表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

願いを叶えて

作者: 遥成夢芽

たくさんのお星様がキラキラと輝く夜でした。

今夜は、流れ星がたくさん見えるので、いつも遊びに行く丘の上の公園へ、お父さんとお母さんとお姉ちゃんとお兄ちゃんとナオちゃんの家族5人で、初めての夜のお散歩に行く事になりました。


「わぁ、きれい。あれが、流れ星?」

ナオちゃんは、初めて見る流れ星に目を輝かせました。

「そうだよ。きれいだね。流れ星が消える前にお願い事をすると願いが叶うんだよ。ナオちゃんは何かお願いしたいことあるかな?」

と、お父さんに聞かれました。

ナオちゃんは少し考えてから

「うーん……わかんない」と答えました。

おもちゃもゲームも欲しいものは全部持っているし、毎日楽しく遊んで、好きな物も食べて、優しい家族や友達に囲まれて、充分幸せな気分でした。



ところがある日……

お父さんとお母さんは、離婚してしまいました。



お父さんがいなくなって、しばらくすると

お母さんは、新しいお父さんと結婚しました。

最初はとても優しかった新しいお父さんですが、

お兄ちゃんの態度が気に入らなかったのか、

突然、「育ててやっているんだぞ!」と言いながら暴力を振るい始めました。

それからは、あらゆる事が思い通りにいかないと、憂さ晴らしの道具とでも思っているのか、お兄ちゃんもお姉ちゃんも、殴られたり蹴られたりするようになってしまいました。

お母さんに助けを求めても、見て見ぬふりで、エスカレートするばかりでした。


「このままこの家にいたら、僕達殺されちゃうかもしれない。3人で出て行こう。」

お兄ちゃんとお姉ちゃんとナオちゃんは、親戚の家へ逃げる事にしました。

事情を知った親戚の叔母さんは

「3人ともこの家にいさせてあげたいけど、ナオちゃんはまだ小さいし、3人ともいなくなったらお母さんが寂しがるだろうから……ごめんね。」

と、ナオちゃんだけ家に帰る事になりました。



それから3年……

成長したナオちゃんも、お兄ちゃんやお姉ちゃんがされていた様に、アザができるほど殴られたり蹴られたりするようになってしまいました。


お願い事はないと思えた、5人家族だったあの頃は楽しかったなぁと思いました。

明日、あの時と同じ様に、たくさんの流れ星が流れると言うニュースを聞いて、ナオちゃんは、あの丘の上の公園へ行ってみようと思いました。



今夜もたくさんのお星様がキラキラと輝いていました。

流れ星もたくさん流れています。

今日はお願いしたい事がハッキリとわかるから、

ちゃんとお願い事をしよう。






「あっ、お父さん!」

「きっと、来るんじゃないかと思ってね。

辛い思いをさせてしまって、本当にごめんね。

お兄ちゃんもお姉ちゃんも来ているよ。

これからは、4人で一緒に暮らそう。」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 最後に救いがあって良かったです!
2021/12/29 17:22 退会済み
管理
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ