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契約婚のはずが、腹黒王太子様に溺愛されているようです  作者: 星月りあ


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目覚め

「ん……」

リリカは目を覚ますと自室のベッドの上にいた。


「お嬢様、目を覚まされたのですね!!」

「レイナ、えっと……」


そうだ。私、あ、あんなことされて、すでに頭が回らなくなってきてたのに、ああ言われて、それで限界になって倒れたのよね……。ううっ、思い出したらまた恥ずかしくなってきたわ。

リリカの顔が火照っていく。

だからといって、あれだけで倒れる?普通……。いくら経験なくても、そんなことってある!?


「お嬢様、大丈夫ですか?」

「えっ、ええ、なんとか大丈夫よ。あれからどのくらい時間たったのかしら?」

「半日程ですよ」

先程まで朝だったのに外はすっかり暗くなっている。

「そうなのね」

数日経っているなんて言われたらどうしようかと思ったけれど、まだ半日で良かったわ。


「お茶をどうぞ」

レイナはリコルテを淹れて渡してくれた。

「ふうっ。ありがとう。落ち着いたわ」

「では、私はお嬢様が目を覚まされたことをお伝えして来ますね」

「ええ」


〜レイリックの執務室〜

「失礼いたします」


黙々と集中して書類を捌いていたレイリックは執務室に侍従が入って来たことすら気付いていない。リリカが倒れてから、ずっとこの調子で、ひたすら書類と向き合っている。


レイは昔から嫌なこととかあると休みもせずずっと仕事してるんだよな。リリカ嬢が倒れて不安なのは分かるが、その気持ちを打ち消すためとはいえ、仕事のペースもいつもより格段に早いし、こっちが追いつかないっつうのっ。


「ああ、えっと、どうした?」

「リリカ様がお目覚めになられたとのことです」

その言葉を聞いたレイリックがようやく手を止め、顔を上げた。

「本当か!?」

「はい」

「良かった……。リリカ嬢には、『申し訳なかった、ゆっくり休んでくれ』と伝えてくれ」

「かしこまりました」

「……お前は会いに行かないのか?」

「また、倒れても困るから……」

「あのなあ。全くお前は……。適度に加減すればいいんだよ。心配なんだろ。ならとにかくまずは会いに行けっ」

ロベルトはそう言って背中を押して、執務室の外に出した。


レイリックは重い足を動かして、リリカの部屋へと向かった。


〜リリカの部屋〜

「そう、レイリック様がそのようなことを……」

リリカは侍従にレイリックからの言葉を伝えられた。侍従はそれだけ伝えると去って行った。


別に倒れたのはレイリック様のせいじゃないし、気にしなくてもいいのに。


「おっ、お嬢様、あのっ、王太子殿下がお嬢様さえ大丈夫そうならお会いしたいとのことなのですが」

レイリックが部屋まで訪ねて来た。


「っ!! ……お通ししてちょうだい」

「かしこまりました」

「失礼するよ、リリカ嬢」

リリカは慌てて立ち上がろうとする。


「そのままで良いから、楽にしていてくれ」

「申し訳ありません」

「いや、謝るべきは僕の方だよ。ごめんね」

そう言ってレイリックは頭を下げた。


「えっ!? ちょっ、私は大丈夫ですから頭を上げてください」


リリカがそう言うとレイリックは頭を上げたが、明らかにしゅんと落ち込んでいるのが目に見える。


「レイリック様?」

「……まさか倒れるとは思わなくて」

それは、まあそうでしょうね。私も倒れるなんて思っていなかったもの。

「わざとではないことは分かっていますわ。そっ、それに、ただの挨拶だってこときちんと理解していますからねっ」

「挨拶? なんのこと?」

「キ、キキキキキスのことですわっ」

リリカは動揺しながらもそう伝える。

「きっとそういう文化があるのでしょう。ええ、絶対にそうですわ」

リリカは自分に言い聞かせるようにそう言う。改めてそう言われると恥ずかしかったのかレイリックも赤くなっている。


「っあれはそういうことでは……。そんな文化聞いたことないから」

「えっ? でっ、ではどうしてあのようなことを?」

「……なんかしたくなったから。気が付いたら身体が動いていたんだ」

「なっ、なんですの、それは!!」

「……本当にごめんね。これからは気を付けるよ。じゃあゆっくり休んでね」


そう言うとレイリックはとぼとぼと去って行った。

「レイリック様……」


〜レイリックの執務室〜

「おお、戻って来たか。どうだった? リリカ嬢の様子は」

「具合は良さそうで安心したよ……」

「安心したって顔には見えないが?」

「……」


まあ目の前で倒れられたんだし、レイもショックだったんだろうな。仕方ない。余計な干渉はしないって決めてたけど、流石に見てられないしな。一応用意してたあれ渡してやるか。


「これ見て勉強しろ」

そう言ってロベルトは本を手渡す。

「?これは……小説?」

「ああ、そうだ。最近流行ってる小説だ。それ読んだら何か分かるだろ」


ロベルトが渡した本は有名な作家が書いた恋愛小説だ。恋愛初心者はこの本を読んで勉強している。

まっ、レイはそんなこと知らないだろうけどな。


「分かった。読むよ」

「おうっ」

これで少しは良い方向に進んだら良いんだけどな。

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