表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/8

私が自由でいられた場所-③

朝8時に冬華視点を投稿しています

そんなある長期休暇の日。私たちは南半球のとある国にダイビングしに行った……んだけど、冬華ちゃんが移動のバスでぎっくり腰になった。


いや〜、びっくりしたよほんとに。

だってまだ20代だし、運動も水陸しっかりやってる冬華ちゃんがぎっくり腰。これが笑わずにいられるかってね。


でもまぁそんな状態でダイビングは出来ないから、ホテルの部屋で看病しつつトランプでも買って遊ぼうかなぁと思ったんだけど、1人でダイビングに行ってきていいよって結構しつこく言われてさ。


まぁ確かにせっかく外国まで来たのに看病で時間を潰すのは勿体無いっていうのも分かるし、仕方なく私は1人で海に行った。


そこで私という存在が大きく変わることになるとも知らずに。





私は冬華ちゃんもいないからと、比較的近場を潜るコースを取った。

既にインストラクターの中でも基本的な最高位である、マスターインストラクターになっていた私はそれなりに頼りにされたし、これまでの経験を話して聞かせるのは反応も面白くてなかなかに楽しかった。


そうしてダイブしていた時、水中で爆発音のようなものが聞こえた。

一瞬理解が追いつかなかったけど、私は直ぐに地震だ、と気づけたから、コース受講者に岩場でやり過ごすよう指示した。


全員を集めて誘導していたから最後になって、サブのレギュレーターであるオクトパスを落としてしまいはしたけど、全員無事に最初の乱流はやり過ごすことが出来た。


でも、この流れで動いた岩に足が挟まってしまった男性が1人。

とりあえずガイドさんに他の人たちを陸に向かわせて助けに行ったんだけどこれが判断ミスだった。


彼のレギュレーターはマウスピースの固定が悪かったのか外れてしまっていて、使い物にならなくなっていた。

それに気付かず不用意に近づいてしまった結果、私のレギュレーターを奪われてしまった。

それでも何とか彼の救出に成功した私は、とにかく彼にガイドの人を追うように指示して一旦浮上した。


この状況なら上に上がってから泳いで行った方が確実だと思ったから。

でも、地震による影響で海面は私の予想以上に荒れていた。

とてもまともに泳げる環境じゃなく、普通に泳ごうとしたら少し海水を飲み込んでしまった。


レギュレーターを取られた時も不意をつかれたから少し飲んでしまったし、少し危険ではあったけど仕方ないから再度素潜りをすることにした。

落としたオクトパスを回収出来れば、ここからでも充分帰還できるから。


そうして何度か繰り返して、何とかオクトパスを回収、陸へ向かったんだけど、このオクトパスも落とした衝撃のせいか途中で故障、その瞬間結構な量の海水を飲んでしまい、かなり焦った。


それでも何とか陸に上がることが出来たけど、酷く気分が悪く、意識もどんどん遠のいていく。


苦しい。気持ちが悪い。吐き気がする。意識がまとまらない。苦しい。苦しい。苦しい。苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい。……気分がいい。あれ、と思った瞬間、私は意識を失い、そして私は私を失った。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ