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王太子様との契約婚

リリカは今王宮に、それも王太子殿下の執務室にいる。目の前には美しい金髪の王太子レイリック・フォン・アルマーニがソファに腰を掛けており、側にはレイリックの侍従長をしているロベルト・リーデンベルクが立っている。


「それで僕になんの用かな? リリカ嬢」

「お時間をいただきありがとうございます、王太子殿下。単刀直入に申し上げますが、私と契約結婚しませんか?」


リリカはドキドキしながら返事を待つ。

「……へえ。契約結婚ねぇ。それで条件は?」

来た!!

「王宮には珍しい植物があると伺っております。私はその植物がどうしても欲しいのです。そして、王太子殿下は婚約を全てお断りされていると聞き及んでおります。私が婚約者になることで風除けにもなるでしょう。仮に王太子殿下に愛する方が出来た場合には邪魔も一切いたしませんし、他に妃を作ってくださっても結構です」

この国では王族は妃を2人持つことが許可されている。とはいえ現在の国王陛下もそうだが、過去の国王陛下の多くが1人だけだ。


王太子殿下はパーティーでは女性と一切踊らず、婚約者も全く作らないことから女性嫌いなのではないかと囁かれていた。だから、、、

「不必要に愛を求めたり、近付いたりもいたしませんのでご安心を」

「ふふっ、なるほど」

わ、笑った!?

「いいよ、その話を受けるよ」

「えっ!? いいんですか!?」

「ああ。ただ知ってると思うけど王族は、特に王太子はすぐに結婚なんて出来ないから、まずは婚約からでいいのなら、だけどね」


教会で結婚式を行い、宣誓することで正式に結婚が認められるのだが、王太子となると、各国の王族に招待状を送り、大々的に行う必要がある。


「はい、もちろんです。ありがとうございます。ではこちらの契約書にサインをお願いします」

「契約書か」

「はい。先程申し上げたことが全て記載されております。他に追加したいことがありましたらどうぞ」

「いや、このままでいいよ」

レイリックは契約書にサインをした。

「ありがとうございます。では私はこれで」

「ああ。また会おう」

「はい。では失礼いたします」

バタン


〜レイリックの執務室〜

「ふぅ」

「よろしかったのですか? あのような契約を受け入れてしまって」

「ああ。僕としても助かる話しではあるからね」


王太子という地位に惹かれて近付いて来る女性を牽制出来るのなら有り難い話しだ。しばらくは煩わしい婚約話も舞い込んでこないだろう。


「まあ、契約違反をしたら婚約を解消するだけだよ。それになんとなく面白いことになりそうな予感がするんだ」

そう言って不敵な笑みを浮かべている。


そんな主人を横目で見たロベルトは

(リリカ嬢、契約する相手を間違えたのでは)

と早速心配になっていた。

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