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第15話 カイト、ルトベルクの冒険者ギルドに行く


「そろそろ終わるみたいです。ダイフク、外が見えるようにしてくれ」


(わかった。ちょっと待ってね)


 ダイフクが動いて、外が見えるようになった。

 グランとエルが、それぞれハンマーと徒手空拳で最後のグレーウルフを倒したところだ。


「カイトよ、終わったぞ」

「準備運動にもならなかったぜ」



「グレーウルフが……」

「お、お人形?」


 アランさんとアリエルちゃんは辺りを埋め尽くしているグレーウルフの死体を見て、そしてグランとエルを見て、目を見開いている。


「コンセ、グレーウルフの収納を頼む。近くに冒険者とブラックウルフは居るか?」


(西に約1kmの地点で確認出来ました。ブラックウルフは2匹います)


「……グラン、エル、此処に居て警戒を頼む」


 西に走って行くと、すぐに見つけた。


「あの人達は……あの時の冒険者か」


 俺が、この世界に来て初めて見た人達だ。あの時はオークと戦っていたな。


「おはようございます。冒険者のカイトですけど、お手伝いは必要ですか?」

「!!!」

「な、何だ、怪しい奴だな」

「いつからそこに居たんだ!?」


 確か、マシューさんだったな。


「今来たところですよ、マシューさん……ですよね?」

「挨拶は後だ!戦えるんだな!?」

「はい、取り敢えず一匹倒しますね」


 俺は、2匹いるブラックウルフの1匹に、新月の刀を抜いて歩いて行くと、ブラックウルフの方が一瞬で目の前に来たので首を落とし刀を鞘に収める。

 すると、もう1匹が背後から襲い掛かって来たので、裏拳で鼻面を殴り飛ばし、ライトニングショットを構えたが、ブラックウルフは気を失っているようだ。


「マシューさん、取り敢えず1匹倒しましたよ」

「「「……」」」


 皆んな固まっているぞ、怪我が酷いのか?


 セルジュ、全員にヒールだ。


「ヒーリングオール」


 これで大丈夫だろう。


「マシューさん、取り敢えず1匹倒しましたよ」

「「「…………」」」

「皆さん、まだ何処か痛みますか?」

「あ、いや大丈夫だ。ってか、食いちぎられた指まで治ってるぞ!?」

「大丈夫そうですね。取り敢えず1匹倒しましたよ」

「あ、ああ、それは見ていたから、わかっているんだが、俺達があれだけ戦って倒せなかったのに……」

「多分運が良かったんですよ」

「「「違うと思う」」」


 何か、否定されたけど面倒だからスルーだ。


「マシューさん、もう1匹は気絶したままですけど、どうしますか?」

「最後までお前がやってくれ、怪しい仮面」


 そんなに怪しいか?恥ずかしすぎる。


「わかりました」


 レーザーサイトでポイントを眉間に合わせてライトニングショットを撃った。


「何だ今のは!?」

「マシュー。俺も気になるが、それよりも早く馬車に戻らなければ」

「フリオさんの言う通りです。あれだけのグレーウルフです。馬車が保つか心配です」


 アランさん達の心配をしているのか。


「馬車ならもう大丈夫ですよ。グレーウルフは全て討伐しましたから」

「嘘でしょ、あの数をあなたが!?」

「俺じゃ無くて人形が討伐したんですけど、それよりもブラックウルフは最低3匹居たと聞いていますが?」

「人形?……いや、3匹だけだ。残りの1匹はマジックバッグに入っている」

「良かった。それならもう大丈夫ですね。良かったら、あの2匹も入れますか?」

「あれは、お前のだ。怪しい仮面」

「肉は美味しいですか?」

「いや、肉はそれ程でもないが素材が高く売れるぞ」


 アイテムボックスにブラックウルフを入れると、全員で来た道を戻る。



「マシュー、ホワイトパイソンだ!」

「馬車は無事か?」

「よく見て、テイムモンスターの証が付いているわ」


 馬車まで戻るとダイフクを人形に送還した。


「無事だったかマシュー!」

「マシューさん、それに皆さんも……良かったです……怪我は無いですか?」

「はい。彼に助けられました。怪我も彼の魔法で治して貰えましたから大丈夫です」

「そうか、私達も彼に助けられたんだ。何か礼をしたいんだが……」

「気にしないで下さい。俺は、昼から予定が有りますから、これで失礼しますね。グラン、エル、ダイフク、帰るぞ」


 門の前で忘れずに仮面を外し、まずは肉屋だ。



「遅かったな、来ないのかと思ったぞ」


 切り分けて貰った鶏肉をアイテムボックスに入れて宿屋に帰る。

 いつの間に出てきたのか、レクスがグラン達と歌いながら後ろを歩いていた。




 宿屋でバランさん達と合流して衛兵の詰所に行った。


「来たか、準備は出来ているぞ」


 別の衛兵が、布袋を載せた手押し車を押して部屋に入って来た。


「今回は手配中の盗賊団と言う事で、通常一人当たり金貨10枚が倍の20枚になり、更に領主様の礼金として一人当たり金貨20枚。後は税と手数料を引いた犯罪奴隷の売却金が、一人当たり金貨10枚だ」


「ホイル、俺は金額を聞くのが恐ろしくなってきたぞ……」

「バランさん、僕も同じですから安心して下さい……」

「続きだ。一人当たり金貨50枚が58人分で2900枚の金貨になる。今回は金額が大きいから大金貨で290枚だ。確認してくれ」


 大金貨は初めて見るけど、これは金貨って言うよりも、少し小さい金メダルって感じだ。

 大金貨1枚で金貨10枚分だな。


「カイト、半分取ってくれ。残りが俺たちの分だ」


 俺が145枚の大金貨をアイテムボックスに入れると、バランさんはトランプを配るみたいに1枚ずつ3人で配り始めた。


「バランさん、1人48枚ですよ」

「驚いた。計算が早いな」

「1枚残ったぞ、カイト」

「それは、金貨と銅貨で分けるか、竜の咆哮の共同資金にしたらどうですか?」

「そうだな、これは俺たちの打ち上げの時にでも使うか」

「受け取りも終わったし、ギルドに行きましょう」

「カイト君、依頼でも受けるのですか?」

「大金貨をギルドに預金するんですよ」

「そうよね、このままじゃ使えないし、重くて大変だわ」

「他にも俺は、グレーウルフとブラックウルフをギルドに売りたいんで、皆さんと一緒に行きたいんです」

「何でだ、お前の見た目はアレだが、子供じゃ無いんだし、俺たちよりも余程しっかりしてるだろ」

「もしかしたら、その見た目だからじゃないんですか?」

「そうよね、ほぼ確実に絡まれるわ」

「お恥ずかしながら、その通りです。余計な事で時間を取られたく無いんですよ」

「アハハハそう言う事なら任せてくれ」


 ギルドのドアを開けて中に入ると、一斉に此方を見てくる冒険者達。


「おぅおぅ、何しに来たんだ、こんなひょろいガキが。依頼か?ガッハハハ」


 俺は無視して受け付けカウンターに向かう。


「やめろジャンゴ、俺たちの連れだ」


 どうやら知り合いみたいだ。


「あっ、バランさん、お久しぶりです。バランさんのお連れでしたか。済まなかったな坊主、お約束って言うものでな」

「いえ、Cランク冒険者のカイトです。宜しくお願いします」


 お約束って何だよ?


「おい、Cランクだってよ。絡まなくて良かったな、ジャンゴ。アッハハハ」

「お久しぶりです、バランさん。此方の方は初めてですよね。冒険者ギルド、ルトベルク支部へようこそ。本日はどういったご用件ですか?」


 大きな胸に名札を付けている受付嬢のニーナさんは、肩に掛かるくらいのの水色の髪で、目は青色の美人さんだ。

 

「バランさん達と預金を、俺は買い取りもお願いします」

「では、ギルドカードと預金される現金を此方の木箱にお願いします」


 1人ずつ渡された木箱に大金貨とギルドカードを入れて、受付嬢に渡した。


「大金貨ですか、こんなに……」

「はい、盗賊団を捕らえた褒賞金です」

「なるほど、あの58人の盗賊団ですか。その話しは冒険者ギルドにも入って来てました。当ギルドで預金して頂き有り難うございます。では、手続きが終わるまで暫くお待ち下さい」


 手続きが終わるまで、ここに居た冒険者達に盗賊討伐の様子を、バランさん達が話していた。


「カイト、ギルドで絡まれたく無かったらな、冒険者ランクと名前を言って、お約束は要らないって言えば良いぞ。大抵はそれで終わる」

「有り難うございます、ジャンゴさん。そのお約束って何ですか?」

「昔からの、ならわしで俺達も知らないんだ。だが“お約束は大事”って言葉は語り継がれている」


 昔の転生者だな。レクスが目を逸したと言う事は決定だ。


「竜の咆哮とカイトさん、預金の手続きが終わりました」


 俺達はギルドカードを受け取る。


「皆さん、預金は初めてのようですから、説明をしますね。まずギルドカードに魔力を少し流して下さい。預金の残高がカードに表示されます。次に預金を引き出す時はギルドの受付に来て下さい。預け入れも受付で行います。持ち込んで頂いた素材の代金も、一言伝えて頂ければ此方で直接振り込みますから、待ち時間無く行なえます」

「それは便利ですね」


「そうです。便利なんです。それなのに預金される冒険者の方は少ないのですよ。後は、水晶板が置いてあるお店では、冒険者カードを翳し金額を入力するだけで支払いが出来ます」


「わざわざ銅貨を数えなくても良いのは助かりますね」

「次はカイトさん、何の買い取りですか?」

「はい、グレーウルフが72匹とブラックウルフが2匹です」

「…………」

「まぁ、カイトだからな」

「僕たちも大分カイトくんに慣れましたね」

「普通の人ならこの反応が正しいわ」

「何か酷い言われようですね」

「あっ、すみません。何か聞き間違えしてたようですからもう一度お願いします」

「聞き間違えじゃあ無いわよ」

「もう一度言いますね。グレーウルフが72匹とブラックウルフが2匹ですよ。収納に入っています」

「わかりました。これは皆さんで討伐されたのですね?」

「いや、俺達は関係無い」

「カイトさん、これは何処で討伐されたのですか?」

「西の山越えする道が有る山頂付近です」

「それでしたら、ギルドからの討伐依頼が出ていますので、依頼完了で手続きさせて頂きます。」

「ニーナさん、報酬と買い取り金は口座に振り込んで下さい」


 ギルドの解体場にグレーウルフとブラックウルフを出してギルドを出る。


 バランさん達はギルドの酒場に行くようだ。大金貨1枚が直ぐに無くなりそうだな。


読んで頂きありがとうございました。



マシュー(冒険者)

フリオ(冒険者)


ジャンゴ(冒険者)

ニーナ(冒険者ギルドルトベルク支部の受付嬢)


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