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私が愛した場所-2

私はまず、ダイバーとしての資格を取ることにした。

幸い私は小さな頃から水泳を習っていて泳ぐのは得意だったし、水の中という環境で行うスポーツの方が得意なくらいだったから、比較的直ぐにダイビングのライセンス、Cカードを取ることができた。


それに、通常資金が多くかかるダイビングだけれど、私の場合両親が資産家であるということ・広くそこそこ深い知識を利用し、株取引で自身もそれなりに稼いでいたこと・それまで他にお金のかかる趣味がなく、貯金が溜まっていたことなどの要因で資金は十二分にあった。



その資金を使って年に最低50回は潜りに行き、大学を卒業した現在では、私が始めた頃の瑠奈と同じダイブマスターのライセンスを手に入れた。


まぁ瑠奈は瑠奈で、オープンウォータースクーバインストラクター━━通称OWSI━━と呼ばれる、Cカード取得のための講義が開ける正真正銘プロの資格を取ったから差は縮まらないんけどね。


因みに、ダイブマスターの資格を取れる最年少が18歳……そして瑠奈は、大学入学前には資格を取っていたらしい。つまるところ、彼女は取得可能直後に習得したということになる。

それを知った時、思わず苦笑いしてしまったのはおかしくないと思う。





とまぁこうしてダイビング、というか海に心奪われた私は、大学卒業後に瑠奈の地元である沖縄に引っ越し、一緒にダイビングショップを起業した。


そんな簡単にって思うかもしれないけど、私達が通っていた学部は経済学部。

私は経済学科だったけど、瑠奈はダイビングショップを起業するのが夢だったから、ちゃんと経営学科で経営の知識を磨いていた。


それに、私達の講義が重なることが多いということはつまり、私もある程度は経営の知識があるということ。

ダイビングショップの運営そのものは意外と問題がない。まぁ潜水士免許を取り忘れてたりとかして1悶着あったけどね。


といっても2人だけで回せるほどダイビングショップは甘くない。

でも、その人員不足の問題ですら瑠奈は解決して見せた。伊達に10年近くその世界にいたわけじゃない。

それまでに知り合ったダイビング仲間達によく自分の夢を語っていたし、声をかけたらインストラクターの資格を持つ人なんかも参加してくれた。


こうして私たちは、新しくダイビングショップ『ラピスラズリ』をオープンしたのだった。





『ラピスラズリ』は、良くはないが予想以上という程度の盛況を見せた。小さな頃からこの沖縄でダイビングをしていた瑠奈は地元のダイバーからは可愛がられていたし、高校時代にはレスキューダイバーの資格を持っていた彼女に助けられた人は、決して少なくない。


私自身ダイブマスターになる過程でいくつものスペシャリティを習得したけど、それを瑠奈は殆どマスターしている。

瑠奈自身のスキルは、正直規格外と言っても過言ではない。


10年間の積み重ねと妄執とも言える好奇心によってマスターインストラクターと呼ばれる一般的な最上位のインストラクターに匹敵する、とは以前そのマスターインストラクターの中でもひと握りで、世界中のインストラクター(・・・・・・・・)のうち1パーセントにも満たない人数しかいないとされるコースディレクターの方が言っていた言葉だ。


学生時代はインストラクター業務にまで手を回せなかったためにOWSIまでしかライセンスを取れなかったけれど、その実力は本物。

その評判は口コミでじわじわ広まり、着実に売り上げを伸ばしていっていた。


夜8時に瑠奈視点を投稿します

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