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実話怪談 死相他  作者: 弾
6/30

空き家で肝試しをした時に

 Aさんという心霊系の掲示板に書き込んでいた高校生の体験談を基にしたお話である。


 Aさんと同級生のBさん、後輩のCくんとで夏の夜中肝試し行こうという話になった。場所は地元では有名な空き家に決まった。


「どうせならもう少し人を呼ぼうぜ、ほら霊感あるとか言ってたD子とかどうよ?」とBさんが言った。D子さんも同級生だ。彼女を呼ぶと聞いた時何か違和感を覚えたが、Aさんは言われるがままD子さん他数名に電話をかけた。


 D子さんにかけたとき、この電話は現在使われておりません。となった、あれ? と思いもう一度だけかけてみると今度は繋がった。


「あ、D子さん。今AさんとCくんとで集まってて、肝試し行こうかって話してるんだけどさ、D子さん来ない?」


 彼女はしばし無言のあと「行く」とだけ言った。


 結局呼びかけに応えたのはD子さんだけで、四人で空き家に行くことになった。バイク三台でD子さんはBさんのバイクの後ろに乗った。いつもは饒舌なD子さんの妙に口数の少ない様子に、少しだけ妙だなと思った。


 着いてみると空き家は思ったより異様な雰囲気で、怖い話が苦手なC君など青ざめるほどだった。


 何度か知り合いの話に出てきたところだったので、人が来ていて落書きとかがあるんだろうなと思っていたが、そんなものはどこにも無かった。


 中はまだ荒れ果てるというほどにはなっておらず。まだ微かな生活臭が残っていてなお不気味だった。


 元はそこそこに良い家だったんだろう二階建ての日本家屋で、母屋はそれほど傷んではいなかったが庭はさすがに雑草だらけである。


 懐中電灯を片手に慎重に進むAさん達を置いて、D子さんはどんどん先へ進んで行ってしまう。そのままトントントンと階段を登って二階へ行ってしまった。


「おおっ! D子すげえな」などと言いつつ、後を追う。階段を登ろうとした時だった。パチンッ! パチンッ! と空気が爆ぜる様な音が鳴った。近くにそんな音を出すものなどない。


 音に驚いてCくんが逃げ出した。「おいおい……ビビり過ぎだろう」と言いながらAさん達二人はCくんを追う。


 空き家の玄関先付近でCくんを捕まえる。彼を落ち着かせふと上を見るとD子さんが二階の窓から手を振ったあと、おいでおいでと手招きした。


「女の子一人、中に置き去りにはできんだろう」とBさんが言い、怯えるCくんを連れて中に戻った。


 また階段まで来たときにCくんが言った「絶対変ですよっ!」何がだよ? と苛立ち気味のBさん。


「だってD子先輩先月死んだじゃないですか!?」


 その一言でAさんとBさんも青ざめる。その時までなんで忘れていたんだろう。そう確かにD子さんは先月交通事故で亡くなっていたのである。


 三人はパニックになり、慌ててバイクを停めてあるところまで走って逃げた。着くなりエンジンをかけ走り去った。


 翌日D子さんの四十九日の法要がしめやかに行われたそうである。

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