉を聞いてレイリックとレナードは苦笑いしている。
「……そんなこと頼んでいないけどね。っていうかリリカ嬢、君は被害者なんだからレナードのこと責めてもいいんだよ」
「当然、責めましたわよ。すでに」
「えっ、いつ?」
責められたはずのレナードですら驚きの声を上げている。全く記憶になかったからだ。
「戻って来られてすぐに、遅いと言ったではありませんか」
「……それは責めた内に入るの? っていうか責めるとこ、そこなのか?」
「……その程度じゃ責めたとは言わないよ。君は優しすぎるよ、本当に。まあいい、今回はリリカ嬢の優しさに免じて、許そう。感謝することだね」
「ああ、ありがとう」
レナードはリリカと向き合い、お礼を伝える。
「ただしレナード、今回の罰として僕の仕事を手伝ってもらう。それが終わるまでどこにも行かせないからね」
普段は忙しくてリリカ嬢には会いたくても会えないし。リリカ嬢と会える時間を確保するためにも、レナードにはたっぷり仕事をしてもらわないとね。
「ああ、分かったよ」
でも兄さんの仕事ってかなり多いんだよな。兄さんを怒らせた以上、多分すぐには終わらない仕事なんだろうな。休み明けまでに終わらせて帰れるかな。
レナードはレイリックの婚約者が気になり帰って来ただけで、今は一応留学中なのだ。
僕が悪いとはいえ、早く終わらせて帰りたいな。




