幼馴染と勉強するのは浮気になりますか?
やっぱり修羅場って見るのはいいですよね。僕には一生経験できなことだろうな~泪
嫉妬してる様子ってどんなキャラクターでもかわいく見えてしまうから不思議だ。
「・・・私、怒ってるんだけど…。」
現在彼女の家で絶賛正座中の俺は霧島翔大、青春真っ只中の高校2年生。
中学までは親に管理された中で遊びもせずに毎日真面目に勉強、勉強。青春のセの字もなかった。
まあそんな中でも学校で話しかけてくれる小学校からの幼馴染はいたのだが。
だから親の認める高校の中でひとり暮らしのできる高校を選ぶことにした。親から解放されるために。
そしてどうやらそこは幼馴染の志望校でもあったらしい。
そんなこんなで何とか進学することができた。一緒に勉強してきた幼馴染の彼女も合格したようで合格発表の時は一緒になって喜んでくれた。残念ながらクラスは別になってしまったけれどそれでもやはり同じ中学出身だからということもあるのかとても仲良くしてくれている。
いざ高校生活が始まれば今まではあまり経験はなかったが、空気を読むようにしてクラスメイトと会話することで友人も増え、高校生活を謳歌していた。まあ今まで経験がなかったからそう感じてしまっているだけなのかもしれないけれど、中学時代にはなかった楽しさがある。
そして2年に上がる前の春休み、俺に彼女ができた。同じクラスの同じ図書委員で一緒に委員会や図書室の当番をしているうちに同じ本の趣味があったこともあり話が弾むことも多くなり、最初はクラスメイトの何人かでのカラオケ、そして何回か二人きりで遊びに行った後俺から告白して成功した。
「私も好きでした、よろしくお願いします。」
そう言って告白を受けてくれた時の彼女の顔は今でも目に浮かんでくるようだ。
まあ今その彼女の顔はその時とは正反対のようなふくれっ面になってしまっているのだが…。
「えーっと、…ごめんね。」
「なにに対して謝ってるのか分かってるの!」
「・・・」
しまった、さらに怒らせてしまったようだ。ただ実際俺のどの行動が彼女を怒らせてしまっているのか分かっていないからこれ以上何を言っても余計に怒らせてしまうだろう。
「一昨日の放課後さ、なにしてた?」
一昨日?一昨日は確か、幼馴染の桃が勉強を見て欲しいって来たから近くのファミレスで勉強会をしたんだっけかな。
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「翔ちゃん、もう少しで期末テストだけど勉強してる?」
「まあそれなりには。曲がりなりにも進学校だからねここ、勉強しとかないと置いてかれちゃうよ。」
放課後になって廊下でたまたま会った幼馴染の百瀬桃と雑談を交わしていた。
「そんなこと言って翔ちゃんは中学の時からいつもいい成績なんだから少しくらい手を抜いちゃっても大丈夫でしょ。私はここに入ってから何とか真ん中らへんをキープしてるのに。」
この学校で真ん中をキープできていれば勉強ができないってことはないのだからそんなに気にしなくてもいいと思うんだけどな、とは思うけど口には出さないでおく。また文句言われちゃうかもしれないから。
「そうだ翔ちゃんこの後って時間あったりする?また入試のときみたいに一緒に勉強しようよ、どっかのファミレスでも入ってさ。」
そういえば高校受験の時も学校の図書室なんかで一緒に勉強してたっけな。家では親が勉強しろ、勉強しろうるさいし帰り道でどっか寄ったりしたのがばれたりすると面倒だったから家以外では学校の中で勉強会をやってたっけな。
「うーんでも今日は香奈が部活終わるまで教室で待ってようかなって思ってたから教室で勉強してよっかなって考えてたんだけど。」
でも今は一人暮らしで好きな時間に自分のペースで勉強できるから桃の提案も悪くないな、なんて考えながら話していたらなぜか桃の口調が強くなって返ってきた。
「でも今日は別に里見さんと帰る約束してるわけじゃないんでしょ、それならたまには環境変えてみたりしないと!」
まあ確かに桃のいうことも一理あるか。香奈にも連絡しておけば問題ないか。
「友達と勉強会することになったから、先に帰る。」
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ってことがあったな。
「まずねそっけなくない?まあいつものことなんだけどさ。」
昨日のことを回想してたらまず俺からの連絡にダメ出しが入った。長々と書くのが面倒だったから要所だけまとめて書いたんだけど、彼女のお気には召さないようだ。
「私だって毎日一緒に帰るの楽しみにして部活してたのになぁー、このメール見てどれだけ落胆したことか。」
すこし拗ねたような口調になってしまっている。かわいい。
「友達に急かされててメールの文面はささっと打っちゃったから雑になってたよね、ごめんなさい。」
こういう時は素直に謝ることが一番だろう。それだけで済むならそれに越したことはない。
「そこじゃないよ…。」
「え、ごめんなんて言っ」
「そんな小さいことで怒ってるわけないでしょって言ってるの!!」
「えっ…」
どうやら俺が理由を理解していないことが逆鱗に触れてしまったらしい。普段一緒にいるときには聞いたことのない声量に驚いてしまった。
「…なんで昨日百瀬さんと一緒にいたの……。」
涙目で自分より少し低い身長のため自然と上目遣いになっている。かわいいけど今はそれどころではなかった。
「えーっと、桃から勉強会に誘われて、確かにそろそろテストだし勉強しとかなきゃなって思って…」
「でもいつも私が部活お終わるまで勉強して待っててくれてるじゃん!わざわざ百瀬さんと勉強会しなくたっていつも大体高順位キープできてるんだから問題ないじゃん。」
「ごめんって、でも百瀬とは中学からの付き合いだし、勉強教えてって言われたら断れなくて。」
俺も最初は香奈にも悪いと思って断ろうとしていた。ただ俺に彼女ができたからって今までの関係がなくなってしまうことは寂しかったし、特に勉強を教えるだけであればなんて甘い考えだったのだろう。実際に二人で勉強会に行ってしまった今となっては全く言い逃れはできないのだが。
彼女はいまだにふくれっ面を治すことなくジト目で俺のことを見ている。どうにか機嫌を直してほしいところだ。
「・・・まあそうだよね、翔大の性格じゃ断れないもんね。わかった、ならこれからは百瀬さんと二人きりになること禁止ね。ほかに誰かいれば変なことにもならないでしょ。」
ありがたいことに彼女から妥協案を出してくれた。しかもかなり現実的な案だ。俺としてもしっかりとルールが決まっていれば桃に対してもしっかりと断ることもできるだろう。
「もちろん、それで香奈が納得してくれるなら。」
よかったこれで一件落着か。でも嫉妬してくれる香奈も可愛かったのでたまに見たい表情でもあるのが残念だ。
「香奈」
「・・・なに?」
「好きだよ、俺の彼女は香奈しかいないから。」
「やめて、急にそんなこと言われると恥ずかしいから。」
彼女がしかめっ面ではないことは確かだろうが、今度はこっちを向いてくれなくなってしまった。
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「翔ちゃん~、今日の授業で分からないところがあったからまた教えて欲しいんだけど今からでもいいかな?」
この前のことがあってからまた同じような状況だ。香奈が部活に行ってるため、また教室には俺と桃だけ。
まあ本来二人きりになることを禁止されてるので、この状況でもアウトなのだろうが、同じ失敗をしないために今回は秘策を用意した。
「お待たせしました~、先輩から呼んでくれるなんてどうしたんですか。まさか愛の告白です・・・か?って桃先輩もいるんですか~、残念」
助っ人として俺の唯一の後輩の知り合いである桜木陽、通称はるるを召還した。
今日の放課後暇だって聞いたので、急遽呼び出したのである。特に用事はないが前に一緒に勉強したときも彼女はいやいやな顔をしながらもなんだかんだで付き合ってくれたこともあったし、今回もそんな感じでと思ったのだが・・・、
「私がいたら何が残念なのかな、陽ちゃん?」
「いや~ごめんなさい、つい本音がこぼ・・・、言葉を間違えてしまって、てへっ」
来てくれて早々に険悪なムードが教室を包み込む。俺たちしかいないけどね。
「え~っと、はるる急に呼んでごめんな、今日は3人で勉強しようかと思ってだったんだけど、迷惑だったかな?」
「いえいえ~、迷惑だなんてことはありませんよ。私も今日は暇だってお答えしましたし。ただてっきり二人っきりでだと思っていたもので驚いてしまっただけです。」
はるるとはもともと彼女の入学式の時にたまたま知り合い、何が面白いのかわからないがそれからちょくちょく俺にちょっかいをかけてくれるようになった。
「先輩はいじりがいがあって面白いんですよ」なんてよく言ってくれるけれど、俺としては話し相手になってくれるだけで彼女の存在は大きいものだ。
「ちなみになんで3人でなんですか~、このメンバーで勉強することなんか今までなかったですけど」
「私も気になる。どうして急にそんなこと言いだしたのかも」
「それは香奈から・・・、いやごめん、なんでもない。たまにはいつもと雰囲気を変えようと思ってさ」
「嘘下手ですね、先輩。」「嘘つき」 --ピキピキッ--
準備していなかった質問に対して、素のままの答えが出そうになった所で、空気にひびが入った気がしたので言い直したが遅かったようだ。
「まあいいでしょう。今回は大目に見てあげますが次はないですよ、センパイ(今はまだ我慢の時、ここぞという時に畳みかければまだチャンスはあるはず)」
「ふふっ、あの子に命令されて無理やりそんなことさせられてるなんてかわいそうな翔ちゃん。でも安心してね、最後には私と結ばれる運命だから。」
二人とも笑顔が怖いがなんとか納得してくれたので、これでこちらも一件落着・・・か?
ちなみに次の日、香奈から呼び出しを受けて、「そういうことじゃないでしょ!3人であればだれでもいいなんてことじゃないんだから‼」と改めて説教をくらっていた俺であった・・・。
読んでくれた方ありがとうございました。<(_ _)>
またどこかでお会いできれば嬉しいです、アデューーー