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第6話 カイト、商業ギルドに行く

6話も宜しくお願いします。


「カイトさん、お待たせしました。どうぞ、こちらへ」



 ミウラさんがギルド長室のドアをノックする。


「カイトさんをお連れしました」

「おう、入れ」

「どうぞ、カイトさん」

「ありがとう、ミウラさん」

「座ってくれ。オークの死体は見せてもらった」


 俺が座ると、いきなり本題に入った。


「昨日の集落の件を覚えている限りで良い、説明してくれないか?」


 俺は、レクスと一緒に戦った事、刀と魔法を使った事、ローランドさんの事を話した。



「はぁ……そりゃ、ドールマスターの戦い方じゃねぇよ。その人形もそうだが、とんだ規格外だなお前さんは」


 ミウラさんが紅茶を出してくれた。

 お礼を言って一口飲む。

 

「報酬だが、クエスト達成が金貨2枚、それとは別に集落の早期発見及び、殲滅として金貨101枚、オークとオークジェネラルとオークキングをギルドに売却してくれるのなら、その売却代金だ」

「それなら俺は、半端のオーク13体とオークジェネラル1体分の肉を貰う。後は売却だ」

「わかった、先に金貨103枚だ。確認してくれ。買い取り代金はすぐに用意する。ミウラ」

「はい、暫くお待ち下さい」


 ミウラさんが、退室した。

 紅茶をおかわりして飲みながら暫くまったりとした空気を堪能する。

 

 俺は金貨を数えながら聞いてみる。


「ギルドマスター」

「何だ?」

「屋台を出すには、どうすれば良いんだ?」

「ブーッ、バカ野郎!唐突になんて事を言いやがる!紅茶を吹き出したじゃないか!まったく」

「汚いなー、レクス大丈夫か?」

「清潔の付与で汚れないから大丈夫だよカイトくん!」

「お前らは本当にマイペースだな。屋台の事は商業ギルドに聞けば、教えてくれるさ」

「そうか、ありがとう」

「良いって事よ。偶に冒険者でも趣味で屋台をやってる奴もいるからな」





「ミウラです」

「おう、入れ」

「失礼します。カイトさん、此方が買い取り代金です。内訳ですが、オーク1体が金貨3枚で100体分ですから金貨300枚。オークジェネラル1体が金貨15枚で3体分の金貨45枚。最後にオークキング1体が金貨30枚となり、合計で金貨375枚です」

 

 凄い記憶力だ。


「お確かめください。因みにオークジェネラルとオークキングは、状態がとても良かったので金額を高めに設定しています」


  テーブルに金貨を積み上げて数えた。何とかならないのか、これは? 


「ミウラさん、迷惑を掛けたお詫びにこれをどうぞ」

「迷惑なんて思ってないですよ、カイトさん」

「あ、じゃあ要らないですね」

「あっ、要ります、要ります!もう、カイトさん意地悪しないでください」

「アハハ、すみません。改めて、どうぞ召し上がって下さい」

「えーと、これは何ですか?」

「これはプリンです。お菓子ですよ」

「ギルドマスターもどうぞ」

「そうか?じゃあ、有り難く頂こ…」

「!!!美味しーーーーっ」

「うぉ!びっくりした!何だミウラ」

「ギルドマスターも食べてみて下さい。あぁ……夢みたい……」

「……マジか、美味いな。ミウラがおかしくなるのも納得だ」

「喜んでもらえて良かった」



 俺は今商業ギルドに来ている。

 

 長い行列に並んで、今やっと受付カウンターにたどり着いたところで、鐘の音がなり、番号札を渡された。

 

 1時間後に再開するって……


「昼休憩?何なんだよー……わかるよ、わかるけど……はぁ、仕方ない、何か食べに行こう」


 商業ギルドを出た所で眼鏡を掛けた背の高いロマンスグレーの初老の男性に声を掛けられた。


「君は冒険者ですね。商業ギルドは初めてですかな?」

「はい、初めて来ましたけど、まさか、こうなるとは思わなくて………」

「ハハハ、そうですか、良かったら隣の食堂で食事でもしましょう」


 俺は、ロマンスグレーさんと食堂に入る事になった。


「やあ女将さん、何時もの、おすすめを2つ頼みます」

「はいよ!座って待ってておくれ」


 出てきた料理はパンと、すじ煮込みと、ふかし芋。

 

 パンはやっぱり固いが、すじ煮込みのすじが、トロトロに煮込まれて美味かった。ふかし芋でお腹がいっぱいになった。


「私はロバート、商人ですが、君は商業ギルドに登録に来たのですかな?」

「はい、俺は冒険者のカイトです。何時になるかわかりませんが、屋台を出して見たくて、相談に来ました」

「そうでしたか、そうでしたか、冒険者の方の屋台は偶に見ますが、偶にであるが故どれも人気でしてね、それは、それは楽しみですね」



 食堂を出て商業ギルドに戻り列の最初に立ち、窓口が開くのを待つ。


「お待たせ致しました。受付嬢のアマンダです。本日はどういったご用件でしょうか?」


 受付嬢のアマンダさんは、20代前半で、目の色は青、金髪を肩まで伸ばした、柔らかい雰囲気のぽっちゃりさんだ。


「カイトと言いますが、屋台を出すには、どうすれば良いのか教えて頂きたく、伺いました」

「それでしたら、先ず商業ギルドに登録して下さい、詳しい話は別室にてさせて頂きますので、この用紙にご記入お願いします」


 俺は用紙に記入して、アマンダさんに渡した。


「では、確認します」

「はい、お願いします」


 俺は笑顔で応えた。面接の基本だ。


 アマンダさんは頬を薄っすら染めて俯いて読み上げる。


「お名前はカイトさんで、年齢、15歳、出身地は秘匿、職種は屋台、商品は料理、営業日、営業時間は不定期、ギルド規約は承認で宜しいですか?」

「はい大丈夫です」

「では、冒険者ギルドのカードをこちらに。そして、この水晶に少しで良いので魔力を流して下さい」


 俺は水晶に魔力を流した。冒険者ギルドでもやったけど、何なのだろう。


「では、カイトさん。別室にご案内します」





「どうぞお掛けになってお待ち下さい」


 ソファーに座るとアマンダさんは退室した。


 目の前のテーブルに、簡単な地図が有ったので、待っている間に見てみると、大通りを中心とした地図だった。



 中央公園から南北に大通りが通っており、南に行くと、この街の領主の館が、北に行くと、俺が初めてこの街に来たときに通った正門と詰所が有る。


 中央公園から正門までの間には、東西に大通りが通った交差点が有り、東にはローランド商会が、西に行くと、冒険者ギルドや商業ギルドが有る。


 因みに、川のせせらぎ亭は、正門詰所から冒険者ギルドの間にある、大通りよりはやや狭い、南に抜ける通り沿いに有る。


 

「失礼します。お待たせ致しました」


 アマンダさんが紅茶を持って入って来た。


「では、説明しますね。まず場所ですが、中央公園内ですと一週間契約となり、1日当たりの地代が銅貨8枚になります」


 なるほど、毎日やる予定は無いから公園内は却下だな。


「次に、中央公園から北の交差点までも一週間契約となり、地代が1日当たり銅貨5枚になっております」


 ここも却下。


「後は、交差点を挟んで東の大通りと西の大通りになります。こちらは地代無しで、空いている場所に自由に屋台を置くことが出来ます」


 うん、そこで良いんじゃないかな。


「注意事項として、交差点から正門までの通りには屋台を置く事は禁止になっております」

「俺の場合、毎日屋台を出す訳では無いですから、東西の通りが良いですね」

「冒険者さんの趣味の屋台ですね」

「そういう事です」

「場所の説明はこれで良いとして、次の説明に入ります」


 アマンダさんの説明によると、商業ギルドで食材や他に商売に必要な物を購入する事で、ギルドに貢献して欲しいとの事。


 ギルドに貢献した場合、その度合いによってギルドランクが上がるそうだ。


「あと、屋台はご自分で御用意されるか、有料でお貸しする事も出来ます」

「屋台は少し考えてみます」

「そうですか、料理が決まったら、試食として作って貰いますからギルドに来て下さい」






「カイトくん、屋台はどうするの?」


 商業ギルドを出て、川のせせらぎ亭に戻る途中にレクスが聞いてきた。


「さて、どうしようか。通りに出ている屋台を見ても、いまいちなんだよな」

「カイトくん、屋台を作れるの?」

「どうも、そっち方面は苦手だな」

「そっか!じゃあ得意な奴を紹介出来るけど、どうする?」

「居るのか?そんな奴。ならば材料は商業ギルドで揃うと思うから、頼めるか?代金は払う」

「わかったよ、カイトくん!でも、代金は要らないと思うよ!」

「代金くらい取れよ。大丈夫なのか、そいつ……」

「腕は確かだよ!カイトくんが気にするのなら、お金よりもお酒の方が好きだから、お酒をあげたら喜ぶよ!」


 ドワーフか?っていうか居るのかドワーフ。


「カイトくん、明日まで待ってね!」





「おかえりなさい、カイトさん、レクスちゃん。夕飯はどうする?」


 川のせせらぎ亭に帰るとメアリーが出迎えてくれた。


「先に体を拭いて来る」


 裏庭に出て、衝立で囲い、服を脱ぐ。

 セルジュ、温水シャワーだ。


(はい、マスター)


 頭の上からシャワーを浴びて一旦止めると、アイテムボックスから石鹸を出して泡立て、頭からつま先まで綺麗に洗う。

 

 再びシャワーを出して良く流して、体を拭いて服を着る。


 セルジュ、次は温風だ。


(はい、マスター)


 髪を乾かして食堂に入り、空いているテーブルを見つけて椅子に座る。

 

 やっぱりシャワーは気持ち良いな。

 

 髪の毛もサラサラだ。


「カイトさん、お待ちどうさま。エールも一緒に持ってきたよ」

「ありがとう、メアリー。今日も美味そうだ。頂きます」

「エヘヘー、ごゆっくりどうぞ」


 レクスに手を振ってメアリーは仕事に戻って行った。

 レクスも手を振っている。


 今日の夕飯は、何時ものパンとベーコンや葉野菜が入った、見た目がコンソメスープとオークのステーキ。


 それと、あと1品。俺は目を見張った。サラダの器に入っていたのは、細かく千切ったレタスと小豆、大豆、ひよこ豆、それと、見た目がインディカ米のような少し長細い形の米だ。


 此処に料理として出ていると言う事は、商業ギルドで売っているのかもしれない。


 一口食べみた。この世界では名前が違うのだろうが、インディカ米に良く似ている。


 出された料理を残さず食べて、俺は上機嫌で部屋に戻った。




読んで頂いた方、有り難うございます。

今回、戦闘シーンはありませんでした。



ロバート(商人)


アマンダ(商業ギルドザルク支部の受付嬢)

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