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第44話 カイト、ギルメットの領主の舘に行く

相変わらず不定期更新でスミマセンm(_ _)m

 大衆の往来で領主様が涙を流しながら懇願しているのに、無視が出来る筈もなく、仕方なく付いて行くことになった。


「カイトさん、これはいったい、どういう事なんですか?」


 アマンダさんに今朝の冒険者ギルドでの出来事を、領主様に聞こえないように、かい摘んで説明した。


 アマンダさんは呆れ顔だ。


「新月仮面様は………」

「カイトです。カイトと呼んで下さい領主様」


 此処で皆の自己紹介をした。




「なるほど、カイト様の見聞を広げる旅に同行して、商業ギルドと冒険者ギルドの視察をしていると言う訳ですね。アマンダ殿とミウラ殿は安全が保証され、カイト様は案内役を得て、実に合理的な旅ですな」



 話しをしている内に領主様の屋敷に着いて、領主様が自ら案内をしてくれた。


 使用人達は何事かと驚いているようだ。


「良いか、この方達は大切なお客様だ。くれぐれも失礼の無いように」

「畏まりました、旦那様。夕食の方は如何致しますか?」

「ああ、今出来る最高級の物を頼む」

「畏まりました。失礼致します」

「カイト様、夕食の手配をしましたので、食事をしながら色々とお話をお聞かせ下さい」

「領主様……」

「ジュールとお呼び下さい。カイト様」

「それではジュール様、俺は普通の冒険者なので、大袈裟にしないで頂きたいのですけど……」

「普通ですって、アマンダさん」

「あり得ないわ」

「お二人さん!?何を言っているのかな?」

「アッハッハッハッハ私もアマンダ殿と同意見ですよ。それに、うちの料理人も新月仮面様に心を奪われている内の一人です。どうぞ、此方でゆっくりとしていて下さい。私は料理人に誰が来られたか話して来ます」



 応接室に案内されて、メイドさんにお茶を入れて貰う。


「マックニャン、今夜は領主様に夕飯をご馳走になる事をララさんに伝えて来てくれないか?」

「了解ニャン!」


 マックニャンが消えてメイドさんが驚いている。


「伝えて来たニャン」

「ありがとうマックニャン」


 マックニャンが突然現れて、メイドさんがまた驚いた。




 夕食はコースで出てきた。前菜として、今朝、商業ギルドに卸した魚が使われていた。

 焼いた身をほぐしたその魚を、セルクルで丸く型取り、その上に細かく刻んだトマトを乗せて、刻んだハーブ、塩、胡椒、オリーブオイルをかけて、皿の周りに薄くトマトソースをかけていた。

 サッパリとしていて食べやすく鼻に抜けるハーブの香りが食欲を増進させる。


 次は鶏肉で出しを取って、炒めた玉ねぎ、人参、セロリを煮込んだ後に漉した、奥深い味わいのスープを楽しんだ。


 生野菜のサラダを食べたらレモンの香りと酸味で口の中がリフレッシュされて、次の肉料理がワゴンで運ばれて来た。


 恐らく、昨日倒したワイバーンだろう、ローストされた肉の塊が存在感をアピールしている。

  

 運んで来たのはコック服を着たシェフで、ナイフで肉の塊を切り分けて、木苺の粒が残っている赤いソースをかけて供してくれた。


 ほんのりとハーブの香りがするワイバーンの肉に酸味と甘味のあるソースが良く合っている。


「美味いな……どの料理も最高に美味しかったです」

「幸せ過ぎて天国に行きそうです」

「凄く贅沢だわ、こんなに華やかで美味しいお料理は初めてです」

「ドリアードの私も大変美味しく頂けました」


 シェフが涙を流し始めた!?


「新月仮面様方にお気に召して頂けて私は……私はとても嬉し……です。最後にフルーツをシロップで煮て凍らせた物です。今が丁度良い頃合いになっておりますのでお口直しにお召し上がり下さい」


 分かりやすく言えば桃の缶詰の桃を凍らせて半解凍させた物だ。

 噛むとシャリっとした歯ざわりで、とても冷たくて美味しい。


「とても美味しかったです。ありがとうございます。ジュール様はとても優れた料理人をお持ちで羨ましいです」



 食後のお茶を飲みながらジュール様に俺が今までしてきた事を、主にアマンダさんとミウラさんが話している。


 ジュール様は楽しそうだ。


「カイト様、この街には何時まで居られるのですか?」

「後2〜3日は居る予定です。その後はダンジョンの街に向かいます」

「ダンジョンの街でも伝説を作るのでしょうなアッハッハッハッハ」

「伝説なんて作りませんよ。普通に目立たないようにダンジョンを楽しむだけです」

「そうなる事を祈りましょう。出立の前に此処へ立ち寄って、ダンジョンの街の領主宛の書簡を預かって頂けますか?勿論、指名依頼としてです」

「配達ですね。引き受けましょう」

「では私が指名依頼の手続きをしておきます」


 ミウラさんがマジックボードをポーチから出して、何やら打ち込んでいる。





「ジュール様、今日はありがとうございました」

「いや、新月仮面様に来て頂いてこれ程嬉しい事は無いです」

「では、失礼致します。マックニャン馬車を頼む」






 翌朝、商業ギルドに野菜と魚を卸してから冒険者ギルドに行き、モンスターの買い取りをして貰う。


「解体の出来る冒険者に依頼を出しますから、どんなに大量のモンスターでも大丈夫ですよ」

「良かった。数えていないけど5000匹は有ると思うから……」

「ちょ、待って下さい!5000匹!?すみません、取り敢えず100匹までにしてもらえますか?」


 俺は解体場にワイバーンも数匹含めた100匹のモンスターを出してギルドの外に止めてある馬車に乗り込んだ。

 馬車の中ではアマンダさん、ミウラさん、サトミが紅茶を飲んでいる。



「今から森の中に入ろうと思うんだけど、アマンダさんとミウラさんはどうする?」

「出来れば付いていきたいです」

「私もカイトさんがどのように戦うか見てみたいです。それとギルドで今、薬草が不足しているので、少しでも採取したいです」




 と、言うことで、皆で森に行く事になった。

 森の手前で馬車を降りて、ワラビを放し、馬車はアイテムボックスに入れておく。


「アマンダさんとミウラさんはワラビに乗ってくれ」


 森の中を俺達は走った。サトミも流石に、過酷な世界でドリアードとして生きてきただけあって、息切れもせずに俺に付いて走っている。


 レクスとグランはアマンダさんとミウラさんが抱いている。

 エルとマックは俺にしっかり付いて走っている。


 上空にはキナコとキナコの背にダイフクもいる。





 森の奥まで走って来ると、コカトリスが3匹現れた。


「エル、マック、サトミ」


 エルは、素早く走り寄り赤い闘気を纏った手刀で首を落とし、マックは電光石火の速さでレイピアで眉間を貫いた。

 サトミは棘のない先の尖った蔓を真っ直ぐに放ち、喉元を貫いて倒した。


「コンセ」


 勿論、回収はコンセに頼む。その間俺達は足を止めずに走っていた。


「ななな、何で走ったまま倒せるんですかぁぁぁ!コカトリスが一撃でなんて信じられませんよぉぉぉ!」

「ミウラちゃん、カイトさんだからフフフ」


 いや、俺は何もしていませんが?



 少し走ると今度は、マンティコアがいた。向こうも此方に気付き、正面から襲い掛かって来た。

 俺はレーザーサイトでマーキングして、眉間にサンダーショットを撃った。


「あのマンティコアが走りながらの一撃で…………」


(マスター上空にグリフォンが4匹、此方に近づいて来ます)


「レクス、キナコ、ダイフク」


 グリフォンが放った風の刃を躱したキナコが竜巻を起して、グリフォンを巻き上げる。体中傷付いたグリフォンは錐揉みしながら落下して地面に打ち付けられて倒れた。


「キュロロロロー」


 レクスのサンダーバードが2匹のグリフォンを貫く。


 人形のダイフクが残りのグリフォンに飛びかかり召喚。元に戻ったホワイトパイソンのダイフクがしっぽの一撃で地面に叩き落として送還。人形に戻ったダイフクをキナコが受け止めた。


「魔法の雷鳥?鳴くの?」

「ダイフクちゃん、凄い早業でしたね!」

「って言うか、ラージピジョンがグリフォンに勝っちゃった!?」


 走りながらグリフォンを回収したら、今度はジャイアントセンチピードだ。


「ワラビ」


 頭をもたげて攻撃態勢のジャイアントセンチピードの腹に、ワラビのブレスが直撃して、真っ二つになった。


「凄い威力……馬って強かったのね…」




 右側から重い足音で、何かが走ってきた。


「グラン来い」


 何かわからないが、取り敢えずグランを呼ぶ。


 ――――――来た!!サイクロプスだ!


「投げるぞグラン」

「おう!!ワッハッハッハー」


 サイクロプスに向ってグランを投げた。グランはハンマーを出して、タテに回転しながら突っ込み、サイクロプスがガードの為に構えた棍棒ごと、笑い声と共にハンマーで叩きつけた。

 下半身が地面に埋まったサイクロプスは既に息絶えている。


 コンセはジャイアントセンチピードとサイクロプスを収納した


「グランさん、容赦ないわぁ」




 次に現れたのは巨大なロックタートルだ。


「アマンダさん」

「えっ!?わ、私ですか!?無理無理無理無理無理!!」

「冗談だ」

「ふぃ!?カイトさん!もう……」


 俺は新月のナイフを出した。


「あっ!それは」

「景品で貰ったナイフだね、カイト」

「やっぱりお祭りナイフでしたか」


 ミウラさん、サトミ、アマンダさん、その通りなんだけど……


 鈍色の鞘から抜くとギザギザが特徴的なサバイバルナイフだ。

 俺は、氷をイメージして、ロックタートルに投げた。


 サバイバルナイフは硬い岩の甲羅に弾かれる事なく突き刺さり、刺さった所から一気に凍り始めた。


「カイトさん、ナイフ投げも出来るんですね」

「そう言えば得意武器にナイフも書かれていましたね」

「カイト、完全に凍ったよ」


 鈍色の鞘をナイフに向けたら、ロックタートルから抜けて鞘に戻ってきた。


「コンセ、頼む」

(イエス、マスター)


「お祭りの景品なのに、何?この国宝級のナイフは……」

「景品もカイトさんが使うと国宝級になるのね……」


 何でそうなるの!?


「やっぱり思ったとおり、此処は良い訓練場所になるな」

「えっ!訓練に来たんですか?」

「ああ、このナイフも使ってみたかったからな、ミウラさん。それじゃ、薬草を採取しながら帰ろうか。コンセ、マップに薬草の場所を出してくれ」



今回も読んで頂きありがとうございました。

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