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第91話 カイトの王都滞在編〜Gの館

今回は“Gの館”にカイトが行きます。

苦手な方はご注意を。

 静まり返る闘技場の中に立つ俺の足元には、スケルトンとスケルトンバードが平伏している。

 そして、俺を見る皆の表情が何となく固いようだ。


「なあレクス、皆んなどしたんだろうな?」

「……さっきのカイトくん、とても怖かったの」

「そうか?俺としては優しく罰を与えたつもりだがな」



 俺とレクスが話していると、サトミやマツリ、グラン、エル、キナコ、ワラビに乗ったマックニャンが戻ってきた。

 地竜の姿が見えないが、ポケット草原に帰ったのだろう。


 そして、Sランクの熊男と虎獣人もやって来た。


「途中で邪魔が入ったが、続きをやるか?」

「いや、必要ないだろう」

「そう、悪魔よりも恐ろしい物を見たからね」


 何だろう……悪魔よりも恐ろしい物って何だろう……?


「カイト……?」

「ん、何だサトミ?」

「良かった、何時ものカイトだ」

「何を言っているんだ?俺は何も変わっていないぞ」



 俺はアイテムボックスにスケルトンとスケルトンバードを戻した。

 そして、ダイフクとキナコとワラビは、地竜と遊ぶ為にポケット草原に帰って行く。





「待たせたなお前達。どうだ?Sランクと戦ってみて思う所も色々あるだろう。だがな、お前達がAランクに上がっても、そこで驕らずに精進し続ければ、いずれはこの二人のように強くなれると私は信じている」


 俺達受験者は、闘技場の隅に集められ、ギルドマスターの話を聞いている。


「と言う事は、俺達は……」

「そうだ、Sランクの二人と協議した結果、お前達は全員合格だ」

「ヨッシャー!俺はやったぜ!ヤッホー!!」

「ぼ、僕なんかがAランクに……どうしよう……」

「心配することは無いであるぞ、お前さんの槍捌きは本物であった。胸を張るである。我輩も晴れてAランクであるか……ん?そなたは嬉しく無いであるか?」

「私もAランクに上がれて嬉しいです」

「ならば、もっと嬉しそうな顔ををするである」

「これでも嬉しそうな顔をしているのですよ」


 よく見ると、無表情2番の口角が僅かに上がっているような、いないような……まあ、本人が言っているんだから喜んでいるのだろう。

 無邪気に喜ぶ熱血1番、Aランクに上がれたのに自信の無さそうな気弱3番、その気弱3番を励まし、無表情2番にダメ出しをする微笑み4番のおっさんに、ビショップとシェリーもだ。


 此処に居る全員がAランクに昇格出来て良かったと思う。



「これからお前達は、低ランク冒険者の手本となるべき存在になる訳だ。お前達に憧れを持つ者も出てくるだろう。そんな奴らに先輩冒険者として恥ずかしくない行動を取って貰いたいと思う。先ずは心構えからだ。何時も何処かで誰かに見られていると思え。私からは以上だ……と、言いたいところだが、一つだけ確認しておきたい事がある」


 そう言って、ギルドマスターは俺の方に向き直る。

 それにつられて、他の冒険者やビショップとシェリーも俺に視線を向けて来た。


「おい7番、いやカイト、お前はいったい何を目指しているんだ?」


 はあ?何の事だ?言っている意味がわからないぞ……いや、あれか……?多分あれだろう。


「魔王にでもなるのかと聞きたいのでしたら、答えはNOです。あんな面倒くさそうなものになる気は更々ありませんよ」

「そうか、安心したと言うべきか、残念だと言うべきか……いやなに、悪魔にも説教が出来るお前なら魔王になっても良いかなと、少し頭を過ぎっただけだ」

「絶対になりませんからね!!」

「アハハハハハ冗談だ。ではこれにてランクアップ試験は終了する」


 冗談なのか?目が笑って無いぞ……






「あっ!カイト様が帰ってきました」


 メロディちゃんが俺に気付き、皆に伝えた。


「良いですか?くれぐれもカイトさんを怒らせるような事は言わないように……」

「アマンダさん、聞こえているぞ」

「ヒャイッ!?あわわわわ……」

「ジョニーの所にもう一人くらい行っても……」

「ヒィィィィィごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい」

「ぷっ、ククク、アハハハハ冗談だ、アマンダさん」

「へ……!?もうっ!カイトさんの意地悪!!」

「カイト様、もう一人行っても良いなら私が行きたいですわ!」

「はぁ?」


 そう言えばマツリはジョニーがお気に入りだったな……


「そうだな、この後差し入れを持って行くつもりだったから、連れて行ってやるぞ。他にも行きたい者は居るか?」


 マツリ以外の全員が、激しく首を横に振る。こればっかりは当然の結果だと思う。

 マツリは小踊りしながらたゆん、たゆん……もとい、満面の笑みで喜んでいる。



「あの……ところでカイト様、試験の結果は如何でしたのでしょうか?」

「はいララさん、今日、試験を受けた全員が合格しました」

「そうですか!おめでとうございますカイト様。今夜はお祝いですね。となれば、こうしてはいられません!あなた、ララ、早速帰ってお祝いの準備をしますよ!!それではカイト様、私どもはこれで失礼いたします」

「あっ!私達もお手伝いします」


 フェルナンさん、ララさん、メロディちゃん、マーク、そして、アマンダさんとミウラさんは、慌ただしく新月の館に帰って行った。


「私は、ギルドに寄って帰るわ」


 そう言ってキリは、ポロを連れて闘技場を出て行く。

 


「カイト、俺達は川向うの訓練場に行くんだが、お前も来るか?」

「いや、悪いが俺は今からジョニーに差し入れを持って行こうと思っているんだ。ついでにバフォちゃんの様子も確認しておきたいからな」



 ビショップ達と闘技場で別れた俺は、マップを展開して“Gの館”のコマンドを選ぶ。

 そして、レクス達、サトミとマツリ、そしてキョウヤを連れて、Gの館にやって来た。

 屋敷の前では数匹のGがカサカサと動いている。


「サトミとキョウヤは平気か?無理なら新月の館に帰っても良いぞ」

「私なら大丈夫だよ。前の世界にはもっと悍しい奴らが居たから免疫が出来たみたい。あはははは」


 サトミが居た世界って、どんな所だよ!?


「僕も、人間だった頃から既に免疫が出来ていたからね、心配は要らないよ」


 胸を張って言うキョウヤの、人間だった頃の部屋を想像してしまった。


「キョウヤのは自慢にならないと思うぞ」


 俺達が歩き始めると、地面の上を蠢いていたGが玄関までの道を空ける。

 そして、ドアをノックして開けると、ジョニーが出迎えに来てくれていた。


「待ってたでカイトさん。ささ、サトミさんもキョウヤさんも遠慮せんと入ってや。マツリちゃんもよう来てくれたな」


 玄関ホールに入ると、カサカサと普通のGが散って行き、程なくして見えなくなった。

 俺達はジョニーを先頭に、レクスの付与魔法の効果で埃一つ無い、清潔な屋敷の中を食堂に向って歩いて行く。


「ジョニー、何か困った事や不便な事があったら言ってくれ」

「せやな、ほんまこの屋敷はいたれりつくせりで、ドアは自動で開くは、水も自動で出てくるはで、言う事あらへんのやけどな、しいて言うとやな、後で食べよう思うて食堂から持ち出した野菜くずが、しばらくしたら無くなってしまうねん」

「どういう事だ?」

「付与魔法の効果なの!落ちているゴミは消えて無くなるの!」

「ゴミかいなっ!!」


 ジョニーの希望で直ぐに、レクスが付与魔法のレベルを下げて、野菜くずを持ち出しても24時間はそのまま残っているようになった。




 食堂には、俺やララさんが調理した時に出る野菜くずや、魚の頭、肉の筋、そして、時々俺がジョニーの為に調理した料理が、保存の付与魔法が掛かっている複数の大きなバットに、食材毎に分けて入れられている。

 今もララさんが調理をしているのだろう、野菜くずのバットに人参のヘタと皮が追加された。


 俺は棚から新しいバットを一枚取り出して、その中にオーク肉と数種類の野菜で作った野菜炒めと炒飯を入れて、台の上に置いた。


「今回は中華やね、嬉しいな。カイトさんのおかげで、食べもんに困る事が無いから助かっとるで、おおきにな」


 数匹のGがバットの食材を食べている。

 その中には、あの大きな4匹のGの姿もあった。


「なあジョニー、あの4匹だが前は居なかったよな?」

「彼奴らでっか?彼奴らはカイトさんの魔力で進化したんや思うで。此処はカイトさんの魔力で満たされとりよるさかいにな」


 俺の魔力で?まさかこれから増えたりしないよな……?


 俺は気を取り直して、地下牢のバフォちゃんの様子を見に行く事にした。

 ジョニーを先頭に、俺達は地下に降りて行く。


 マツリだけが、Gの館に入った時から、キョロキョロと目を輝かせて、楽しそうだ。


「マツリの世界にGは居ないのか?」

「このような完璧に近い生命体は見た事がありませんわ」

「なんや、えらい褒めてもろうて嬉しいな。なんやったら10匹くらい連れて行ってもええで、すぐに増えるさかいな」

「良いのですかジョニー様?きっと皆んなの人気者になりますわ。カイト様、私帰りますわ!Gを連れて帰りますわ!」

「お、おう、良いぞ」


 マツリがやっと帰る気になったようだが、そのきっかけがGだとは……




「ヒッ!く、来るな!あっちへ行け」


 バフォちゃんは牢の中でうずくまり、死んだ魚のような目でジョニーを見て怯えている。


「どうだ、バフォちゃん。少しは反省したか?」

「カ、カイト君?此処はいったい何だ!?うじゃうじゃとGが居るし、どうやっても出られないのだ」

「質問を質問で返すんじゃないぞバフォちゃん。俺は反省したかと聞いているんだ」

「フンッ、誰が反省なんかするもんか!反省して良い子になった悪魔なんて見た事も聞いた事も無いわ!ヒィィィィィ、く、来るなぁぁぁ」


 バフォちゃんの周りには、カサカサとGが動いていて、バフォちゃんは牢の隅で震えている。


「そうか、それならもう暫くそこに居るんだな。行くぞジョニー」

「ま、待ってくれカイト君、此処から出せ!出してくれ!!」

「反省したらな……」


 俺はそれだけを言い残して地下室を出ていった。


 それからマツリは残念そうだったが、ジョニーにまた差し入れを持って来ると約束して、俺達は新月の館に帰って来た。






 新月の館に帰ってみると、先ず初めに“カイト様Aランク昇格おめでとう”と書かれた、横断幕が目に入った。

 そして、壁には手作りの飾り付けが掛かっていて、とても賑やかしい。


 テーブルには沢山の美味しそうな料理が並び、俺は皆の拍手で迎えられた。



読んで頂きありがとうございました。

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