十年一昔
僕らは歩いていた。
僕らは毎日、帰り道を歩いていた。
焼きそばを片手に笑いあっていた。
背は低くあどけない表情で。
4人は近所だった。
小さい僕らは毎日のように遊んだ。
ボールとちいちゃな公園。
これさえあれば僕らはトキを忘れていた。
蛇口と風船。
こんなのがあったら、もう僕らのもんだった。
10年が経ち僕らは18になった。
あの公園に行くだけで懐かしい香りがするのがどこかもどかしい。
当たり前だった日常はいつのまにかなくなり
離れ離れに。
歩きはおろか、自動車でも行けない距離になった。
変わるのだ。
10年という時は小さな宇宙すら変えるんだ。