白ウサギがやって来ました
それは王太子妃教育が再開され、ソフィアの授業を受けていた最中だった。
ぴょんっ
何かが窓から飛び跳ねて部屋に入って来たのだ。
「きゃっ」
こ、これは白ウサギ!?
どうしよう……逃げないと!!
「大丈夫ですよ。リリカ様」
「え? で、でも」
「この魔物はテイムされていますから」
テイムとは魔物に魔法を掛け、従魔にして使役することを指す。
「ほら。首輪がされています」
そして従魔には従魔と一目で分かるように首輪をする決まりになっている。
「ほ、本当ですわね。良かった……。迷い込んでしまったのかしら」
『違うわ。貴方に会いに来たの』
「私に?」
『ええ』
「?」
「それでどうして私に?」
『それは、』
白ウサギが話そうとしたそのとき、後ろから声を掛けられた。
「もしかして、その白ウサギと会話されているのですか?」
「ええ。そうですが、もしや声が聞こえないのですか?」
「そうですね。私には普通の鳴き声に聞こえますわ。そもそも白ウサギは言葉を話しませんから」
「えっ!? そうなのですか!? 高位の魔物は言葉を話すと聞いていたもので、てっきりこれが普通かと」
「普通だなんてとんでもない!! 高位といっても会話が出来る魔物はドラゴンなど一部の魔物だけですわ」
「!!」
そうだったのね。全く知らなかったわ。
過去のリリカの記憶の中でも、色々な魔物と会話していた記憶が残っている。だから、これくらい普通だと思っていたのだが。
コンコン
部屋をノックする音が聞こえた。
「どうぞ」
入って来たのは騎士団の制服を着た若い男性だった。
「失礼いたします。こちらに白ウサギが来ていませんか?」
「ええ。この子ね」
「はい、申し訳ありません。急に飛び出して行ってしまい」
「構わないわ」
その男性は白ウサギを抱きかかえた。
『ちょっと!!』
白ウサギは抵抗しているが、そのまま騎士の男性に連れられて去って行った。
「結局、なんだったのかしら」




