公爵邸に帰って来ました
公爵家に戻ると、ウィリアムが扉の前でうろうろしていた。
「リリカ!!」
「ウィル兄様っ」
「無事で良かった」
リリカはいきなりウィリアムに抱き付かれた。余程心配を掛けていたのだろう。なかなか離してくれない。
「お、お兄……様、くるしい……」
「公爵様、お嬢様が潰れてしまいますので、そろそろ離してさしあげてください」
「あっ……すまない。大丈夫か?」
ウィリアムはぱっと手を離す。
「はい、なんとか」
「今日はゆっくり休んでくれ。僕はこれから王宮に行かないといけないんだ。夜には帰る予定だから、晩御飯は一緒に食べよう」
「はい、お兄様。行ってらっしゃいませ」
そう言って手を振ると、満足した笑みを浮かべて出発した。
しかし、夜になっても戻っては来なかった。ウィリアムからは伝書鳥で“今日は帰れなくなった”と知らせが入った。
数日後、、、
なぜか寂しいわ……。
そう感じ始めていた。
王宮にそんなに愛着があったのかしら。もしかして、お兄様もいないから? 随分と静かだし……。いえ、なんとなくそれは違う気がするわ。今までだってお兄様となかなか会えない、なんてこと普通にあったし。……だとしたら、もしかしてレイリック様にしばらくお会い出来ていないから?っいえ、ダメよ。間違ってもそう思っては。契約があるもの。
リリカは思い浮かんだ考えを消そうと頭を振った。契約書には無闇矢鱈に近付かないこと、という項目があった。それはリリカが作った契約書だ。一度会いたいなどと考えてしまったら契約を破ることに繋がりかねない。
自分で作ったのにそれを自ら破るなんて真似出来ないもの。……レイリック様とは城内にいても忙しくてお会い出来ないときは多かったけれど、いつも守ってくれた。いつの間にか側にいてくださるのが当たり前になっていたのかもしれないわね……。次お会いしたら今までのこと、しっかりお礼を言わないといけないわね。
〜レイリックの執務室〜
「こちら報告書です」
「ああ……そろそろか」
報告書を読み、そう呟く。
「ええ、こちらはすでに準備は整っております」
レイリックもそうだが、ウィリアムも忙しなく働いている。ウィリアムは最近は屋敷にも戻らず、王宮に留まっている。
「早く終わらせましょう」
「そうだね」
レイリックもウィリアムも敵を一掃し、リリカの安全を完璧に守ろうとしている。そして、
((早くリリカ(嬢)に会いたい))
安全を確保出来なければ、2人はリリカに会うことは出来ない。会いたいというその一心で休まずに仕事をし続けていた。




