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第78話 カイトの王都滞在編〜終わり無き戦い!?①

 草原に開いた大きな穴から、一匹、また一匹とモンスターが湧いて出て来る。


「倒れている冒険者達を何とかしないと、このままでは殺られてしまうぞ」

「えっ、ああ、そうだなビショップ」

「カイト、忘れていたんじゃない?」

「……ソンナコトハナイゾ」

「カイト様……忘れていたのですわね」

「まあ、カイトだからね。あはははは」

「カイト君、ドンマイ」


 何だか、最近の俺は貶められてばかりのような……


「コンセ、冒険者達をポケット草原に入れるぞ」


(了解、マスター)


 倒れていた冒険者達が居なくなった所で、湧いて来ているモンスターを改めて確認する。


「数が多いわね。これだと王都がルクレールのようになるわよ」

「そうなる前に、この草原で殲滅すれば良い事だ」

「だけど無限に湧いて来るんだよ。どうするのカイト?」

「そうだな……キョウヤ、この草原をダンジョンに変えられるか?」

「なるほどね、一時的になら問題なく変えられるよ。ダンジョン内は異空間だからモンスターは外に出られないって訳だね」

「そう言う事だ。湧いて来るモンスターを倒しながら、あの穴を塞ぐ方法を考えるぞ」


 俺はアイテムボックスから、ありったけのスケルトンとスケルトンバードを出して、ダイフクとキナコとワラビを呼んだ。


 どうやらダイフクとキナコは地竜と遊んでいたらしく、地竜も一緒に来てくれた。


「ほう、この空間は……なるほど、またとんでもない奴が仲間になったようだな、グワッハッハッハ。カイトよ、我も参加させてもらうぞ」


 地竜はダンジョン化に気付き、キョウヤを見て納得したようだ。

 ここに来てすぐにわかるとは流石としか言いようがない。


「うわー、大量のスケルトン同士が戦っている図は何だかシュールだね」

「なあカイト、お前……魔王にでもなるつもりか?」

「そんな面倒くさい物になるつもりなんかさらさらないぞ、ビショップ」

「でも、これを見るとね……」

「ほっといてくれ、シェリー!それよりもガーゴイルが飛んで来ているぞ」

「オッケー、リーダー」


 何だか懐かしいな……また一緒に戦う日が来るとは思わなかった。


 空から、石像のような醜悪な顔つきのガーゴイルが手に槍を持って、此方に向かって来ている。


 アイテムボックスから流星の弓を出したシェリーは青い宝石を触り、弦を引く。

 すると、青い矢が現れ、シェリーが指を離すと、その青い矢が3本に分かれて3匹のガーゴイルを貫いた。

 狙いは相変わらず精確で、スナイパーとしての腕は転生しても変わりが無いようだ。


 そして、下に降りてきたガーゴイルは、両手に流星のガントレットを装着したヨシュアが、次々に殴って粉々に砕いている。


 離れた場所ではレクス、グラン、エル、マックニャンがグレムリンの群れと戦い、サトミとマツリもガーゴイルと戦っている。

 サトミの後ろでは、トレントが枝を振り回してガーゴイルを叩き落としている。


「なあカイト、俺達は何もする事が無いんだが……」

「ああ、その為に俺はスケルトンを総動員したんだ。ビショップ、キョウヤ、あのデカイ穴を塞ぐ手立ては無いか?」

「そうか、俺達は穴を塞ぐ係だな」

「カイト君、あの穴はかなりの深さだよ。おまけに穴の底には何か大きなモンスターが1匹居るみたいだね」

「ダンジョン化するとそこまでわかるのか。凄いな」

「ビショップ、キョウヤはかなりのチートだぞ」

「そんな事は無いよ。ただ、長く生きているだけだよ。年の功だね。あはははは」


 俺達は何か良い案は無いかと考えて

いたが、完璧な解決策なんてわかるはずもなく、それなら俺達のできる事をやってみようという事になった。


「ビショップ、あの穴に爆弾を落としてみたらどうだろうか?」

「どうやって落とすんだ?」

「スケルトンバードに落とさせるんだ」

「なるほど、それならかなりの数が必要だな」


 ビショップは、流星のグローブを両手に嵌めて魔力を流した。


「何でこうなる!?」

「どうした、ビショップ?」

「見てくれ、カイト」

「これは……大根……だよな?」


 ビショップが具現化した物は、葉っぱの部分が切り揃えられた青首大根で、茶色い手袋を嵌めた手と茶色いブーツを履いた足が付いている。


「爆弾……だよな?」

「ああ、それは間違い無い」

「この際、爆弾なら見た目は何でも良い。ビショップ、量産出来るか?」

「ああ、問題無い」


 ビショップの量産のスピードは早く、見る見るうちに大根の山が出来上がった。


 俺がスケルトンバードに指示を送ると綺麗に一列になり、地上すれすれまで降りて来る。

 大根爆弾も一列になって、スケルトンバードにタイミングを合わせるように走り、両手を伸ばしてジャンプをすると、スケルトンバードは大根爆弾の手を掴み、穴に向かって飛んで行った。

 ――――――流れるような作業だ。


「すまん、カイト……俺は、航空機搭載型をイメージしたんだがな。異世界補正が掛かっているとは言え、これではまるでギャクかオカルトだ」

「良いんだ、気にするなビショップ」

「僕はこう言うのは結構好きだよ。あはははは」


 これを漫画やアニメで見れば、あるいは可愛いかもしれないが、実際に見るとシュールで、ある意味恐ろしくもある。



 ヒュ――――――ズドォォォォォン

ズドォォォォォン――――ズドォォォォォン


 穴の中から、くぐもった爆発音が連続で聞こえてきた。

 そして、大根爆弾を投下したスケルトンバードが順に戻ってきて、次々に新たな大根爆弾を連れて二度目の投下に向って行った。


 サトミやマツリ、シェリーにヨシュア、そしてレクス達までも、この光景に目を奪われていたらしく、口をぽかんと開けて此方を見ていた。

 その間は、スケルトン、ダイフク、キナコ、ワラビ、地竜が頑張ってくれていたみたいだ。


「カイト君、穴から出て来るモンスターの数が減ってきたようだよ」


 キョウヤの言う通り、見てわかるほどに数が減っている。

 爆弾の効果はあったみたいだ。


「ビショップ、どうやら上手くいっているみたいだぞ」

「これだけ爆弾を作って上手くいかなかったら俺は泣くぞ」


 レクス達とサトミ、マツリ、そしてシェリーとヨシュアが俺達の所に集まって来た。

 穴から出て来るモンスターはスケルトンとダイフク達だけで事足りているようだ。


「ビショップさん、かわいい大根さんが可哀想ですわ!」

「いや……あれは爆弾だから……」


 相変わらず木彫りのモアイ像を付けた炎の槍を持って、目を釣り上げたマツリがビショップに詰め寄り、ビショップはタジタジだ。



 大根爆弾の投下はまだ続いていて、穴から出てくるモンスターの数も次第に激減していった。


「カイト君、ボスのお出ましのようだよ」


 キョウヤの声に皆が穴に注目する。


「カイト、出てきたよ。大きな手だね。ガチャ髑髏かな?」


 穴の縁に大きな骸骨の手が掛かり、巨大なスケルトンが姿を現した。


「サトミさん、あれは餓者髑髏だよ」

「そうなんだ。ガチャ髑髏とは違うんだね」

「いや……あれも餓者髑髏なんだけど……まあ良いか。あはははは」


 穴から出て来た餓者髑髏は、大根爆弾の爆発を嫌っているらしく、まるで頭の上の蝿を払うような仕草をしている。


「爆弾を嫌がってはいるが、それ程効果は無いようだな。此方に歩いて来ているぞ。どうする、カイト?」

「俺達が総動員でかかれば倒せるんじゃないか?」

「それじゃあ僕から行くよ。あの餓者髑髏を抑えるから、その間に倒すといいよ。―――――出ておいで、餓者…いや、ガチャ髑髏!!」


 キョウヤの呼び声で光の粒子が集まって、ダンジョンでサトミが戦ったガチャ髑髏が現れた。

 いや、あの時のガチャ髑髏よりも大きいかもしれない。

 穴から這い出てきた餓者髑髏と同等の大きさだ。


 巨大なガチャ髑髏と餓者髑髏が組み合って、押し合いをしている。


「ねえキョウヤ君、あれではどっちがガチャ髑髏なのかわからないよ」

「うーん、それもそうだね」


 キョウヤが指をパチンと鳴らすと、上空にキラキラと金色に光る光の粒子が集まってきてガチャ髑髏に降り注いだ。

 すると、ガチャ髑髏の頭から徐々に足先までが金色に変わり、太陽の光を反射してキラキラと輝いている。


「これで見分けがつくよね」

「うわ〜、凄く派手だね」

「お宝ですわ♪」

「いやマツリ、あれは違うだろう。―――――行くぞ!ガチャ髑髏が抑えている間に俺達全員で集中攻撃だ!!」


 グランはハンマーを、マックニャンはレイピアを、マツリは炎の槍を、シェリーは流星の弓を、ヨシュアは流星のガントレットを、エルは両手に闘気を纏い、サトミは腕を棘蔓に変えて、餓者髑髏を囲む位置に走り出した。

 俺はサンダーショットを何時でも撃てるように走り、レクスは魔法のフェンリルに跨り、ビショップは流星のグローブで具現化したパイナップル型の手榴弾を持っている。


 金色(こんじき)に輝くガチャ髑髏は、餓者髑髏を殴り、蹴り、投げ飛ばす。


「今だ!!」


 キョウヤ以外、俺たち全員が集中攻撃を始めようとした瞬間、金色ガチャ髑髏は俺達を制するように、手のひらを俺達に向けてきた。




読んで頂きありがとうございました。

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